素直な気持ちで読むべし
帯の「泣ける!!!」という煽りで、いまいち読む気が起きなかった作品でしたが、フラットな気持ちで読んでみた所…アラ、とても良い漫画でした。ほっこりとした空気感で、統一感のある柔らかなタッチが特徴的。おばあちゃんを中心に、芸術・工芸に通じた人達の交流から始まり、現在→過去→現在とお話が展開していきます。 過去編では戦時中のエピソードが出てきます。今のおばあちゃん世代は戦中または戦後間もない生まれなので、さらにそのお母さんのエピソード、という形になります。もはや今の時代のおばあちゃんも戦争体験世代ではないという時代なんですよね。なので回想の中では、本当の戦時中はもっと厳しかったんじゃないか?と思う部分もありましたが、それでも誠実に描かれている印象を受けました。ただ、過去編から現在へ切り替わる表現がちょっとわかりにくかったですね。 悲しい出来事もあるものの、読んでいて温かい気持ちになれる作品です。特に、のどかな田舎の描写は素晴らしいと思いました。
岡山県倉敷市を舞台に描かれる、心温まる作品です。
元々は問屋だった古民家を使い、1Fはカフェで2Fがギャラリーになっているギャラリーカフェを営むおばあちゃんの友恵を中心とした物語です。
『ねことじいちゃん』のねこまきさんによる作品なので、やはりかわいい猫が本作にも登場します。
看板猫の茶々や、娘や孫と共にいつもの日常の中での少し特別な穏やかな時間を過ごしている姿には、読んでいて心が解きほぐされていくのを感じるほどの癒し効果があります。とにかく絵柄から優しさが溢れ出ていて、特にフルカラーのページは読んでいて幸せな気持ちになります。
ただ、中盤からは「ひまわりの秘密」というサブタイトルに迫る回想パートが始まり、ギャラリーカフェでの日常から、戦時中のお話へと移っていきます。
2020年になると、第二次世界大戦の描き方もこうなるのだなぁと感じ入りました。
そんな時代を経て現代に戻った時、ギャラリーカフェで屈託なく笑い合える日々がどれほどかけがえのないものであるかを再認識させられます。
それまで何気なく素通りしてきたもの、それを振り返ると大きな意味があり、そこには人の強い想いや願いが込められている。それに気付けるようになることが成長であり、正に人生だなぁと。