素直な気持ちで読むべし
くらしき ぎゃらりーかふぇ物語 ねこまき(ミューズワーク) 志賀内泰弘 八朔
帯の「泣ける!!!」という煽りで、いまいち読む気が起きなかった作品でしたが、フラットな気持ちで読んでみた所…アラ、とても良い漫画でした。ほっこりとした空気感で、統一感のある柔らかなタッチが特徴的。おばあちゃんを中心に、芸術・工芸に通じた人達の交流から始まり、現在→過去→現在とお話が展開していきます。
過去編では戦時中のエピソードが出てきます。今のおばあちゃん世代は戦中または戦後間もない生まれなので、さらにそのお母さんのエピソード、という形になります。もはや今の時代のおばあちゃんも戦争体験世代ではないという時代なんですよね。なので回想の中では、本当の戦時中はもっと厳しかったんじゃないか?と思う部分もありましたが、それでも誠実に描かれている印象を受けました。ただ、過去編から現在へ切り替わる表現がちょっとわかりにくかったですね。
悲しい出来事もあるものの、読んでいて温かい気持ちになれる作品です。特に、のどかな田舎の描写は素晴らしいと思いました。