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少女たちが恋をし、愛した寄宿舎。そんな楽園での今が永遠に続けばいいと誰もが願いながらも、少女で居続けることを時が、環境が、変わりゆくすべてが許さない。自らを双子と呼び合う姉妹のようなエイミーとフィオナ。本当の家族を知らない彼女たちにとって、お互いと寄宿舎が家族そのものだった。そんな彼女たちも、少女のままではいられない。彼女たちの選択、その先にあるものとは…。少女だけに許される美しさと儚さ、そこに内包された残酷さ、眩いほどの一瞬の輝きをひるのつき子が渾身の想いを込めて描き続けた同人誌[寄宿舎シリーズ]、その序章となる3話をまとめた作品です。
寄宿舎にいる子どもたちはいつかはそこを離れるときがやってきます。本作もエイミーとフィオナ、双子のように育ったふたりの少女の別れから幕を開けます。
お互いのことが「好き」なはずなのに、どこかでスレ違っていってしまう。子どもからおとなになる過程で「変えなければいけないもの」がふたりを縛っているのです。成長したふたりのぎこちない再会には胸が締め付けられます。
物語のクライマックスで寄宿舎は閉鎖されることになります。ふたりにとってかけがえのない居場所が失われるのは、あたかもそれまでの関係が消えてしまうことを暗示しているかのようですが、一方で安息地を離れた一個の人間としてお互いが向き合うキッカケにもなります。
エイミーとフィオナの気持ちはどこにたどり着くのか、それぞれがどのような未来を選ぶのか、優しく見守ってほしいです。