これまでも、『闇に這う者』や『狂気の山脈にて』など、クトゥルフ神話体系の様々な作品をコミカライズしてきた田辺剛さん。今回、満を持してクトゥルフの代表作である『クトゥルフの呼び声』が描かれました! 

今までの作品も良かったですが、本作は集大成とも言える素晴らしいクオリティでした。以前よりも絵のクオリティも更に上がっており、邪神の禍々しき神々しさ、宇宙的恐怖のヴィジュアル化を見事に成し遂げていると言えるでしょう。

星を渡る邪神の一枚絵の美しさなどは堪りません。

純粋に一つのホラーマンガとしても楽しめますし、クトゥルフ神話に興味があるという方もこのマンガから入ってまったく問題ありません。

紙の本の重みとインクの匂いがまた世界観を補強してくれています。田辺剛さんには今後もクトゥルフをマンガ化して欲しいと願ってしまう一冊です。

読みたい
薔薇なまいにち
このタイトルとこの表紙で #1巻応援
薔薇なまいにち
兎来栄寿
兎来栄寿
『まんまるポタジェ』や『魔女のてしごと』、『 天使にお願い』や『ビーズの指輪』のあいざわ遥さんの最新作です。 その情報と、このタイトルと少女マンガ的なかわいくファンシーな表紙や扉絵のメインヴィジュアルから一見して看破できる人はあまりいないでしょう。この物語の主人公こまちが、ギャンブル中毒の貧乏少女であるとは。 水原一平さんの事件もあり、今注目を浴びるギャンブラー。最近発売された『ヤングマガジン増刊カケヒキ』では、超人気ギャンブルマンガのシリーズ最新エピソードとなる「エスポワール前カイジ」が掲載されました。人間は根本的に、ランダムから快楽を得る瞬間が好きなんですよね。 特に2割以下の人は非常にギャンブラーに向いたリスクテイカーの遺伝子を持っていると一説には言われています。狩猟採集時代は定住していては枯渇する資源を得るべく、リスクを冒してでも新天地で獲物や食べ物を発見できた者が英雄であったためだとか。多くの人にはギャンブル中毒者のことが理解できなくても、それは生存戦略的に必要な資質であったというわけです。もしかしたら、こまちもそういう遺伝子を持っているのかもしれません。 そうして開始2ページで競馬でスり無一文で食うや食わずの生活をして家賃の支払いも滞りながらも優しい大家さんなどに助けられて何とか生きながらえていたこまちは、バラの育種農場でバイトをすることになります。 その農園にいた育種家の青年・園生は、あけっぴろげな性格のこまちとは対照的に対人スキルに乏しく、しかしバラへの情熱は揺るぎないもの。そんな不思議な凸凹コンビが、まだ見ぬ新種のバラを生み出そうと奮戦していく物語です。 まず、バラの育種というテーマが珍しくて面白いです。そもそもどうやって育てているのか、バラごとにある特徴や高く評価されるためにはどうすればいいのか、ミステリーローズとは何なのかなどなど、読んでいて楽しくなる知識が満載です。 また、主軸となるふたりのキャラクターがとても立っていて、どちらも難があるもののこのふたりの掛け合いだけでも永遠に楽しく物語を引っ張っていけそうだなと感じました。 時折ギャンブルも交えながら展開していく異色の作品となっており、バラの育種に興味がある方、ギャンブラーのヒロインに興味がある方、少し変わった少女マンガを読みたい方などにお薦めです。
大きくなったら女の子
「座席」議論に加わっている人に読んで欲しい #1巻応援
大きくなったら女の子
兎来栄寿
兎来栄寿
数日前から、新幹線の自由席で横に乗ってきた異性の話を巡ってネット上で大激論が巻き起こっています。 「男性は〜」「女性は〜」という主語で意見を述べている人に1度この作品を読んで欲しいなと思います。 本作は、人間が皆″男性″として生まれてきて、その中の1割が14〜20歳ごろを境に性転換して″女性″になり、声が低くなり乳房が大きくなり子宮が発達し男性器が縮小し筋肉・脂肪が増加していくという世界を描いています。社会は″女性″が主導していくもので、″男性″はそれを支える存在。 ただ、少しややこしいのですがこの作中での″男性″は現実世界の女性的な外見をしており、″女性″は男性的な外見で発達した乳房を持っています。 最後にあとがきで明示されているように、単なる男女の反転ではなくマーブルな状態を描いているのが特徴です。 この作品の中で、それぞれのキャラクターが語る性別ごとの役割の話や、「″女性″は」「″男性″は」という話や異性に対する態度は、読み手に応じてさまざまな感情を引き起こしてくれるであろうと思います。現実世界に照応してある人にとっては何も引っ掛からず、ある人にとってはこの上ないもやもやが生じるであろうことをつぶさに描いています。 男性だから、女性だから、″女性″だから、″男性″だから有利なこともあれば、不都合なこともある。ときにはそれに対して、過去から長い時間大量に蓄積したものも含めた不平不満を述べたくなることもあるのは否定し得ません。 ただ、筆者の御厨さんが ″性別や属性で人の中身ややるべきことをひとくくりにするのは、個人の理解をなまけたいがための単なる省エネモードのおこないだと思っています。  何かを集団でくくって語るとき、「今の自分は省エネモードになっている」という自覚はしていたいと思います″ と述べたあとがきにあるように、より本質的には個々人に依拠するものに対して意識せずに大きい主語で語ってしまいがちな状況はあると思います。 どういったものに対して自分の心はどういった動き方をするのか。その形を改めて把捉しておくのに、この作品はとても優れています。 何も個人としての意見を表出するなという気はまったくありませんが、省エネモードで雑な結論に結びつけて誰も幸せになれない不毛なやり取りに発展する前に、今一度立ち止まって一呼吸を置いて本作を読んでから、改めて熟考した後に言葉を紡いで発しても遅くはないでしょう。
ただ大きな猫になりたい
恋愛できない猫好きふたりと保護猫2匹の新生活 #1巻応援
ただ大きな猫になりたい
兎来栄寿
兎来栄寿
恋愛関係でない男女の描き方と、愛を持って描かれる猫にまつわる諸々がとても良いなと感じさせてくれる作品です。 男性からの恋愛や性愛に応えられないという悩みを持ち、両親が残してくれた一軒家に女友達のみおと二人暮らししていたものの、そのみおも3年で彼氏ができて出ていき独りになってしまった公務員の黒木里香。 彼女が保護猫をお迎えしようとするもの、譲渡会で単身者で一緒に世話できる家族も近くにおらず、自分の仕事が大変なときや体調を崩したときに責任が持てないようでは厳しいと断られてしまうところから始まる物語です。 猫が好きだからこそ、ペットショップで買うのは嫌で不幸な子をひとりでも減らしたいという里香の気持ち、同じように保護犬を迎えた身としてとても好感が持てます。しかし、ボランティアの言うことも至極もっとも。命に対して責任を負うということはそれだけ重いものですから。しかし、その後に譲渡会で出会った男性と共に助けた猫を育てていくこととなります。 恋愛関係ではなく一緒に暮らし始める男女の関係を描いた作品としても秀逸です。 互いに異性として恋慕することはできない。でも、日常の些細なことを共にして共感したり、「おかえり」「ただいま」と言える相手がいると安心できるという気持ちは確かに存在する。何より、互いのライフスタイルによって猫のサポートを補い合える。 そうした利害の一致から始まる共同生活の様子もいいです。理想的な部分だけでなく、赤の他人と一つ屋根の下で暮らすことの大変さもしっかり描かれます。それでも、猫たちの存在が潤滑油となり新生活が少しずつ回っていく様子を見ていると、世の中にはこういう形があっても良いと思わせてくれます。 私自身、結婚はするまで微塵も考えていませんでしたが、最近骨折した際にはとても助けられて独り身のままだったら相当大変だっただろうなと思いました。保護犬を迎える際も夫婦であるからと安心された部分もありました。何だかんだで共同生活は助かる部分が多いというのは身に沁みます。 また、猫の育て方や猫との暮らし、保護猫への解像度の高さも本作の美点です。原作者の筒井テツさんは実際にボランティア活動をしているそうで、幕間では保護猫をお迎えしたいと思っている担当編集のFさんとの実録保護猫マンガも描かれます。 作中で保護される要介くんと要美ちゃんはそれぞれの個性と共にとてもかわいく描かれ、このまま何事もなく元気で成長してほしいと願うばかりです。
わたしのお母さん
残酷な現実へ手向けられた願い #1巻応援
わたしのお母さん
兎来栄寿
兎来栄寿
世の中には、最早どうしようもなく距離を置く以外に対処のしようがない人や物事が存在します。しかし、それが実の親であり自分がまだ経済的に自立できない子供であった場合は最悪です。絶対に離れた方が良いのに、離れる術がなくその手段を考えることすら封じられたままそれが当たり前なのだと刷り込まれて心身を壊されていってしまいます。 本作の第1話はとにかく読んでいて辛いものでした。小学生の少女トワが、毒親の極みのような実母の星羅とその愛人であるみちおから最悪の虐待を恒常的に受け続ける惨状が描写されます。ゴミ屋敷でまともな暮らしもできず、学校に通う時間に酒を買いに行かされ、些細なことで当たり散らされ暴力を振るわれ、あまつさえ……。現実にも、今も同様の被害を受けて生きている子がいるのだろうと思うと居た堪れなくなります。 この物語は、そんな残酷な現実へ手向けられたひと匙の希望であり救いです。リカワリ星からやってきた異星人によって、母親の存在は乗っ取られ、体はそのままでも中身はまったくの別人になりかわりトワは新たな生活を歩み出すこととなります。 虐待だけでなく、保護者間のカーストやそれが子供たちに伝播してのいじめなど現代社会の闇の部分が多く描かれます。子供同士のやり取りや、心の移り変わりの部分にもリアリティを感じます。ただ、そうした不条理をリカワリ星人が縦横無尽に切り開いていってみせてくれる様はカタルシスがあります。 兎屋まめさんの絵も綺麗で、序盤の星羅の描き方のおぞましさの迫力、さまざまなヴィヴィッドな表情の描き分けも良いです。 余談ですが、街並みの様子からも治安の悪さで知られる東京の某所を舞台にしていると感じられるのは気のせいでしょうか。
ねずみロワイアル
かわいい恐怖の殺し合い #1巻応援
ねずみロワイアル
兎来栄寿
兎来栄寿
『ムムリン』や『オオカミの子』の佐々木順一郎さんのかわいい絵柄で描かれる、残酷なバトルロワイアル。 そう、まさに高見広春さんの『バトル・ロワイアル』と同じようなクラスメイト同士の殺し合いが描かれていきます。1999年に出てリアルタイムで読んだ小説が、四半世紀経った今でもこうして色濃く影響を与え続けてフォロワーを生んでいるのは感慨深いです。 基本的なルールも『バトル・ロワイアル』に準拠しており ・殺し合いは島で行われる ・生徒たちには全員爆発する首輪が付けられている ・島にはランダムで刃物や銃器など武器が配置されている ・1日ごとに禁止エリアが設定され行動エリアが狭まっていく といった具合です。進化しているのは、スマホのような携帯端末でさまざまな情報を得られるということ。ただそれもどこかで充電ができないとずっと使い続けることはできないという制約も面白いです。 殺し合いのゲームが進行する傍らで頻繁にエモーショナルな回想が挟まっていく構成もまた『バトル・ロワイアル』を思い出します。それぞれの同級生たちが、普段の学校生活では見られない陰の姿を持っていたり、非日常だからこそ剥き出しになる感情を表したりといった醍醐味の部分もしっかり描かれていて刺さります。本家も、もちろんゲーム的な部分の面白さもありつつ思春期の少年少女たちが織りなす人間ドラマの模様が名作を名作たらしめた部分ですからね。 同じネズミでありながらそれぞれのキャラクターがしっかり描き分けられているのもすごいです。外見は似ているにも関わらず、それぞれがちゃんと個性的に立てられています。そして、このかわいさがあればこそ本家さながらの酷薄な展開が引き立ちます。 血と裏切りに塗れた島で、彼らの運命はどうなるのか。どのような結末を見せてくれるのか。目が離せません。
れいしょくガール!
冷食グルメ×少女マンガ編集! #1巻応援
れいしょくガール!
兎来栄寿
兎来栄寿
皆さんは普段、冷凍食品は食べますでしょうか。私は10年前くらいに食べたとある逸品で完全に冷凍食品を見る目が変わってしまい、それ以来冷凍庫には常に常備してあります。忙しい時には調理の簡便さがありがたく、それでいて最近のものは味も良いものが多いです。冷凍茶豆やブロッコリー、ブルーベリーも愛食していたのですが最近はそれらも高くなってしまって物価高を感じます。 タイトルと表紙から想像される通り、冷凍食品に特化したグルメマンガです。ただ、それに加えて入社1年でまっく興味のない少女マンガ編集部に異動になってしまった青年・聖と彼の教育係である宇津木のふたりを中心とした、編集者マンガとしての側面も持ち合わせています。少女マンガのことを微塵も知らないところから、巨大な同人イベントで出会った作家さんの同人誌に心惹かれて担当し、一緒に作品作りをしていくまでに成長する姿は、胸が熱くなります。 登場する冷凍食品は、実在するものばかり。名だたるメーカーの協力のもとに描かれており、そのまま食べてももちろん美味しいのですが料理のできる聖によってアレンジを加えられるレシピも見所です。エビシューマイから作るエビチリや、チャーハンクッパなどはとても美味しそうで実際に作ってみたくなります。 また、グルメマンガといえば食べる際のリアクションがクライマックスですか本作では毎回少女マンガにありがちなシチュエーションで美味しさや味わいを例えられるのが特徴的で面白いです。 キャラクターとしては、マンガ好きでエビ好きの黒髪ロングストレートつり目美人の宇津木さんを私が推さないわけもなく。 ″ 冷凍食品は「手抜き」じゃなくて「手間抜き」なの!″ などのセリフに表れる、冷食愛の強さも良いです。彼女と聖の間に芽生える、まさに少女マンガ的な関係性にもにっこりしてしまいます。 味の素の海老大餃子、見つけたら買い込みたいです。
ボルカルス
ボードゲーム発、タイムリープ怪獣バトル #1巻応援
ボルカルス
兎来栄寿
兎来栄寿
『放課後さいころ倶楽部』の中道裕大さんがボードゲーム原作のマンガを描くと聞いたときは、特大の「むべなるかな!」という気持ちが湧き起こりました。 原作者はドロッセルマイヤーズの渡辺範明さん。原作となっているボードゲーム 『Kaiju on the Earth』シリーズは遊んだことがないですが、非常に力を入れて作られており、グッズも多数つくられ『ゴジラ』などともコラボしているようでとても面白そうですね。 どこかから現れ人類を脅かす謎の怪獣という、『ウルトラマン』などでお馴染みの王道展開。故に熱く、燃えそうです。 それをマンガとして非常に上手く盛り立てているのが本作です。 一見すれば怪獣との戦いを描くパニックホラー的なものを想像しそうですが、蓋を開けてみると読めば読むほど続きが気になってくるタイムリープサスペンスとなっています。 一度は現れた怪獣によって滅ぼされかけた39歳の主人公は、気付くと記憶を保ったまま小学生へと戻っておりそこから人類を救う道を模索するべく立ち上がっていきます。 タイムリープしてやり直しを行う作品は多いですが、そうしたタイプの作品の中ではちょっと珍しい展開がありそこに面白さを感じました。 個人的には黒髪ロングストレートのヒロイン藍田さん激推しです。藍田さんの設定も王道からは外れたところがあって、今後どのように扱われていくのか気になります。 牧歌的であった『放課後さいころ倶楽部』とはまた全然違ったテイストで大ゴマや激しいアクションシーンもしばしば登場しますが、中道さんの絵も物語にフィットしていて魅力的です。 原作好きな方だとニヤリとできる部分などもあるのかもしれませんが、原作未読でもまったく問題なく単体で面白く読めます。今後、他のシリーズもマンガ化されていくのかどうかも気になります。
ホントは出汁たい山車さん
温かいお出汁と愛情と #1巻応援
ホントは出汁たい山車さん
兎来栄寿
兎来栄寿
『ちいかわ』で出汁編が繰り広げられているいる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 出汁、良いですよね。 普段は昆布や鰹節から取るような手間暇はなかなかかけられないですが、たまに旨味たっぷりの出汁を取って美味しくいただく贅沢はたまりません。イノシン酸とグルタミン酸が生み出す旨味は脳と体に刻み込まれています。 『だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!』や『森田さんは無口』の佐野妙さんが描くこの作品は、営業2課の佐藤類(さとうるい)と経理部の山車香織(やまぐるまかおり)のふたりを中心にした、冒頭からハッピーエンドがカットバックして始まるほんわか社内ラブコメ×出汁グルメマンガです。 会社内でも出汁を引くほどさまざまな出汁に精通している山車さんから、奥深くありながらも以外と簡単に楽しむことができる出汁のいろはを伝導されていく類。 基本の鰹節や昆布から始まり、コハク酸たっぷりのアサリやグアニル酸がたっぷりながら類が苦手な干し椎茸などさまざまな種類の出汁の産地やそれらを用いた美味しいレシピなどの蘊蓄を読みながら楽しく類と一緒に学んでいけます。 出汁というと手間暇がかかるイメージが強いと思いますが、忙しい日常でも意外と手軽にできるもの(カップ麺にひとかけらの真昆布を入れるなど)も紹介されており、自分でも実践したくなります。ハンバーグにとろろ昆布を入れるのも美味しそうです。 そして、この作品はラブコメとしてもとても上質。会社ではクールで少し怖いイメージすらあった香織が、出汁のことになると饒舌になり柔らかく温かい雰囲気を出しながら美味しい料理を提供してくれるギャップ。四字熟語を多用する黒髪セミロングストレートヒロインを私が好きでないはずはありません。類も類で、素直で明るく真面目で少しヘタレな性格が好感を持てる主人公で、彼らをはよくっつかんかい! とばかりに煽り立てるサブキャラクターたちに同調しながら応援したくなるナイスカップルです。 優しく穏やかなふたりが、少しずつ少しずつ距離を縮めていくこの感じ。社会人の恋愛としては非常に純朴なやり取りが、まさに滋養に満ちた温かい出汁をいただいているときのようなほっと安心する満足感を得られます。たまにはこういう澄んだものをいただきたい……そんな気持ちが充足します。 出汁に詳しくなりたい方、穏やかな大人の恋愛物語を楽しみたい方におすすめです。
ミカコときょーちゃん
ラブストーリーが突然に #1巻応援
ミカコときょーちゃん
兎来栄寿
兎来栄寿
映画化もされた『殺さない彼と死なない彼女』の世紀末さんが、新たに描く男女のお話です。 最初は、ひたすらゆるいカップルがいちゃいちゃしている4コマなのかな? と思いました。お互いに相手のことを無限に「かわいい」「かっこいい」と言い合う、仲睦まじいきょーちゃんとミカコさん。日常の些細なことを楽しんだり、煩わしく思うことも世界でたったひとりの相手がいれば何でもなくなってしまったり。 代え難い、ただひとりの相手。ずっと一緒にいたいと思える相手。でも、そんな最愛の人がある日突然世界からいなくなってしまったら。 誰しもいつ何が起こるかわからないものだとわかってはいても、実際にそういうことが起きてしまった時には人はどうしようもなくなります。受け入れるのにどうしたって時間はかかるし、一生受け入れられないままかもしれません。 どこにでもありふれたふたりのカップルのやり取りは、ひとつの出来事を境にまったく意味を変え見え方を変えてしまいます。ただ、少なくとも心から自分の幸せと笑顔を願ってくれた相手と他愛もない時間を過ごすことができたという事実は永遠に残ります。 どうでもいいようなこと、明日には忘れているようなことのひとつひとつの欠片が何よりも貴くてかけがけのないものであるということを、改めて示してくれているようです。 今なら当たり前にできることが、いつか当たり前にできなくなってしまう。当たり前ではなくなってしまう。そうなる前に今できることをひとつひとつ大事にして、何でもないことを大切にして生きていきたいと思わせられる物語でした。
レコード大好き小学生カケル
小学生だって古き良き物を愛さずにはいられない #1巻応援
レコード大好き小学生カケル
兎来栄寿
兎来栄寿
日進月歩のテクノロジーによって世界は日々便利で豊かになっていきます。その陰で、古び消えていく技術や文化もあります。 マンガ業界においても電子書籍が圧倒的な勢いで伸びてきており、その分紙の書籍、特に雑誌の部数は大きく落ち込んでいる昨今。紙の本は段々と贅沢品でロマンの対象としての意味合いを強めていくことでしょう。 また、描き手においても若手はもちろんのことベテランもデジタルに移行する方が増えてきて、スクリーントーンやペン先などはどんどん絶版となってきています。もうアートナイフでトーンを削って気付かない内に爪の間に挟まっていたトーンカスが公の場で突然出てくることもないのだなぁと思うと一抹の寂しさに駆られます。 しかし、荒木飛呂彦さんのようにあくまでフルアナログにこだわる方も一部にはいます。どんな世界にも一定数いる、古き良きものを愛し続ける人の姿は良いものです。 『頭文字D』で、ハチロクに乗り続ける拓海のこだわり。 『16bitセンセーション』で、守が見せるPC98へのこだわり。 太正浪漫であったり、昭和レトロであったりに惹かれる心は多くの人にあるものでしょう。 変化こそが世界の摂理であり、たゆまなく変動していく環境に適応できなかった者から亡びていくのが定めです。それなのになぜ人はこうもレトロなものに言いようもない憧憬を覚えるのでしょう。 人間も必ず老いる生き物であり、自分もいつか古い人間になってしまう瞬間が訪れるのでそんな自分に重ねる部分もあるでしょうか。 古いものであるが故に蓄積された物語や思い出があり、そこに惹かれるからでしょうか。 ともあれレコードというのもまたノスタルジーと共に憧れをもたらしてくれる存在です。 本作は、レコードを愛し日本一のレコード屋になることを夢見る少年カケルが、周囲の友人たちを巻き込みレコード道を邁進する物語です。 『ドラえもん』のパロディである絵柄とキャラクター配置でかなりギャグ色も強いのですが、その中で本気で奏でられるレコードへの愛の調べが秀逸です。 「ゆで卵カッターで全身をスライスされたような衝撃」 というカケルの原体験。 そのカケルとまったく同じ所感を抱き、 「レコードには…スマホにない音の奥行きや広がりを感じる! 音像がまるで別物だ…」 と初めて触れる魅力に打ちのめされながらも相撲部としての活動の合間で翻弄されるデス夫(1P目の登場シーンで「俺様の夢はGAFAを買収してIT企業の頂点に立つことです!」と言い放つのも最高です)。 デス夫の思い人であり、カケルを通して初めてレコードに触れるヒロインのえみるちゃん。 彼女もまた 「フードプロセッサーで粗挽きにされた感じ」 というインプレッシブな表現力と、レコードをフォークボールの握りで持つなど独自の世界観を持つ少女です。 その他にも癖の強い特徴的なサブキャラクターたちが多数登場し、カケルのレコード道を盛り立てていきます。 おおひなたごうさんらしい、シュールな笑いもそこかしこに散りばめられています。個人的にお昼休みの放送の校長インタビューのテーマが「なぜ作文の宿題にChatGPTの使用を許可したのか?」なのも好きです。デス夫がカケルに対して持つ複雑な感情を基軸に物語がパワフルに駆動していくのも良いです。 しかし、何より最高なのはやはりレコードに対する並々ならぬパッションです。レコードにまったく触れたことがない人であっても、ここまで熱くレコードの魅力を語られてしまっては「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」や聖子ちゃんの曲をレコードで聴きたくなることでしょう。 あとがきを読むと、この作中の熱量も納得です。今は自宅にもうレコードを聴ける環境はないですが、レコードをかけてくれるお店に行ってその音色に耳を傾けながら改めて読み直したくなる作品です。
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ラヴクラフト傑作集

ラヴクラフト傑作集

世界の文学史上に特異な光を放つH・P・ラヴクラフトの代表作にして、クトゥルフ神話最大の謎に、かつて「アウトサイダー」を精緻に描き高い評価を受けた気鋭の漫画家が挑む。これぞ、ラヴクラフト・コミカライズの決定版にして、最先端。収録作品「魔犬」「名もなき都」「神殿」。※作品の表現や演出を考慮して、電子版は一部のページを改変しております。※
アウトサイダー

アウトサイダー

「田邊氏の作品が持つ誠実さが大好きです」(松本大洋)ラブクラフトの恐怖物語、チェーホフの抒情作、ゴーリキーの代表短篇……文学史上に名を残す傑作たちを、圧倒的な画力で描ききり、鮮烈に現代に蘇らせた諸短篇に、オリジナルの和製ホラーアクション連作「呪画」を収録。時代を震撼させる驚愕の才能が、ついにベールを脱ぐ!
サウダージ

サウダージ

これは、漫画から“物語”への果たし状=ラブレター。ラフカディオ・ハーン、フランツ・カフカ、陶淵明…世界文学史上に屹立する作品群に拮抗するように、現代の語り部=漫画原作者・カリブsong(=狩撫麻礼 『オールド・ボーイ』『リバースエッジ 大川端探偵社』)が紡いだ物語に、気鋭・田辺剛(『アウトサイダー』『魔犬 ラヴクラフト傑作集』)が渾身の力で挑む。異色の超本格派タッグが物語の根源へと肉迫し漫画に新たな地平を拓く、“一線”を超えた者たちの肖像。
累

映画化で大きな話題を呼んだ怪談の古典的名作が、現代に鮮烈に蘇る!和製恐怖の白眉、三遊亭円朝「真景累ヶ淵」を、圧倒的画力を誇る絵師、完全漫画化!日本文学史上最高最悪の惨劇が今、血にまみれた幕を開ける!
クトゥルフ神話~ラヴクラフト傑作選

クトゥルフ神話~ラヴクラフト傑作選

H・P・ラヴクラフト(1890~1937年)の生前には発表されなかった本作は、夢にまつわる一連のラヴクラフト作品のなかでも最も長く、おそらくは最もよくできた作品と言えるだろう。1926年から1927年にかけて書かれたこの作品は、ラヴクラフトの多くの小説のような徹底した書き直しを経ていないため、夢のゆるりとした流動的な性質を保つ描写となっている。この作品は、ラヴクラフトのいちばん多作な時期に生まれた作品のなかでも、『チャールズ・デクスター・ウォードの怪事件』とともに最も重要なもののひとつと見なされている。ラヴクラフトは、この小説を通じて恐怖と空想の要素を結合させ、夢を織りなす想像や論理の意外な飛躍に彩られた壮大な物語を創り上げた。本書では、ほかのラヴクラフト作品のさまざまなテーマやキャラクターも登場する――厳密にはラヴクラフトの“神話”の部分ではなくても、彼の広大な空想世界に結びついた要素も含まれている。〈編集部より〉「ラヴクラフト傑作選1~4」は、どの巻から読み始めてもOKな、各々独立した(しかし世界観はすべて通底している)作品です。1)『まだ見ぬカダスを夢に探して』は不思議な着想と展開に満ちたファンタジックな冒険譚。忍び寄る混沌とはなにか?2)『チャールズ・デクスター・ウォードの怪事件』は、気味悪くも、好奇心をそそる展開で、どんどん先を読みたくなるホラーミステリー。ラヴクラフト入門者に一番オススメ! 3)『狂気の山脈で』は南極探検隊が南極で目撃する、人類が知ってはならない世界の秘密と恐怖をめぐる物語。こちらもラヴクラフト入門者にオススメ!4)『時からの影』は、興味深い物語を通じて、クゥトルフ神話体系について深く知れる、クゥトルフTRPGファンにもお薦めの1作
インスマスの影

インスマスの影

見つかったが、最期。一九二七年七月、ニューイングランドを周遊していた「私」は、地図にも載っていない頽廃した港町・インスマスを訪れた。魚類を彷彿とさせる奇怪な風貌の人々が棲み、深い影に覆われた其処で、名状し難い「宇宙的真実」に触れてしまう運命にあることを、知る由もなく。「クトゥルフ神話」の最高傑作を、世界中から最高評価を受ける「ラヴクラフト描き」が完全漫画化。【手塚治虫文化賞】マンガ大賞最終候補、【米国アイズナー賞】ノミネート、【仏国アングレーム国際漫画祭】公式セレクション選出、【仏国Prix Asie de la Critique ACBD 2019】受賞、【仏国DARUMA2019】最優秀作画賞・最優秀デザイン賞受賞、【米国ハーベイ賞】ノミネートほか、数々の賞賛を呼ぶ「ラヴクラフト傑作集」シリーズ最新作が、1・2巻同時発売。●「ラヴクラフト傑作集」シリーズ『クトゥルフの呼び声』/『時を超える影』全2巻/『狂気の山脈にて』全4巻/『魔犬』/『異世界の色彩』/『闇に這う者』●田辺剛・好評既刊『The Outsider 田辺剛 Extra Works』/『サウダージ』(作:カリブsong)●コミックビーム 公式ツイッター@COMIC_BEAM
金ヶ沢に来てはならぬ

金ヶ沢に来てはならぬ

金ヶ沢の山には「羽の生えた生き物が天からやってくる」という言い伝えがあるのです…。衛空の残した不気味な言葉と怪物的生命体の襲撃! その謎を追う的場教授は想像を絶する恐怖に直面する! ユゴスよりの宇宙生物、脳のみで宇宙空間を移動する装置など、クトゥルフ神話のホラーテイスト満載。H.P.ラブクラフトの『闇に囁くもの The Whisperer in Darkness』を近代日本を舞台にコミカライズした中編傑作!
A・Aの女

A・Aの女

異界からの使者、不死、魔術…クトゥルフ神話の中心都市アーカムを舞台に、人知を超えた怪事件をアーカム・アドバタイザー(A・A)紙の女性記者アリスが追う! 「名状しがたきもの」「冷気」「ランドルフ・カーターの陳述」ほか、ラブクラフト原作の怪奇小説をコミカライズ!
クトゥルフの呼び声

クトゥルフの呼び声

「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん」 ‐‐死せるクトゥルー、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり‐ 。大いなる邪神クトゥルフが、おぞましき古代都市ルルイエの浮上とともに復活する…!? クトゥルフ神話の代表作『Call of Cthulhu』を、奇才おがわさとしがコミカライズ! 原作を超えるサスペンス、戦慄のクリーチャー描写、ダークサイドから新たなキャラクター登場など、古典的ホラー作品がさらに狂気を増して現代に甦る!
邪神伝説 クトゥルフの呼び声

邪神伝説 クトゥルフの呼び声

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。ロバート・ブロック(サイコ)、ギーガー(エイリアン)、菊地秀行(吸血鬼ハンターD)など、世界中のクリエイターに強い影響を与えた「クトゥルフ神話」の原点小説をコミカライズ(漫画化)!クトゥルフとは、いったい何なのか!?その全貌を暴こうとする男が体験する、恐怖の物語である。【クトゥルフ神話とは】アメリカの怪奇小説家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトと、その友人たちの小説作品をもとに作り上げられた架空の神話体系のこと。この神話体系で共有された名称や設定が後世の作家たちにも取り込まれ、ジャンル・媒体を問わず、さまざまな作品が生まれている。
忌まわしきクトゥルフ神話 インスマウスの影

忌まわしきクトゥルフ神話 インスマウスの影

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。ロバート・ブロック(サイコ)、ギーガー(エイリアン)、菊地秀行(吸血鬼ハンターD)など、世界中のクリエイターに強い影響を与えたラヴクラフト。そんな彼の生みだした「クトゥルフ神話」が怪しく息づく最高傑作『インスマウスの影』を漫画化する。『インスマウスの影』は、1920年代のアメリカ、マサチューセッツ州にある架空の港町インスマウスを舞台に展開される怪奇ホラー作品。外部との交流がほとんどない、さびれたこの町に、主人公は旅行の途中に立ち寄る。インスマウスの住人はみな、魚にも似た醜い「インスマウス面」と称される独特の風貌を持ち、また、既存のどの宗教とも異なる独自の思想をもっているという。そんな町で過ごすうち、主人公は未曾有の恐怖を体験することになる。
戦慄のクトゥルフ神話 狂気の山脈

戦慄のクトゥルフ神話 狂気の山脈

【注 単行本に収録されているパロディ短編小説「陰気な山脈にて」は電子版には収録されておりません。ご了承ください】ロバート・ブロック(サイコ)、ギーガー(エイリアン)、菊地秀行(吸血鬼ハンターD)など、世界中のクリエイターに強い影響を与えた「クトゥルフ神話」。その原点小説『クトゥルフの呼び声』に勝るとも劣らない人気を誇り、映画化の噂も絶えない『狂気の山脈にて』を漫画化。各章末には、PHP研究所既刊『クトゥルフの呼び声』の解説やライトノベル『うちのメイドは不定形』の原案を担当したクトゥルフ神話研究の第一人者、森瀬繚氏による解説を掲載。
姉なるもの

姉なるもの

天涯孤独な少年・夕はある日、美しくも冒涜的な何かと出会った。【千の仔孕む森の黒山羊】と呼ばれる「それ」に、夕は自分の姉になることを願う。すると「それ」は「千夜」と名を変えて、彼の姉になり――? クトゥルフ神話の最果てで、姉弟の愛を描く『姉なるもの』、第1巻堂々発売。
ラヴクラフト傑作集

ラヴクラフト傑作集

世界の文学史上に特異な光を放つH・P・ラヴクラフトの代表作にして、クトゥルフ神話最大の謎に、かつて「アウトサイダー」を精緻に描き高い評価を受けた気鋭の漫画家が挑む。これぞ、ラヴクラフト・コミカライズの決定版にして、最先端。収録作品「魔犬」「名もなき都」「神殿」。※作品の表現や演出を考慮して、電子版は一部のページを改変しております。※
死もまた死するものなれば

死もまた死するものなれば

さびれた観光地のホテルで、謎めいた殺人事件が発生。ホテルの支配人からの依頼でこの地を訪れた探偵が真相にたどり着いた時、何かが終わり、何かが始まる……。そして生き残った者たちに迫る「何か」とは!? 巻末では、漫画とともに掲載していた『クトゥルフ神話TRPG』とのコラボレーションコラムの無削除版を初公開!
クトゥルフ神話~ラヴクラフト傑作選

クトゥルフ神話~ラヴクラフト傑作選

H・P・ラヴクラフト(1890~1937年)の生前には発表されなかった本作は、夢にまつわる一連のラヴクラフト作品のなかでも最も長く、おそらくは最もよくできた作品と言えるだろう。1926年から1927年にかけて書かれたこの作品は、ラヴクラフトの多くの小説のような徹底した書き直しを経ていないため、夢のゆるりとした流動的な性質を保つ描写となっている。この作品は、ラヴクラフトのいちばん多作な時期に生まれた作品のなかでも、『チャールズ・デクスター・ウォードの怪事件』とともに最も重要なもののひとつと見なされている。ラヴクラフトは、この小説を通じて恐怖と空想の要素を結合させ、夢を織りなす想像や論理の意外な飛躍に彩られた壮大な物語を創り上げた。本書では、ほかのラヴクラフト作品のさまざまなテーマやキャラクターも登場する――厳密にはラヴクラフトの“神話”の部分ではなくても、彼の広大な空想世界に結びついた要素も含まれている。〈編集部より〉「ラヴクラフト傑作選1~4」は、どの巻から読み始めてもOKな、各々独立した(しかし世界観はすべて通底している)作品です。1)『まだ見ぬカダスを夢に探して』は不思議な着想と展開に満ちたファンタジックな冒険譚。忍び寄る混沌とはなにか?2)『チャールズ・デクスター・ウォードの怪事件』は、気味悪くも、好奇心をそそる展開で、どんどん先を読みたくなるホラーミステリー。ラヴクラフト入門者に一番オススメ! 3)『狂気の山脈で』は南極探検隊が南極で目撃する、人類が知ってはならない世界の秘密と恐怖をめぐる物語。こちらもラヴクラフト入門者にオススメ!4)『時からの影』は、興味深い物語を通じて、クゥトルフ神話体系について深く知れる、クゥトルフTRPGファンにもお薦めの1作
あすな

あすな

オレが殺したのは上戸ではない…ナタで頭を6回割っても オレは親友を殺していない―― 上戸と段は「あすな」の冒涜的な魔力の前に、精神を蝕まれていく…。ラブクラフトの名作を狂気と戦慄の日本型ホラーマンガへと変容させた傑作。クトゥルフ神話コミックマガジン『ZONE OF CTHULHU (ゾーン・オブ・クトゥルフ)』で大反響のデジタルコミック第1弾、ついに登場!!
必修すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。

必修すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。

累計20万部! 大ヒットシリーズの最新刊!! 谷崎、乱歩、安吾、マルクス、クトゥルフ神話まで… 全25作、最強にして最ゆるの文学教材!! 【収録作品】芥川龍之介「蜘蛛の糸/トロッコ」 福沢諭吉「学問のすゝめ」 織田作之助「猿飛佐助」 夢野久作「瓶詰地獄」 夏目漱石「吾輩は猫である」 森鴎外「山椒大夫」 坂口安吾「堕落論」 魯迅「狂人日記」 宮沢賢治「風の又三郎」 オルコット「若草物語」 押川春浪「海底軍艦」 葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」 谷崎潤一郎「春琴抄」 田山花袋「田舎教師」 太宰治「富獄百景」 ツルゲーネフ「初恋」 マルクス/エンゲルス「共産党宣言」 石原莞爾「最終戦争論」 菊池寛「父帰る」 江戸川乱歩「D坂の殺人事件」 ラヴクラフト「クトゥルフの呼び声」 泉鏡花「夜叉ヶ池」 中島敦「李陵」 新美南吉「手袋を買いに」 折口信夫「死者の書」
Hope of Eibon

Hope of Eibon

かつて、邪悪な神々により人々が虐げられていた時代があった。後に創世の英雄として名を残すことになる一人の魔導士により、神々は封印され、人々の希望の時代が訪れたが、数百年の時を経て、今再び神々が目覚めようとしていた……。H.P.ラヴクラフト著を主とするクトゥルフ神話作品群に登場する魔導書の一つ『エイボンの書』をモチーフに、いずこの時空に存在した大陸『ハイパーボリア』にて、魔術を巡り、人間と邪なる神々の、破滅と希望を描く狂気ダークファンタジー。※作家個人で公開していたWeb漫画作品を電子書籍版として配信。
遂に現れた「クトゥルフ」の真骨頂にコメントする