家族、のような 友達、のような
主人公のもとに、不慮の事故で両親がなくなった恋人の親戚の子供を預かるという話。 一瞬、 恋人の?夫婦じゃなくて?なんの関係で預かるの?ん?え? ってなるが、まぁ色々複雑な関係で、 それでも一つ屋根の下で暮らすという、一風変わった家族漫画。 個人的に今一番楽しみにしている作品です。 突然両親がいなくなって、不安な子供達の気持ちを察し、 受け入れてしまう主人公・希夏帆(きなほ)の懐の広さにまず脱帽します。 両親をなくした気持ちは理解しますが、 普通、自分の負担とか、自分を優先に考えてしまいますよね。 とはいえ、単純に預かるだけでなく、子どもたちにも色々手伝わせたり自分のことは自分でやらせるなど平等に接しているのがフェアで、片方に依存しない関係はよっぽど建設的だなと思います。 大人的というべきか、WinWinの関係というべきか、 両親ともいえない、この関係をなんと呼ぶべきか悩みます。 また、希夏帆のもとに、やってきた二人の子供は、中学2年生の冬真と5歳の春陽の兄弟。 兄が生真面目かつ周囲に気を使いがちで、弟は無垢で元気いっぱい。 ともに、とまどいながらも、徐々にこの環境に順応していきます。 二人ともツライ過去がありながらも、文句一ついわない健気でまっすぐな姿が、逆に涙を誘います。 特に、母親を思い出しながらも、グッとこらえる姿は、たまりません。 家族、というには離れていて 年の離れた友達、というほど薄い関係でもない。 この不思議な関係ですが、二人の成長とともに深まっていく絆に、 なんとも言えない多幸感に包まれます。 こんな時代に、こんな新しい家族の形があってもよいのではと思いました。
見ず知らずの人たちがひょんなことから同居することになるという作品は家族ものとして古くからありますが、この作品は事故で両親を亡くした子供2人を付き合ってるけど未婚の2人が引き取るという、歪な中にさらに歪さを重ねたような設定。本質的には疑似家族ものなのかもしれないけど、子供たちはその経験からか精神的にかなり自立しており、かつ大人たちも基本的な自分たちの生き方を変えずに子供たちに接するので、家族というより純粋な"共同生活"のように映る。その中で個々の成長が少しずつ描かれていくので、これまでにはない新鮮さがある。
特に、彼氏が連れてきた子供たちと突然同居することになった主人公・希夏帆は、これまで子供と接する機会が少なかったためか、子供たちと接する際にも直球の正論で臨むことが多い。でも正論だけじゃ物事が上手く回らないことを他でもない希夏帆が自覚していて、かつ実際にトラブルの解決まで紆余曲折があるのを見せてくれるから、逆にその正論が際立って心に刺さる。伝えたいメッセージと物語とのバランスが抜群な作品。
2巻まで読了