赤ちゃん天使と鼻毛神様
同じ作者さんが別名義で描いた『とんがらし』が大好きなので読んでみました。『とんがらし』は新撰組のメンバーが少年だった頃の話で、掲載誌がモーニングなこともあり青年誌らしいヒューマンドラマです。しかし『ピカエル』はそれとは正反対のユーモアがあるおとぎ話になっています。赤ちゃん天使ピカエルの可愛らしさに癒されるのは言わずもがなですが、作品全体にまるでしがらみから解放されたような軽やかさがあるのは、1巻の後書きにあった「赤ちゃんだったことのあるすべての人のためのマンガを描こうと決めました」という思いが込められているからなのかなと思います。全然違う作風なのにどっちも面白いからすごいです!
人々から存在を忘れられて、退屈な毎日を送っていた神様(高齢)のもとに、翼が折れてしまったかわいいかわいいエンジェル(ピカエル)が現れてからというもの、いきなり子育てならぬ、天使育てが始まって、神様は毎日振り回されっぱなし…という話。
最初は神様と天使のピカエル、たった2人の生活から始まりますが、
そのうち天狗(イケメン)や個性豊かないろんな神様、更には人間も登場、一気に賑やかになります。
主人公の神様が、鼻毛の長いじじいなので、あとから続々と出てくるイケメンたちが際立ちます。
素敵なのは、誰ひとりとして突然現れた正体のわからないピカエルのことを、邪険にあつかったりしないところ。
親(この場合は神様)だけじゃなく、「みんなで育てる」の理想形じゃないでしょうか。