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ナタンと呼んで 少女の身体で生まれた少年

1人の少年が身体を手に入れるまでの物語

ナタンと呼んで 少女の身体で生まれた少年 原正人 カトリーヌ・カストロ カンタン・ズゥティオン
たか
たか

 新刊発売を楽しみに待っていた作品。    小さいころは男でも女でもなく「子ども」でいられた主人公・リラが直面した、二次性徴という危機。それをどうやって乗り越えて、男性としての身体と人生を手に入れたのかを成長に合わせてじっくり丁寧に描かれていて素晴らしかったです。    またナタンが「自分は何者なのか」という葛藤や家族との摩擦の中でも、髪を短くしたり、弟のTシャツを着たり、彼女と付き合ったり、自分がやりたいことを貫いた姿がとても心に残りました。    わたし自身は、ナタンのように男の子とスポーツで遊ぶ方が好きな子どもで、当時は大人の女性にはなりたくないと思っていました。とはいえ身体と性自認が一致していたことで、ナタンのような大きな葛藤なくいつの間にか性別を受け入れて大人になることができました。    このマンガを通じて、『自分がたまたま経験しなかった苦しみ』の存在があることを知れて、本当によかったです。     作品の舞台設定に関して、主人公が部屋中にジャスティン・ビーバーのポスターを貼っているシーンやスマホから、舞台は現代(から少しだけ前)なのかなと想像しつつ読んでいましたが、あとがきによると主人公のモデルとなった人物は現在大学生だそうです。    友達とFacebookのメッセージ上で揉めたりクラブに行く描写は、彼が同じ時間を生きているのだととても身近に感じられました。    最後に、出版社である花伝社のnoteがとても素晴らしかったのでここでシェアします!  FtMの方の『一人称のお話』や、原作者が副題に込めた『少女が少年に「なった」物語ではない』というエピソードなど…様々な方の想いを大切にして作られたことが伝わってくる素晴らしい記事なので、ぜひ「ナタン」を読んだ方はチェックしてみてください。 https://note.mu/kadensha/n/n77106bb5c3f9

この世界の片隅に

漫画と映画を久しぶりに見返した!

この世界の片隅に
かしこ
かしこ

2025年のお正月にNHK広島放送で映画「この世界の片隅に」が放送されたのは、今年で原爆投下から80年が経つからだそうです。この機会に私も久しぶりに漫画と映画をどちらも見返してみました。 やはり漫画と映画の一番の違いはリンさんの描き方ですよね。漫画では夫である周作さんとリンさんの関係について触れられていますが、映画ではありません。とくに時限爆弾によって晴美さんと右手を失ったすずさんが初めて周作さんと再会した時に、漫画ではリンさんの安否を気にしますが、映画ではそれがないので、いきなり「広島に帰りたい」という言葉を言い出したような印象になっていました。映画は子供のまま縁もゆかりもない土地にお嫁に来たすずさんが大人になる話に重点を置いているような気がします。それに比べると戦時下無月経症なので子供が出来ないとはっきり描いてある漫画はもっとリアルな女性の話ですよね。だから漫画の方が幼なじみの海兵さんと2人きりにさせた周作さんに対して、あんなに腹を立てたすずさんの気持ちがすんなり理解することが出来ました。個人的には男性達に対してだけではなく、当時の価値観で大事とされていた後継ぎを残せない自分に対しての悔しさもあるのかもしれないと思いました。けれどもこの選択をしたのは原作である漫画を十分に理解してるからこそなのは映画を見れば明らかです。 久しぶりに漫画と映画を見返してどちらも戦争が普通の人の生活も脅かすことを伝えているのはもちろん、すべてを一瞬で無いものにしてしまう核兵器の恐ろしさは動きのある映画だから強く感じた喪失がありました。そして漫画には「間違っていたら教えて下さい 今のうちに」と巻末に記載されていることに初めて気づきました。戦争を知らない私達が80年前の出来事を想像するのは難しいですが、だからこそ「この世界の片隅に」という物語があります。どんなに素晴らしい漫画でもより多くの人に長く読み続けてもらうのは大変なので映像化ほどの後押しはないです。これからも漫画と映画どちらも折に触れて見返したいと思います。

野球で話せ

漫画で話せ

野球で話せ
かしこ
かしこ

何を隠そう私も自分の描いた漫画を第11回青年漫画賞に応募していたのです。とはいえ私は記念受験のようなものなので箸にも棒にもかからないのですが…それでも言わせて下さい、私のライバルって中原とほるだったのかよ!!と。いや〜でもこれは完敗です。だって全編を通して「漫画を描くのが楽しい」って感じだったじゃないですか。働きながら漫画を描くのは大変です。やりたいことがあるのは幸せだけど、休みの日なんかに一人で引きこもってコツコツ描いてると「誰にも求められてないものをこんなに一生懸命やって何になる?」と虚しくなります。それよりも情けないのは描きたいから描くのではなく「漫画家になりたいから描いている」という気持ちのブレが起きてしまうことです。それでは本末転倒なのです。だからこそ作中で叔父さんが言っていた『表現を続けなさい』というセリフに胸を打たれて勇気づけられました。それは連載デビューを経験された後も医師として働きながら投稿を続けられたご自身に対しての言葉なのかもしれませんが、私もこんな風に漫画と向き合いたいと思わされる姿でした。いつか私の漫画を中原さんに読んでもらいたい。漫画で話したいです!

ナタンと呼んで 少女の身体で生まれた少年

なたんとよんで しょうじょのからだでうまれたしょうねん
なたんとよんで しょうじょのからだでうまれたしょうねん
ナタンと呼んで 少女の身体で生まれた少年
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