最高に興味深い駄作
※ネタバレを含むクチコミです。
幼い頃から続く実の母親との根深い確執が原因で、霊能者・日向に相談した杉原那月は、そこで母親の生き霊が自分に取り憑いていることを知る。それ以外にも、《呪い》と《金銭搾取》で杉原を肉体的・精神的に追い詰める母親に対し、日向は結界を張ることに成功。しかし、今度は弟の人格が突如として豹変し、杉原をさらに追い詰める……。板挟みにあう著者に今度は突然、母親病死の一報……。そして弟以外の人格にも変化が! 人は身内に対してここまで強欲になることができるのか!? まさに悪魔のごとき《奪衣婆=死者からみぐるみを剥がして持ち去る婆》との闘いを赤裸々に描く実話ホラー作品。
実話と謳いながらも実際は実話とは程遠い内容です(当たり前か)。
霊能者のもつ霊視、霊能力真偽はともかくとして、現実世界で起きたことをそのまま漫画にするだけでは内容がないので、脚色というか作者の主観による味付けがかなり盛り盛りな印象。
ストーリーも始めは母親が悪者、その後は弟、最後は同居人?彼氏?をびっくり仰天な展開でラスボスに仕立てるという荒業をやってのけてます。この展開についていける読者がいるのか?と常に疑問符。自分はついて行くのを早々に辞めたので、何であれ最後まで読むという義務感がなければ2巻でギブアップでした。
連載期間中にどこまでのことが実際に起きたのかはわかりませんが、弟が悪役になると前の悪役である母親が「意外と良い人だった」とか、は?はいィ??と叫ばずにはいられない。ある一面からしか物事を見れない作者の思い込み故なのでしょう。どんな悪人だって人間なんだから、良いところや褒めるべきこともあって当たり前だと思う。
そもそも作中でも言われている作者には「敵が多い」という言葉に、敵が多いのはそれだけ本人が敵を作っていることではないかと感じました。それをやれ霊のせい、先祖のせい、前世のせい、と理由付けしようとしたら誰でもいくらでもできるのでは。
始めは同居人だった男が途中から唐突に彼氏に変わり、最後は悪役に堕とされています。描かれていない部分に何があったのかはわからないけど、そもそも作者の鬱や病気、周りのゴタゴタに振り回され続けた末と考えると同情すら湧いてきました。
最後にまとめると、悪役がコロコロと変わり、その都度作者が「私は悪くない」を繰り返すので読後感が非常に良くない。それでも読んでみたいという人がいたら、相応の覚悟をしてから読むことをお勧めします。