ネタバレ
たたみ

水、という素材は、料理マンガにもときどき出てくる要素ではあった。
ただそれは、あくまで副菜的ポジションであり、決してメインディッシュにはならない。
しかし、この巻では『水料理』という縛りで勝負が始まるのだ。

水という掴みどころのない素材をどのように活かすか……そこにキャラの特性が如実に現れる。
ライバルは『秀才型』で審査員をうならせ、対する主人公ジャンは破天荒な発想でそれを打ち破る。
少年漫画的お約束と言ってしまえばそれまでだが、完璧と思われたライバルの料理を、意外な素材で上回るという展開は痛快だ。

(ここからネタバレ)

勝負の序盤、外国産など各種ミネラルウォーターをずらりとならべ、硬水や軟水などの性質の違いを丁寧に解説してくれる、水ソムリエ的なライバル。
そこで読者は「美味しい料理には高級な水が必要」と刷り込まれる。

しかしジャンは、最高の料理をつくっておきながら、最後に使った水のことを「ただの水道水」と言ってのけるのだ。
「日本の水道水はすばらしい」というオチに、共感できない日本人読者はまずいないだろう。

ひとつ残念な点は、軟水硬水の区分を『ドイツ硬度』というおおざっぱな基準によって解説している部分だ。
あれは繊細な料理人にふさわしくない。
少なくともアメリカ硬度、WHOの飲料水水質ガイドラインを紹介して欲しかった。

そして日本の水道水であっても、一律軟水というわけではなく地域差がある。
季節による変動も大きい。
その数値は、地域の水道局によって検査測定がされている。

ジャンには『今日の○○地区の水道水は硬度いくつだから、この料理にふさわしかった」くらいの台詞を告げて欲しかったが、たぶん怪我をしていたため頭が回らなかっただけであろう……。

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365歩のユウキ!!!

365歩のユウキ!!!

▼第1話/史上最強の弱虫▼第2話/将棋の女神▼第3話/試練の七手詰▼第4話/将棋部の朝練▼第5話/明烏の登場▼第6話/勇気のひっかけ▼第7話/飛車の天プラ●主な登場人物/紬勇気(つむぎ・ゆうき。浅草二中の1年生。いじめられっ子だったが、将棋部に入り自己変革中)、森田みもり(将棋部部長。1年生の女の子だが、将棋が一番強いので、部長として部を仕切る。やたら威勢がよく男勝りの“下町の女番長”)●あらすじ/勇気はクラス一のいじめられっ子。今日も無理やりやらされた賭け将棋に負け、金を要求されていた。逃げまどう勇気は、旧校舎の空き教室にかけこむ。するとそこには、目つきの鋭い屈強な男たちと、男勝りの女の子がいた。彼らは一体何者…!?(第1話)●本巻の特徴/彼らは、泣く子も黙るワルの集まり、コテコテの武闘集団である将棋部の面々だった。ほとんど体育会ノリのこの将棋部に、勇気は行きがかり上、入部することになる。だがそこで将棋の面白さを知った勇気は、少しずつ腕を上げて、中学名人戦を目指すように…。熱血将棋コミックの第1集。●その他の登場人物/金田一徳(将棋部副長。通称・金角)、銀代ハジメ(将棋部副長。通称・銀角)、明烏遠(あけがらす・えん。新向島中将棋部の部長。将棋は強いが口数も多い)

藤太参ります!!

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