Final Re:Quest ファイナルリクエスト

プレーヤーが離れた後、物語世界には何が起こるのか…。皆が忘れた物語のその後。

Final Re:Quest ファイナルリクエスト 日下一郎 株式会社ヒューガ
名無し

我が家には大量の積まれた本があります。その中の6割は、一生我が家のスペースを圧迫するだけの存在になりそうです。本に負けず劣らず多いのが、積みゲー。なぜだか、ラスボス前になると急に飽きてしまうのです。クリアのまま、打ち捨てられているゲームの数々…。その物語の世界はどうなっているのでしょうか。  『ファイナルリクエスト』はそんな、プレーヤーから見捨てられたゲームの行く末を描く作品です。クリアされ、プレーヤーが離れた後、物語世界には何が起こるのか…。めでたしめでたしのまま、世界は過ぎるのか…。皆が忘れた物語のその後を描くのです。  表紙をめくると懐かしい“説明書”風のイラストがまず表れます。ファミコンのペラペラな2色の説明書を読むだけでワクワクした小学生時代を思い出します。そして登場人物紹介があって…ぶっちゃけ「ドラクエ4」を思い出すと話は早いですね。  そして物語の本編がはじまります。世界もキャラクターも全てがドットで描かれてる物語は、ラスボスを倒したシーンから始まります。勇者と仲間たちが苦労して旅をし、最後のボスを倒して大団円――。しかし、物語はそこで終わりませんでした。  勇者の仲間の一人、老戦士アソンテは急に世界が止まってしまっていることに気が付きます。いったいいつからこの状況が続いているのかも、思い出せません。生きているものが誰もいない城を歩き回り、城が“何か”によって壊されているのを目撃します。魔王とかモンスターとは全く違う脅威を前に、アソンテは勇者を探し出すことを決意します。どこかに消えてしまった勇者を探し求める旅が始まるのです。  外からみている読者は世界を蝕む“何か”がバグにあることに気が付きます。物語世界を蝕む0と1と英数字の塊。ファミコンカセットを変なふうに差し込んで起動したときに現れる壊れた世界。それがファイナルリクエストの世界を蝕んでいくのです。  見る影もない世界を目の当たりにしながら、あてもなく解決の方法をさがすアソンテは、華々しい冒険の裏側も再発見していくのです。人間になりたいと言ってなついていたモンスターがどこに消えていったのか。守銭奴の商人がなにを求め金を漁っているのか…。いなくなった勇者は一体何者だったのか。それは製作者とユーザーの都合によって打ち捨てられていった物語の残滓です。  作られた物語の登場人物であることを知らず、あがき続ける彼らの姿はある意味で滑稽です。でもそれを笑うことは決してできない何かがあるのです。  我々がゲームの楽しみを享受しつつも見ないようにしてきた、後ろ暗い何かがこの作品では描かれている、鎮魂歌のような作品なのです。

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嘘か真実か陰謀論

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六文銭
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自分が何かと恵まれていないのは、何か大きな陰謀によるものではないか?という、ネットではびこる「陰謀論」がテーマの本作。 主人公は、いわゆる社会的に弱者の部類で、それでも自分にも特別な何か(人生大逆転できるようなものが)あるんじゃないかと日夜怪しいセミナーに通いながら過ごす。 そんな中、偶然出会った大学生の女性に恋してしまう。 関係を深めていくなかで、彼女につきまとうFACTという謎の組織の存在を知り、彼女を守るために接触。 そこは、陰謀論に染まった集団で、自分の境遇の悪さも、彼女と出会ったのも全てが大きな陰謀だったと諭され、気づくと彼もまたその思想に染まりはじめてしまう・・。という展開。 社会的な問題を扱う重そうな感じもあれば、コミカルなヌケ感もある。 現実を描いた漫画だから明らかに嘘っぽくも感じつつも、これ実はファンタジー漫画なのでは?と思うと真実のように感じてしまう。 ついつい、陰謀も本当のように感じてしまう。(ちょっと調べればわかるんですけどね) そんな感じで嘘か真実かわからないながら、自分なんかは読んでいたのでめちゃくちゃ楽しめた。 特に2巻。 主人公が上述した恋心を抱いている女性に、付け焼き刃的な稚拙な持論を展開し、一瞬で論破される様は読んでいてホント痛々しく、ゾクゾクした。 共感性羞恥をこれほど感じたシーンはないと思う。 4巻で最終巻らしいけど、どうオチをつけるか気になる。

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