アストロ球団

超思い入れがある作品

アストロ球団 中島徳博 遠崎史朗
酒チャビン
酒チャビン

中学生か高校生か忘れましたが、いずれにしても思春期に、いっとき往年のジャンプマンガにハマったことがありまして、当時ネットがなかったので、まず情報量が少なく、しかもネット通販も当然ないので、気になった作品を見つけられても、入手が困難という中で、日々暗いながらも楽しくすごしておりました。 そんな中、出会った本作品!!!「ジャンプコミックセレクション」みたいなシリーズの少し分厚めのやつがあったのですが、それのアストロ球団を発見し、即時に1巻を購入しました!持ち合わせがあって本当に良かったです。 内容としてはトンデモ野球マンガですが、とある運命を背負って同年同日に生まれた者どもが19歳時に集結して球団を結成するという設定は、何か009的な要素も感じ、非常にワクワクしました。ラスボスの球団も、各スポーツ界の超一流エリートをスカウトして、それぞれの特技を野球に活かして勝利を目指すというもので、それもすごく良いですね。燃えます! ただ、主人公チームのキャラ設定をもう少しバラけさせて個性を際立たせた方が良かった気もします。皆基本はHR打つんすよね。メガネの秀才キャラ(「聞いたことがある!!」的な立ち位置)や、お色気キャラ(ぱふぱふで攻撃するなど)などいても良かったかもしれないです。 気に入ってるシーンとしては、①大谷選手的な意味ではなく、宮本武蔵的な意味での二刀流の選手が登場する点、②両球団の話し合いにより、正規のルールをある程度無視しても良いことになっている点、③浪花の春団治こと川藤選手がホームランを打つシーンが出てくる点(実際の川藤選手は、19年の現役生活で16本しかHRを放ってません)、④ピッチングの音で「グワシャバー」という独自表現が使われてる点(のちの岩鬼のバッティングにも影響を与えたでしょうか?)、⑤バロン森、⑥球三郎の兄・大門がグレた理由が親が入院費を払ってくれなかったからという点、等々、枚挙にいとまがありません。 ちなみに12巻くらいから試合中に死人が出るなど、どんどん野球とは関係ないバトルマンガ路線を突き進みますが(そもそも相手球団はアストロ球団の抹殺が目的と名言)、最後らへんでスポーツマンシップに則った展開に回帰します。さすがジャンプ。 あと展開の遅さも歴代トップクラスではないでしょうか。全20巻でなんと総試合数が3。試合以外のシーンの描写が多いわけではなくこの数字です。最後の試合の幕切が押し出しというのも、何か非凡なものを感じました。 ですが★自体は3とさせてください。他にもたくさん好きなマンガが、私にはあります!

あさひなぐ

「何者でもない」人たちのものがたり

あさひなぐ こざき亜衣
酒チャビン
酒チャビン

とあとがきで先生がおっしゃってるとおりのマンガです。 まず主人公がいなか臭いです。絶妙ないなか臭さで、いなか臭すぎるとマンガ臭くなってしまうのですが、本当にいそうで絶妙です。 ですがそれも素晴らしいです。 よく『ちはやふる』が少女マンガの皮をかむった少年マンガと言われていて、私すごく好きなのですが、それに近いスポ根的な部分もかなりあり、すごくこちらの作品も面白いです。つうか、よく高評価されてるのは見かけてはいましたが、こぎゃん面白いマンガとは思ってもみませんでした。ただ、若干こちらの方が少年度が低いというか、女子っぽい部分が多めでしょうか。そこも良かったと思います。 つうか最初の数巻は、わざとなのか描写不足なのか、別にそこまで皆頑張ってる感じがせず、したがって主人公のチームが負けようが特に何の感傷もなかったのですが(どちらかというと敵役の一堂選手の方が言い分もわかるし思い入れがありました。一堂という苗字も、世界的名作である奇面組へのリスペクトが感じられて好感が持てます)、途中からかなりよくなってくるので、5〜6巻くらいまでは諦めないで続けてほしいです! あと、こういう「冴えない主人公が強い人に憧れて頑張って強くなる」っていうのは定番ですが、本作品がレアなのは、憧れだった強い人から何かを受け継いで強くなった主人公が、憧れられる側だった人間に何かを返すところまで描かれている点です。 主に最終巻の話になってしまうのですが、大体前述の定番ものですと、最終巻は緊迫したストーリー運びながらも、どこか「どうせ優勝やろ」みたいなところもあるのですが、本作は最後の最後一捻りが聞いていてすごく心に残る作品となりました。 個人的には紺野選手とやす子が好きですね。すごくいいと思います。というか、このマンガの特徴として、マンガ自体とかストーリーとかが好きっていうよりも、若干脇役っぽい方も含めた登場人物のことがすごく好きになるっていう点があります。あまりそういった経験がなかったので、それも高評価をつけた理由です。 推しってこういうところからスタートするのですかね?? いずれにしても、自分ががんばっている人にはまず間違いなくオススメできる世界レベルの名作ですので、ぜひ読んでみてください!!全34巻と、完全に読者の心を入り口から折りにかかってきますが、がんばれる人なら大丈夫です!!!がんばってない人、頑張れる自信がない人はハンチョウを読みましょう!