ぼくたちは勉強ができない

結末をパラレルにすると聞いて

ぼくたちは勉強ができない 筒井大志
六文銭
六文銭

「ラブコメ漫画『ぼく勉』結末は異例の読者次第、パラレル物語開始へ 残りヒロイン4人全員描く」 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200309-00000305-oric-ent 正直、残念だった。 こういったラブコメ的なハーレム作品で、やってはいけない三大悪手が ・全員うやむやな関係にするEND ・逆に全員と付き合うEND そして、この ・ヒロインごとに複数ENDを用意する だと思っている。(異論は認めます) 要は、選ばないのはズルいと思うんですよ。 誰を選ぼうとも、結論として1人を選んだのであれば、それが物語としての完成だと思っているのです。 自分の推しがたとえ選ばれなくても、納得できなくても、ファンとしては、それはそれで一興なんですよ。脳内補完するんで。 勝っても負けてもいい試合だったと言うものがあるように、 選んでも選ばれなくてもいい娘だったで終わるものがあるんです。 この終わり方に、なんとも時代を感じました。 令和って、こういうものなのかなぁ。 可愛らしいキャラ、一途に何かを頑張る姿、素直になれない恋心など青春の瑞々しさを見事に表現した現代ラブコメの最高峰だと感じて、ずっと好きな作品だっただけに、この終わり方にちょっとガッカリしました。 まぁ、全部読むけど!

ぐりこカミングスーン

カン違いだとカン違いしていたとカン違いさせる漫画?

ぐりこカミングスーン 赤堀君
名無し

ひーくん(恋人)は100年に一人の天才ロッカー! 将来は絶対に武道館を満員にする! いまは、ひーくんを支えるために私が稼がなきゃ! ・・ごめんね、ひーくん。 アナタのために私は悪魔に魂を売るわ。 アナタが「日本の音楽シーンを支配する悪魔だ」という その悪魔(アイドル)に今だけバイトでなるわ! 「ぐりこカミングスーン」は 間違いなくバカップルのカン違いコメディ物語なんだけれど、 才能があるのに気がつかないで苦労をしているという、 ある意味で贅沢なバカップルのお話だ。 「無能なこと、無意味なことに気がつけよ!」ではなく 「有能なこと、才能を無駄遣いしていることに気がつけよ!」 とツッコミたくなる物語だ。 なぜそこで、そうカン違いする! と思いつつ読んでいたのだが、 読んでいるうちに「アレ?」と思う部分が ダンダンと増えてくる。 カン違いロッカーのひーくん。 カン違いアイドルのぐり子。 ロックやアイドルそれそれを崇拝するファン。 スカウトマンやマネージャー、プロデューサーなど業界人。 それらの日本の音楽シーンの全部に対して、 「お前らみんなカン違いしてるよ」と ディスって笑いにしているような漫画だと思って読んでいったが、 実はそう思った自分こそカン違いをしていたのでは?と ジワジワと思わせてくる漫画だった。 ピザ屋でバイトした後に 「あの大空にピッツアをひろげ~」 と唄う、ひーくん。 それを見て 「ひーくん、かっこいいかも・・」 と思ってしまった。 それこそカン違いかもしれないけれども。

放課後ていぼう日誌

部活で始める、釣り道楽。

放課後ていぼう日誌 小坂泰之
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

本作の舞台のモデルは熊本県葦北郡芦北町。県南部の海沿いの町。 広い空、美しい海、誰もいない堤防。 そこで女子高生達が釣りに興じる……。 この空気感、例えば『ゆるさば』や『東京のらぼう!』のような、爽快でゆったりした気持ち良さがある。 父の故郷に引っ越して来た、女子高生の鶴木陽渚。手芸が得意で生き物大嫌いな彼女だが、『ていぼう部』の部長に半ば強引にていぼう部に入部させられる。 昔よく遊んだ同学年の夏海、2年の大野を加えた四人の部活は、堤防側のプレハブを部室に(これがまた、憧れの秘密基地感!)平日の無人の堤防やサーフ、川などで活動する。 部活での釣りは、手軽なものが中心。 釣りにガツガツしない部長も、釣りガチ勢の大野も教え上手。初心者の陽渚に釣らせるため、部長は様々な策を(悪巧みしながら)考え、陽渚にミッションを与える。 苦手な生き物に卒倒しつつ、毎話新たな釣りの喜びと、魚の美味しさに目覚める陽渚は本当に楽しそう。 部活という枠組みは、釣り人にとって意外と嬉しいかもしれない。みんなが知識を持ち寄り、上手な人が初心者に教え、部の備品として道具を共有する。時にみんなで同じ魚種を狙い、時に分担してその日の食材を集める。なんかいいな……。 釣り以外の話題も、着衣泳、環境問題などの真面目要素、そして夏海とのテスト勉強や陽渚得意の手芸回と充実。キャラの性格が出ているエピソードに、ぐいぐい読み進めてしまう。 陽渚が釣りに夢中になっていく過程を追いながら、生き物嫌いとどう折り合いをつけるのか……若干心配だが、5巻でまだ夏休み前。これからもっと成長する、はず!

少女Aの悲劇

究極の無関心が生む、殺意を帯びるレベルのボケツッコミ

少女Aの悲劇 あさの 中村力斗
名無し

林秀雄は成績で学年一位になり続けながらも 人生の最優先事項は勉学だと確信している。 貴重な時間は全て、受験での勝利、人生での勝利のために 費やすべきだと。 青春だとか部活だとか思い出だとかに興味はない。 恋愛にも興味はないので女子高生にも興味はない。 なのでクラスメイトの浅川結真など覚えていない。 それどころか、 結真が実は地球に調査にやって来た異星人で、 突然に空中に浮遊して現れ、お漏らしをしても なんの興味も持たない。 なので結真が秘密を守るために秀雄を監視する、 つまり一つ屋根の下に住む、と言い出しても 拒まない。 秀雄の勉強の邪魔さえしないのなら構わないから。 かくして、 高校生なのに思考回路が異星人のようなクールな秀雄と、 異星人なのにメンタルが女子高生の結真とが 互いに精神的ダメージを与えあうような (秀雄はこの性格なのでダメージは、ほぼ結真に  カウンターとなってかえることになるが) 共同生活をすることになる。 高校生男女が一つ屋根の下で暮らすとなれば ドキドキラブラブな展開だったり 秘密を守ろうとトラブルが続出したり とかの展開になりそうなもの。 そういった設定で 「翔んだカップル」とか「うる星やつら」 などの名作もあるし。 しかし秀雄は結真に1mmたりとも心を動かさない。 結真は秀雄からしたら自分とは無関係な 「少女A」という存在でしかない。 好き嫌いとは無縁の「無関心」しか秀雄には無い。 そんな秀雄なのでリアクションが大抵は 通常とはズレている。 いや、状況を正確に判断し冷静に反応した結果なのだが、 普通の人はとらない態度をとりコメントを発するので、 結果的に結真に対する死刑宣告相当なレベルの 強烈なボケになっている。 そしてそのボケに翻ろうされ恐怖すら感じる結真の 心の叫びは、結果的に鋭いツッコミになっている。 普通ならラブラブでスイーツな展開になりそうな設定の話だし、 さらに宇宙人という特殊なSF的存在でありながら、 第三者的な「少女A」程度にしか扱われないという 結真の不幸を 「人の不幸は蜜の味」、というか 「宇宙人の不幸は蜜の味」なスイーツ感覚で 味あわせてくれる漫画。