あくまのまま

魔力禁止! 悪魔にママは難しい #1巻応援

あくまのまま くずしろ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

魔界の悪魔を呼び出した、小4の桜。悪魔セーレ(男)に魂を差し出して願ったのは……「ママになって!」 ……悪魔に頼む事じゃない! 悪魔セーレにしてみたら、今迄に考えたことも無いケース。そもそも何を求められているのかも分からず、母親と死別していて母子関係が分からない桜の、曖昧な願望に振り回される。 何か頼まれると、強力な魔力と悪魔の価値観でダークに張り切るセーレは、「そうじゃない!」と桜に突っ込まれる。色々分かっていない悪魔が悪いようで、突っ込む少女も賢いが何かズレてる……?というヘンテコなやり取りが、凄く笑える。 セーレと桜の「二人の」契約は、桜が独断で行ったため、さらに面倒なことになる。次々と増えていく登場人物……!その都度、割ときちんと対応していくセーレだが、悪魔の凄みが隠しきれず、結果ツッコミどころ満載! セーレが家事面でも精神面でも、桜と家族を助ける存在になるのかどうか……先行き未知数のかなりぶっ飛んだ、悪魔男子の〈継母〉コメディ。桜の寂しさも描かれ、人間の機微と「察する」ことを覚えつつあるセーレの対応力に期待! (去年の作品ですが……2020年5月時点で次巻が未定なので応援!)

ウサギ目社畜科

カワイイの向こう側に透けるブラックさとキモさ(いい意味)

ウサギ目社畜科 藤沢カミヤ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

まず、めっちゃカワイイ。 それは何を置いても第一に来る。 月での異常な労働環境で働いてきたがリストラになり地球に来たふわみ。 この表紙のピンクの髪のうさみみのカワイイ生き物がふわみである。 部屋に転がり込んできて居候するという伝統的なドラえもんスタイルから始まるが、ブラックすぎる環境にいたせいか、不憫すぎるほどに従順で一生懸命で身も心も過剰に社畜だ。 なぜなら働かないと、溶ける。物理的に、身体が。 普通に不憫だとただかわいそうに・・となるが、ここまでくると超カワイイ。 不憫カワイイ。 社畜力53万と言われてもおかしくないくらいに価値観の違う社畜で完全に異文化交流だ。 世紀の発見である月の住人に部屋の掃除をさせご飯を作らせる。 しかも本人はそれを至上の喜びと捉え感謝している。 こんなの狂ってる! でもカワイイのだ。 だからオールオッケー。 社畜とは何か、その行き過ぎた行為の現代社会の闇の一端に触れたような触れてないような、そんな気になった。 もしかしたら働きすぎな現代人への警鐘をカワイさに包んで鳴らしてくれているのかもしれない。 個人的には、体の一部が大きくあるキモさとデフォルメされたへたったウサギっぽいところが好きです。

吾輩の部屋である

リア充ではないが一国一城の主

吾輩の部屋である 田岡りき
名無し

主人公の鍵山はけしてリア充ではない。 だが非リア充であるともいいがたい。 少なくとも鍵山には自分が王様である居場所がある。 けしてニートとか引きこもりというわけではない。 大学院に通学し研究に勤しんでいる。 やたらと教授を怒らせているけれど。 コミュ障というほどでもない。 ゲーム仲間の友人も、飲みに誘ってくれる先輩も、 付き合いたくてアプローチしている同級生女子もいる。 たまたま運や都合が悪く、上手く行かないことが多いけれど。 極端に根暗だとか精神的異常者でもない。 カバの置物や炊飯器、換気扇と会話したりするけれど。 裕福でもないが飢えに苦しむほど貧乏でもない。 冷蔵庫内の余った食材を使いきろうとして 完成した謎料理をまえに躊躇したりするけれど。 アパート内がゴミ屋敷とか汚部屋とかになっている訳でもない。 掃除や整理整頓にいそしむこともある。 主にレポート提出に追われているときなどに限るけれど。 何かを達成するために、今は苦労に耐えている、 というわけでもない。 かといってけして自堕落というほど無気力でもない。 そんな普通の若者?の主人公・鍵山の、 1K(6畳)バストイレ付きのアパートでの生活 「のみ」を舞台にした漫画。 たとえ6畳1Kであろうとも、 たとえ学生バイトの身分であろうとも、 一国一城の主だ。 だから自分の城のなかでは自分をさらけ出す。 炊飯器や飲みかけの酒瓶であろうとも、 自分の意を汲んだ会話が成立?している。 スマホは色々と導いてくれる。 多少は意に反した結果となって、 自虐的に無理矢理自分を納得させていたとしても。 そんな6畳一間での鍵山の生活を見ていると、 「とにかく頑張ろうぜ、  オレも偉そうなことは言えないけれども。」 と思ってしまう(笑)。

私はカレン、日本に恋したフランス人

カレンさんと西先生の2人だからこそ描けた奇跡の1冊  #1巻応援

私はカレン、日本に恋したフランス人 じゃんぽ~る西
nyae
nyae

連載で少し読んでいたけど、1冊通して読むとまたこの本の良さがより沁みますね。 カレンさんが日本に関心を持って、日本に住みたいと思って、日本人と結婚して、そして旦那さんの手によってこの本ができたという事がいかに奇跡的かと思ってホロリとしました。フランス人女性が、ではなく「カレンさんが」というところが大事です。 外国人の目線から日本人も気づかなかった日本の面白さや変なところに気づくと言うパターンはよくあるけど、カレンさんの場合はまず「音響の良さ」から入ったというのが非常に面白いです。 録音した山手線のアナウンスを聞いて、日本を思って泣いたというエピソードは笑いました。でもほとんど家にいる生活をしている今、電車のアナウンスを聞くと出かけている気分になってかいいかもしれない! 世界情勢や戦後日本の歴史など、シリアスな面も含めてフラットな目線で勉強になるし、自分の国なのにまだまだ知らないことだらけだな…と改めて思い知った次第です。たぶんカレンさんの方が日本を知ってます。笑 ちなみに、じゃんぽ〜る西先生はデフォルメした作画が特徴的ですが、この人相当画力が高いんだな…というのがわかり、新たな発見となりました。