きまぐれオレンジ☆ロード

夢のような80'sに想いを馳せる

きまぐれオレンジ☆ロード まつもと泉
野愛
野愛

まさに夢のような80's!! 都会的とかお洒落とか大人っぽいとかそういう概念をこれでもかと詰め込んだ最高のラブコメです。 このキラキラした世界観に当時の中高生たちはさぞ憧れたことでしょう。 ごく普通の男の子なのに実は超能力者という恭介の設定も気持ちいいくらいにご都合主義だなあと思いきや、ちゃんとヒロインとの出会いのストーリーに活かされています。 そしてなんといっても2人のヒロインがめちゃくちゃ最高です。 大人びてセクシーなまどかと、天真爛漫で一途なひかるちゃん。どちらも可愛いし、ひとりの女性として人間として魅力的なんです。 恭介が優柔不断になる気持ちもわかる…。選べません。双子の妹ちゃんも2人とも可愛くて選べません。 そして80年代ファッションも可愛いです。ハイウエストのスカートとかロゴ入りのスウェットとか今見ても(今だからこそかも)お洒落で可愛い!! 喫茶店でバイトしたり、ディスコやロックのライブに行ったり、こっそりお酒を飲んだり(未成年飲酒ダメ絶対)…背伸びしたい少年少女が描く煌めきに満ちた青春そのものを謳歌していて、戻ることのない時間に想いを馳せてしまいます。空気感ごと愛おしいのです。 煌めきに満ちた…憧れのエイティーズ… みたいなポエムを思いついちゃうくらいに素晴らしい作品でした。遅れてきた青春をありがとう。

風光る

少女漫画の既成価値観と戦い抜いた最終回…! #完結応援

風光る 渡辺多恵子
せのおです( ˘ω˘ )
せのおです( ˘ω˘ )

少女漫画を支えていた1つの作品が、もう「見事」としか言いようがないほど素晴らしい最終回を迎えることができました。 『風光る』は、月刊flowersが創刊号からずっと連載されており、2020年7月号をもって23年間の連載に幕を閉じました。 本作は1997年~別冊少女コミックで連載が開始されましたが、2002年に別冊少女コミックがリニューアルされた際、プチフラワーと別冊少女コミックの一部連載作品を併合した形で創刊された月刊flowersに移籍されました。 flowersの元になった別冊少女コミックは、萩尾望都の『ポーの一族』『11人いる!』、吉田秋生の『BANANAFISH』、田村由美の『BASARA』など数々の名作を生んだ場であり、今もflowersでご活躍されている漫画家さんがご活躍していました。 flowersのもう一つの前身であるプチフラワーでは、24年組では竹宮惠子の『風と木の詩』、木原敏江、大島弓子や山岸凉子の短編、ポスト24年組と言われる佐藤史生、ささやななえ、そして彼女らの次の世代にあたる岡野玲子、吉野朔美、西炯子などなど、常に新しい少女漫画の価値観を生んでくれた多彩な作家陣でした。 つまり、月刊flowersは、既成価値観を壊し戦い抜いてきた作家陣の意志が残された、小学館の唯一の少女漫画雑誌なのです。 前置きが長くなりましたが、『風光る』がここまで見事な最終回を迎えられたのは、今現在のflowersに、前述した数々の巨匠たちの影響が残っている故だと思います。 また、『風光る』も、停滞している少女漫画の既成価値観に対し、23年間ずっと戦ってきました。 その功績の一つが、それまで難しいと言われていた、少女漫画で史実に沿った歴史ものを、最後の最後まで描き切ったことだと私は思います。 そしてその結果の、この最終回…!! flowersがなければ、この最終回は描けなかったのでは…?ともまで思います。 この完結を読むことができて、作品にとって雑誌というのはとても重要なんだな…と思うことができました。 (作品自体の感想は、以前書いた口コミを読んでいただけたらなと思います…!)

ハチミツとクローバー

10年振りにハチクロを読み返した

ハチミツとクローバー 羽海野チカ
かしこ
かしこ

ハチクロの連載終了時が高校1年生だったので、私も大学生になったらこんな青春をしたいな〜と憧れながら読んでいました。気の合う仲間達と遊覧船に乗ってお弁当を食べたり、クリスマスパーティーをしてツイスターで遊んだり、笑ったり泣いたりしたかったのですが、実際にそんな感じの大学生活を送れるはずもなく…。月日は流れ流れて、あの頃大好きだったハチクロをこのたび10年振りに読み返してみました。 まず衝撃的だったのは、どんだけダサダサな服でも見事に着こなしてしまうおしゃれチャンプの山崎さんが年下になってしまったこと!彼27歳なんですって。若造ですやん。そんな感じで主要キャラの大学生5人も自分より年下になってしまったので、今回改めて読んでみたら大人キャラ達にとても共感するようになりました。例えば、野宮さんの山田さんに対するアプローチを見た山崎さんが「何でお前の恋愛ってさキズつけるのが前提なの?オレは好きなコができたらうんと大事にしよう…ってずっと思ってきたぜ?」と言ったことで、野宮さんがとうの昔に脱ぎ捨てた青春スーツをもう一度着ることになるこのシーン。これを読んで私は…ハッ!青春と呼ばれる時代が遠く過ぎ去ったとしても、あの甘酸っぱい感情とエネルギーは再び装着できるんだ!と目からウロコでした。(山崎GJ!あなたと一緒に大人になったって壊れない友情があるってコトを証明したいです!)ラストでは花本先生も青春スーツを再装着するのがいいですよね〜!むき出しの感情が人生を変える瞬間はキラメキに満ちています。大人になったことでようやく気づけた物語がありました。 ちなみに一番カッコいいと思ったのは美和子さん。私もまぜご飯番長になりたいです!