勤番グルメ ブシメシ!

土山しげる先生の魅力を改めて知る

勤番グルメ ブシメシ! 土山しげる 酒井伴四朗 青木直己
野愛
野愛

何も起こらない日常で、いつも通り美味しいご飯を食べる幸せ。たまに、いつもよりちょっと豪華なご飯を食べる幸せ。それはいつの時代も変わらないのだ、と優しく穏やかに教えてくれるような作品。 土山しげる先生の作品に出てくるご飯はどれも美味しそう。でも、それを凌駕するほどの衝撃をいつも感じていたので、純粋に「ご飯が美味しそう」を楽しめることに新鮮な喜びを感じました。 グルメな武士って飯不味かったら店の看板ぶった切ったのち刀で飯作ったりするのかなあ、なんて想像していたことを反省します。 実際描かれているのは、現代人も羨むほど穏やかでのんびりした世界。 むしゃくしゃして鯵のひらきを夜中に焼いたり、体調が悪いのにカツオのたたきをたくさん食べて後悔したり…なんとも微笑ましいエピソードが満載です。 実在の人物・酒井伴四郎が残した日記に基づいた作品ですが、土山先生当時そこにいたんじゃないのと思うほど人物も料理もイキイキと描かれています。漫画界の司馬遼太郎ですね…! こんなご時世ですもの、お家で美味しいものでも食べてブシメシ読んで、少しでも穏やかな気分に浸ってみませんか? とにかくテンション上げたい、元気になりたいひとは食キングとか喧嘩ラーメンとか読みましょう。

聖ロザリンド

世界一可愛くて世界一恐ろしい

聖ロザリンド わたなべまさこ
野愛
野愛

漫画の登場人物でいちばん可愛い女の子は誰だと思いますか? と聞かれたら、おそらくわたしはロザリンドと答えます(ハルシオン・ランチのヒヨスとゆびさきミルクティーの左ちゃんも捨てがたいけど)。 ロザリンドはそれはそれは天使のように愛らしく無邪気な少女です。母に愛され執事に見守られ暮らす、天真爛漫で素直な少女です。 でもめちゃくちゃ人殺します。とんでもない方法で殺します。 「輸血」と「バター」がかなり印象に残っていて何度も思い出したり読み返したりしています。トラウマになるのでぜひ読んでみてほしいです。 話は振り出しに戻るのですが、ロザリンドは本当に可愛い女の子なのです。嘘を嫌い、苦しんでいるひとを放っておけない一面もあります。母を愛し、また、母に愛されている幸せな女の子なのです。 だからこそ、どうしてこんな天使のような女の子が…と悲しくなったり恐ろしくなったり心を揺さぶられるのだと思います。 大人になったロザリンドに格闘技覚えさせて沙村先生のベアゲルターに登場させたい…そんな恐ろしいパラレルワールドを夢想してしまったので神に懺悔したいと思います。