時間を我等に
平安時代のいささか性格の悪い貴族にからかわれる可愛そうな鬼、水星の王国の国王の不思議な義務、ハレー彗星を見物するために創られた旅行マシン、〈時間〉にまつわるさまざまなエピソードを坂田流につづる「時間を我等に」、文豪・小泉八雲が独自の世界を創り上げている作品の数々を魅力ゆたかにアレンジした「怪談」、機械と生物との不思議な関係を描いた「やわらかい機械」の三篇を収録。心地好い優しさに満ちた作品集。
闇夜の本
これは闇夜の本。でも、闇夜とはいっても、ちっとも怖くなんかない。なぜってここには、夢と優しさがあるから。閉じた目蓋の裏を思い出の場面がよぎっていくように、夜の闇を銀幕にして、懐かしい景色や心暖まる物語が浮かびあがってくるから――ファンタジー・コミックの短篇ばかりを全3巻に結集。キラキラ輝く“愛と不思議”をいっぱいにつめこんで、坂田ワールドの魅力をあますところなく伝える、傑作集の第1弾。
飛鳥昔語り
天皇への謀反を企てたとされる飛鳥時代の皇子、有間皇子の悲劇を新たな視点で描いた表題作、りぼん新人漫画佳作受賞の実質的デビュー作「チゴイネルワイゼン」、部室のドアのイラストに描かれた少女をめぐる愛情物語「ぼくの中のアリスへ」、他「村木くんのネコぶるーす」「桜の森の満開の下」「飾り窓のあかね姉さん」「鶴姫哀話」と、初期作品7篇を収録した傑作名作集。描き下ろしあとがきマンガ「飛鳥昔語りの頃の事」
青年アレックスが、時間線上で遭遇するパラドックス・ドラマ「未来より愛をこめて」をはじめとするタイムトラベル・シリーズ5篇、驚異の記憶力を持ってしまったら「流水子さんに花束を」、亡くなった彼氏そっくりの男の子が現れたら「聖バレンタインの幽霊」、戦死した恋人を待ち続けたら「カメを待ちながら」、目ざめると背中に翼が生えていたら「飛行少年モッ君の場合」、愛のフシギを描くSFファンタジー全9篇を収録。
キネコミカ
『風と共に去りぬ』『地球防衛軍』『2001年宇宙の旅』『大脱走』『ゴッドファーザー』『妖星ゴラス』『ブレードランナー』『薔薇の名前』『バットマン』等等、なつかしの名画から近年の傑作まで、古今の映画に隠された真実を暴きだし、痛烈に笑いとばす一読驚嘆のコミックムービー怒涛の34連発。豪華オール2色刷。
一九九X年、幕張のコミケ会場が何者かに爆破された。そして二〇XX年、紙の本の激減は、「書店法」に管理された巨大書店の独占やそれに対するテロ攻撃など、本をめぐる犯罪の増加を招いていた。凶悪化する書店犯罪を防ぐべく、武器の携行を許可された書店管理官、紙魚図青春(しみず・せいしゅん)の活躍を描く、星雲賞受賞のSFハードボイルドギャグコミック。
二〇XX年、活字文化は衰退の一途をたどり、わずかに残った書店さえ廃業に追い込まれつつあった。情報ネットワークを運営する企業、調和社はこれに乗じて、あらゆる書籍を情報として独占することをもくろんでいた。愛する一軒家の書店を守るため、巨大勢力に立ち向かう書店管理官の運命は? 『DAI-HONYA』続篇。
東京は上野のお山に立つサイゴーさんの銅像が、ある日突然、人間になって動き出した。歩きまわっているうちに、台座には新しい銅像が立ってしまい、もとにもどれなくなってしまったサイゴーさんだが、上野の町で暮らすうち、その純朴でちょっととぼけた人柄が町の人たちに愛されるようになり、協力して難事に立ち向かうことになる。気持ちがぽかぽか温かくなるハートフルコメディ。描き下ろし「幸せのサイゴーさん」収録。
3・11を契機に、広島へと移住した「ぼく」は、これからどのように生きるべきか、過去から学ぼうとしていた。日々の生活は静謐かつ思索的なもので、SF的なイマジネーションに満ちている。自分のこと、家族のこと、津波のこと、放射能のこと……そんな「ぼく」の想いは、過去から現在、未来へと縦横無尽に駆け巡り、広島から東京、やがては福島へと辿り着く――西島大介はいま、なにを考えているのか? そしてその創造力の源泉にあるものとは? 著者の新境地を切り拓く、SFエッセイコミック。
『アルジャーノンに花束を』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『幼年期の終り』『ソラリスの陽の下に』『タイム・マシン』『虐殺器官』等々、古今の名作SFに隠されたヒミツを解体し、強烈なヒネリをくわえた驚天動地の怒涛のギャグコミック。電子化に際し、各紙で掲載された「SF大将」「SF小僧」を完全収録する決定版登場!
花図鑑
性にまつわる抑圧や禁忌に悩む女性の心に、さまざまな角度からスポットをあて、その秘められた心理を衝いたオムニバス作品集。男女交際禁止の厳格な女子校で起こったおかしな騒動を描く、第一話「聖笹百合学園の最期」から、大企業の老社長と若い女性の出会いがいつのまにか世界を変えてしまう、第十話「世界爺―セコイア―」までを収録。描き下ろしエッセイマンガ「左手のためのワープロ花図鑑狂奏曲」もあわせて掲載。
H・P・ラヴクラフトが創始し、今も多くの作家たちに書き継がれているクトゥルー神話には、宇宙的恐怖の権化たる怖ろしい姿の邪神たちが登場するのですが、もしこの邪神たちが女の子だったら? かわいい邪神たちのなんだか恐怖な日常を描いた非現実コミック!
元ネタとなっているクトゥルー神話に関して、正直それほどの知識はありません。ただ、作者のCOCO先生はクトゥルーもお好きなんだなあというのは今日の早川さんでも随所にちりばめられており、知らなくても楽しめました(基本愛らしいキャラクターばかりでしたし) 時折描かれるホラー描写も、この作品に刺激を与えてくれるスパイスなのではないかと思います。 今日の~でも登場していたティンダロスはじめ、クトゥルーやダゴンなど、可愛らしくデフォルメされた神々の愉快な生態(?)は、肩肘張らずに楽しめる作品だと思います。