まみこ
まみこ
1年以上前
ラーメンを題材にした漫画には、構造的な問題があります。 「枯れている料理であるが故、そのためには表層的ではない旨さを描く、そのための手法/技術を、絵で説得しなければいけない」 …と言うものです。 え?めちゃくちゃ難しいですよ、これ! 生きることに絶望した三人、婆さんを亡くしたラーメン屋の爺さん、友人に裏切られてしまった女子高生、砂漠の中で遭難してしまったグルメ評論家、それぞれが一杯の塩ラーメンのために最後に集結する。 勿論、食べることと生きることは直結しているのですが、更に踏み込んで、もつれた人間関係も、自分の生きたい道を伝えることも、自然と紐解かれていく。そういうお話です。 そのためには、舞台を新櫃ウイグルの山脈と、群馬県の小都市を交互に行き来させることで、説得力を持たせているんですね。 今のグルメ漫画は、大概、作者や原作者が、実物をデジタルカメラで撮って、それを取り込んで加工、またはトレスするのが普通なのですが、この漫画はそれをやってないですね。そのシンプルでも、きちんと美味しそうに見えるのは、実物のシンプルだけど力強い一杯、これがないと成立しなかったでしょう。 麺を綿棒で打つ、出汁を取る、味見をする、湯切りする、と言う極々地味な作業の一つ一つが愛おしいのです。 …後、最後のオチとしては、最後までラーメン屋になることを反対していた、コジマの母親が、フツーにフロアのバイトとして入ってるコマでしょうか(?)