兎来栄寿
兎来栄寿
3ヶ月前
『パルワールド』が物議を醸しつつ発売1週間で1000万本に迫る超絶的なセールスを叩き出し、実に14年ぶりの最新作となる『風来のシレン6』が発売し、『龍が如く8』も発売となって明日は『グランブルーファンタジーリリンク』も満を持してアーリーアクセス開始と今日も盛り上がっているゲーム業界。 ゲーム大好き兎来さんな私ですが、それら全てを我慢して土日も仕事に励んでいます。 そんな今週末ですが、杉谷庄吾さんの『ニャリウッド!』2巻と新作『レオナ・ロイヤル・ロード』が2冊同時発売されました。もう、これだけで最高にハッピーな週末と言えますね。 『レオナ・ロイヤル・ロード』は、ひきこもりゲーマーだった少女・汰糸(たいと)の下に「レオナ・ロイヤル・ロード」というゲームの世界のお姫様がやってきてゲーム作りへと導いていく物語です。 こと「創作」に関して杉谷庄吾さんが描くものに間違いがないことは『映画大好きポンポ』さんシリーズに触れたことのある方であればご存知でしょう。本作でも創作論的な部分の熱さと面白さは健在で、そこに主要キャラクターたちの感情がしっかりと乗せられています。 タイトルにもなっている「ロイヤル・ロード」は「大いなる目標へと進む道」「幸せになる道」として規定され、この現実世界で誰しもが歩むことができるそれぞれの道として示されます。読めば、あなたにとってのロイヤル・ロードを改めて見つめ直すきっかけになるかもしれません。それは、もしかしたらどこかで諦めたり妥協してしまっていたりした道かもしれませんが、汰糸が覚悟を持って踏み出す姿には勇気を貰えるでしょう。 そして、その道が決して甘くないことも描かれます。失敗して、落ち込んで、どうしようもなくなるときの最悪な気分。しかし、それすらも自分が本気で頑張ったからこそ得られる感情で、魂の燃料ともなるかけがえのない宝物なのだと成長した汰糸に言わせるところは最高です。 ゲーム作りの部分でも個人的には共感しました。ノートにたくさんの世界設定や武具や魔法や必殺技や敵味方キャラのステータスを夢中で書き殴っていた過去を思い出します。この作品の世界ではSteamならぬSPARKというプラットフォームがありますが、自分の作ったゲームが世界に出てほんの少しでも誰かに遊んで楽しんでもらえたら、その喜びといったらないでしょうね。 ゲーム作りはもちろん、ものづくりに興味のある方、行き詰まっていた人生を打開していく物語を読みたい方にお薦めです。