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借金1000万作曲家の人生を変えてくれた猫の話

それにしても猫がかわいい #1巻応援

借金1000万作曲家の人生を変えてくれた猫の話 ちとせ 響介
兎来栄寿
兎来栄寿

借金1000万円を背負いながら、猫のためにマンションを購入し、さらには1億の豪邸も建てたことでTVにも出演して有名になった作曲家の響介さん。 100万PVを超えて書籍化もされたその「猫マスター」としての活動の様子を、『ところにより犬や猫が降るでしょう』や『ねことボン』のちとせさんがコミカライズしたのが本著です。 私も大概ちとせさんの描くワンニャンが大好きですが、本作でもそのかわいさは飽和しています。特に、Story4でのポポロンの表情は反則的。0.02秒で″保護″ります。 猫への愛が高まりに高まり、猫ファーストを信条とする響介さんの、猫にすべてを捧げる生活の始まりから実際的な内容までが詳らかに描かれます。幕間では、熱の溢れるコラムも。 リュックやソラといった猫の名前の由来が響介さんの大好きなファイナルファンタジーやキングダムハーツにあるのも個人的に共感するポイントでした。なお、ちとせさんの絵も可愛いですが、実物の写真集も付いています。ソセコアカミミ。 響介さんは、元々借金のあるところから猫を飼い始めて、猫のために頑張ることで今の生活を手に入れることができたものの、猫のみならず動物を飼うに当たっては基本的に経済力を有していなければならないこと、そして大切な子たちに健やかに暮らしてもらうための大切な覚悟・心構えが説かれます。 あとがきに「保健所や里親に目を向けて」と書いてあるのも素晴らしいと思いました。 ″猫には「いい」か「よい」しかない″ Exactory(その通りでございます)

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44歳の彼女

44歳同士のラブコメ #1巻応援

44歳の彼女 ホリユウスケ
兎来栄寿
兎来栄寿

『シャッフル学園』、『デリバリーオブザデッド』のホリユウスケさんが送る、現代アラフォーラブコメ。 動物フィギュアの原型師である主人公・王寺竜丸(おうじたつまる)が、ある日同じ未婚独身44歳の隣人の隣人である料理人・大庭希厘(おおばきり)と出逢いラブがコメり始める物語です。 何も起こらないと思っていた人生でも、ある日突然予想外の展開が起きることもあるんですよね。そこには年齢も関係ありません。 最初こそ王寺の方が一方的に好意を抱いているように感じられながらも、意外と希厘の方も満更でもない感じを言外に出してくるシーンには口元が緩んでしまいます。 しかし、そこに介入してくるのが32歳の黒髪ロングストレート美人の和白葵(わじろあおい)。彼女も含めた三角関係の様相を呈していきます。 普通に考えれば葵がお邪魔虫ポジションなのですが、 「私は男運のないメンヘラです  メンヘラ歴32年のプロと言ってもいい」 と語る葵をどうして嫌いになれましょうか。30歳を超えた瞬間に友人や家族や社会から受ける≪圧≫の描写も、共感を生むところでしょう。読んでいて、3人ともどうにか幸せになって欲しいと思うことしきりでした。 未婚率もますます高くなりつつある現代社会、独身アラフォーのこうした作品の需要もますます高まって行くことは間違いないでしょう。 全体的な会話のテンポなども小気味よく、1冊で気持ちよく読み終えられる作品です。

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死亡遊戯で飯を食う。

彼女がデスゲームに参加し続けるたったひとつの理由 #1巻応援

死亡遊戯で飯を食う。 ねこめたる 万歳寿大宴会 鵜飼有志
兎来栄寿
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『このライトノベルがすごい!2024』の新作部門1位を獲得した鵜飼有志さんの小説のコミカライズです。 女の子だけで行われるデスゲームですが、通常のデスゲームものと大きく異なる点があります。 多くのデスゲーム系作品では、主人公は自ら望んだものではないゲームに巻き込まれるパターンが非常に多いです(『バトル・ロワイアル』、『BTOOOM!』など)。 望んで参加する場合には、借金返済のためといった理由が多いです(『カイジ』シリーズや『トモダチゲーム』など)。 しかし、本作の主人公・幽鬼は自ら望んで、金銭などのためではなくゲームに参加し続けます。その動機は「99回のクリアを目指す」ということ。デスゲーム自体が生きる目的になってしまったという、バーサーカー的な存在です。 物語の最初に描かれるゲームは幸いにして協力型なので、既に27回クリアしているヘビーリピーターの幽鬼は、いわば仲間として頼りになるスーパー船井。知識もノウハウもある彼女がいればクリアは難しくない……とはいえ、そこは極限状況。次に何が起きるか、誰が裏切るかもわからない疑心暗鬼のデスゲームの醍醐味が描かれていきます。 そこそこハードな描写も出てくるので、苦手な方はご注意ください。 しかし、とにもかくにも作画の万歳寿大宴会さんの絵が大変にお強い! 女の子が全員とてもかわいいです。そんなかわいい女の子たちが、生と死のあわいで表情を歪めていく姿。福本マンガの金持ちの気分を疑似体験できるようです。 既存のデスゲーム作品へのメタ的な部分も含まれており、デスゲーム好きの方、サスペンス好きの方にお勧めです。

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かしこい男は恋しかしない

恋多き超進学校男子ラブコメのコメがすごい #1巻応援

かしこい男は恋しかしない 凹沢みなみ
兎来栄寿
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『星子画報』の凹沢みなみさんによる新作です。目に見えて画力が上がり、とても読みやすく魅力的な絵になってきています。 「東工大の彼氏を尊敬していたが、東京工業大学だと思っていたら東京工芸大学(偏差値37)で100年の恋も醒めた」という笑い話も漏れ聞きますが、実際に『純猥談』などでも語られていた通り高学歴の男性に欲情する女性は存在するようです。ただ、それは生存戦略的には実に真っ当なことで、高学歴であるということは現代社会においてはイコール経済力の高さに非常に結び付きやすい要素。昔でいえば、大きなマンモスを狩る能力に匹敵するわけで、それは遺伝子レベルで惹かれることも不自然ではありません。 しかし、この日本の最高位とされる進学校にはひとつ問題があります。それは、中高一貫の男子校であるということ。何なら、開成だけではなく他の御三家である麻布と武蔵も、関西の雄である灘も、全部男子校です。世界には、男と女が半々でいるにも関わらず、思春期の6年間の長い時間を男性のみがいる場所で過ごす。そして見事に東大に進学し、突如普通に女性がたくさんいる環境に置かれたときに何が起こるかは火を見るよりも明らかです。 個人的には、割とこれは根深く重大な問題だと思っています。日本最高の頭脳である東大理Ⅲの男性が、異性とのコミュニケーション能力に乏しかったり免疫がなかったりする状態は大変によろしくないのではないか。 そういう意味では、この作品の主人公・大沢正直(おおさわまさなお)のように、少々痛々しく見えてもいろいろな経験を若いうちにしておくのは大事なことだと思います。 本作は、コメディ成分が多く見た目以上に男性でも楽しく読めるであろう進学校男子のラブコメ。 「使われてる…! 他人の青春のダシに使われてる…!」 というフレーズで開幕し、他校の男女から動物園の見世物的な扱いを受けつつも、偏差値や将来性などで心の中でマウントを取りながら何とか精神の安寧を保っている普通の賢い男子高生たち。そんな彼らが慣れない女の子たちとの関わりを通して味わい深さをもたらしてくれます。 この作品の特徴は、何といっても凹沢みなみさんの卓抜したセンス。 ・「青春陳列剤」 ・「トロミをつけてクラフトビール飲むサブカルジジイ」 ・青臭いことを語ったり距離が縮まりがちな「放課後ファミレス」の言い換え→「アオハル阿片窟」 ・「目クソ鼻クソ世界王者決定戦」 ・「公立…内申点という邪教を拝する異教徒!!」 などなど、語彙力が天才的でパワーフレーズが大連発されます。架空のマンション広告のキャッチコピー「都心、開闢」などさり気ないところにも好きポイントがたくさんあります。 性格の悪いシグマ、実家が太く聖人な樹太郎らいつも3人組でつるんでいる同級生や、昂ると薩摩武士のような表情になり誤解を招くヒロインのちほねなどサブキャラクターたちも漏れなく魅力的です。 ギャグは冴えに冴えわたっているのですが、恋愛の部分や人間ドラマ的な部分もギャップで見せてくれるところが多々あります。 巻末には、外山薫さんによる外伝小説付き。サブキャラの魅力を補強する1篇となっています。 普段、少女マンガを読まない男性にもお薦めします。進学校あるあるが楽しめる方はより楽しめることでしょう。

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会社と私生活-オンとオフ-

会社員の真の姿×2 #1巻応援

会社と私生活-オンとオフ- 金沢真之介
兎来栄寿
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『クノイチノイチ!』の金沢真之介さんによる新作です。 オンの時には同じ会社で働く社会人でありながら、 オフだとコテコテのロリィタ男子になる甘田奏太郎(あまたそうたろう)と オフだとゴリゴリのパンク女子になる阪久明(はんくあきら)。 そのふたりがお互いに秘密にしているオフの姿で出逢い、互いの正体には気付かず知り合っていく物語です。 「変身」と「ギャップ」は古来から少女マンガの花であり、時代を問わず人類の大好物であるもの。みんな大好きでしょう、こんなの。見た目は激強なふたりが、お互いに遠慮がちに距離を縮めていく初々しさがたまりません。そんな中で、誰にも言えない自分の本当の在り方を優しく肯定してもらえる瞬間など、心の中の赤ちゃんが「てーてー!」と泣き叫びます。 普段は物腰柔らかで優しいイケメンの奏太郎がロリィタ武装時して美少女になったときのかわいさや、普段は地味な経理のメガネ女子で無愛想な明がバッチバチにキメたときのカッコよさ。それらが、金沢真之介さんの絵力で強く押し出されてきます。 読切の「いっぱい出して♥淫魔のピンチ」なども含めてこれまでは結構エロの方に振ることも多かった金沢さんですが、エロなしでもシンプルにキャラのかわいさだけで十分蔵が立ちそうです。 奏太郎と明、ふたりの関係性の展開やそれぞれの奥底にあるものが気になります。

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