toyoneko
1年以上前
「るなしい」は,意志強ナツ子先生の新刊です。今のところ,既刊は1巻のみ。
掲載誌はなんと小説現代。
意志強先生の過去作は,「魔術師A」と,あとは「りゅうのすけくん」だけ読んだことがありました。
http://leedcafe.com/webcomic/exmanga019a/
どちらも面白いのですが,エロ比重が大きすぎて,正直自分の中で持て余していたところ,
本作は,(少なくとも1巻の時点では)直接的な描写はなく,比較的読みやすい作品になっています。
主人公の「るな」は,学校内でいじめをうけている,もっさりした感じのメガネ女子高生。
彼女は,広報委員会に所属しており,その中では「オタサーの姫」的な扱いを受けています。
一方で,彼女は,学校内で,処女の血がしみ込んだモグサを売って,
希望者にお灸をする(しかも有料)という,やや怪しげな活動にも手を出している人物。
そんな彼女が,ふとしたことから背の高いイケメンと仲良くなって…というところからストーリーが始まります。
…こう書くと,なんだかラブストーリーが始まりそうですが,
意志強先生のお話ですので,そうではなく,
中心になっていくのは「やや怪しげな活動」の部分です。
るなの「おばば」は,
るなを「神の子」とするリアルな「信者ビジネス」を営んでおり,
その考え方は,ほぼカルトです。
悩みがある者を焚き付け,家族と切り離し,
奇跡を見せて,取り込んでいく…。
もちろんガッチリお金をとる。
るな自身も,そのことを充分に把握したうえで,
これに加担し,背の高いイケメン(ケンショー君)を取り込んでいく…。
破滅が確定している結末に向けて,
不穏さばかりが増していく物語。
オバケが出てくるわけでもないのにホラー感は強く,
ゾクゾクするような読み味であり,きっと名作になるであろうと予感させてくれる作品です。