mampuku
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7ヶ月前
【4巻読了】 ・能力主義(メリトクラシー)は本当に正しかったのか? ・私は自由を求めて本当に自由を手にしたのか? というスーパー哲学的なストーリーのベースラインとなります。 これはマジで答えが出ないです。 素人考えですが、高校数学の2次関数において 任意のx, yをとるxの2次関数f(x)=zみたいな、多面的で複雑な哲学問題のようだなと思いました。 f(x)の最大値はアイドルの可愛さや歌の上手さで決まるように見えて、案外複雑な関数が横たわっているのです。 そして、彼の代表作『NEW GAME!』を踏まえると、得能正太郎作品に共通する哲学とは、「人間の生み出すエネルギー」なのではなかろうか、という補助線が浮かび上がってくるのです。 作者には世界(あるいは人間)がこういう風に見えているんだろうな、という本来の意味での【世界観】がありありと見えてくる。名作漫画の要件として、個人的に推したい【関数】のひとつです。 (追記) 「目が肥えているからこそ、見えないものがあったのかもしれない」 審査員の採点とオーディエンスの投票が食い違ったことに対する主催者の言。 『目が肥えている』と断言することでプライドと責任を表しつつ、同時に謙虚でもある。めちゃめちゃいいセリフだなぁ。
mampuku
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11ヶ月前
■全巻読了 社会の在り方に関心がある人ほど、『BEASTARS』という作品世界観と現実の人間社会にアナロジーを見出したくなるかもしれない。草食動物のか弱さを現実のジェンダーギャップに、肉食獣の立場の弱さを現実の人種差別に置き換えて読めばなにかのヒントが得られそうな気がしてくる。しかし結局、『BEASTARS』のあまりに独特でイカれた世界は、ジェンダー、人種、宗教、世代、文明などあらゆる現実の問題とも似ていないために、無理矢理アナロジーに当てはめようとすれば作品が持つ複雑で深淵でどうしようもなく残酷な魅力が狭まり損なわれてしまう。 科学や歴史を信奉し、貨幣に飼いならされているところは我々人間とそっくりだが、最も異なるのは『BEASTARS』の獣たちが理性の存在をそれほど信じていないところかもしれない。 作品のクライマックスでルイは語る。肉食獣は肉を欲するが、その本能は否定されるべきではない。それでも肉食獣と草食動物は共存できるはずだと。ルソーの言葉を借りれば、肉食、草食どちらの特殊意志も保持したまま、獣全体の一般意志を追求できるはずだということだ。ずいぶんと理想主義的だが、少年漫画としては百点満点の締め方といえなくもないか。