六文銭
六文銭
1年以上前
両親がなくなり、残された幼い娘とおじいちゃんだけで暮らす・・・その生活を想像しただけで、私、秒で泣けます。 なんか読んでて、切ないんですよ。 もう先が長くないとわかっている老人が必死に子育てする姿とか。 幼い子どもが、両親が亡くなってシンドイながらも気丈に振る舞う姿とか。 一生懸命、ご飯食べている姿とか。 全て胸にくる。 作品自体、別に泣かせにきているわけでもないんです。 地域住民など二人に関わる人、全員が優しくて支援してくれて、ほっこりハートフルな世界に包まれているのです。 読んでて優しい気持ちになれます。 だけど、私は、どこか漂う二人の哀愁にページをめくるたびに涙腺が緩みっぱなしなんです。 えもいわれぬ不安感ーきっとこんな生活も長く続かないんだろうという考えが暗い影をおとして、病気とかひどい目にあうわけでもないのに、ただ物悲しいのです。 おじいちゃん子だった、自分の原体験に基づくのでしょうね。 最後も大方の予想通りなのですが、不思議とこれまでの悲しさはなく、充足感を得られるハッピーエンドだと思います。(詳しくは書きませんが…。) 家族を思うこと、優しく生きること、周囲との温かい絆をもつこと、思いやりに満ちた1冊です。
影絵が趣味
影絵が趣味
1年以上前
漫画というのは二次元+一次元(コマの挿入による時間の推移)で出来ています。しかし、私たちの日常生活は四次元として展開されていますから、漫画もそれに即していかなければ、リアリティのある物語を描くことができません。そこで漫画の本来の領分であるところの二次元に補助として光学を採用する、すなわちデッサンです。これにより漫画は、平面上にかりそめながら立体を再現することが出来たということになります。 はい、何を当たり前のことを言っているんだろう、という感じですが、諸星大二郎に限っては、この当たり前が当たり前ではなくなってしまう。何しろ、タクシーのなかでさえデッサンが寸分も狂わなかったと言われる手塚治虫、大友克洋が出てきたとき「あんな絵は僕にも描けるんです」と豪語した手塚治虫が「諸星くんの絵だけは真似できない」と言っているのですから。 つまり、諸星大二郎は他の漫画家のように二次元+光学の補助という絵の描き方をしていないんですね。『栞と紙魚子シリーズ』はそれがもっとも顕著なんですけども、彼女たちの暮らす胃の頭町(いのあたまちょう)はなんかよくわからないけど異界に通じているらしい。その異界の異界ぶりをもっともよく表しているのがクトル―ちゃんのお母さんですよね。あの顔の目茶苦茶でかいお母さん、あれはどう考えてもデッサンでは描けない。あの顔で、いったいどうやって段先生のボロ屋に収まっているのやら。もしあれをデッサンで描こうものなら、それこそ二次元でも三次元でもない空間の捻じ曲がった異界が爆誕してしまう。というか、この爆誕してしまった異界こそが諸星大二郎の絵なんです。 とくに栞と紙魚子が姿のみえない首輪だけのペットを散歩させる回は秀逸でした。ペットに引っ張られて段々と異界に迷い込んでゆくわけですけど、その行く先のエステサロンにクトル―ちゃんのお母さんがいる。お母さんは「あら~、こんなところでお目にかかるなんて珍しいですわね」とか何とか言って、エステのマシーンから引き伸ばされたうどんみたいな姿で出てくるんです。もう、何がなんだかわからないでしょう。でも、これを大真面目に描いてしまうのが諸星大二郎なんです。
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
11月30日は(オートフォーカス、以下AF)カメラの日。AF機構のカメラが登場した日です。 写真やカメラの漫画は多くありますが、こと最新のAFデジタルカメラとなると、扱う作品は意外と少なくなります。 ここからは『ルミナス=ブルー』に登場するカメラについて、推測してみたいと思います。 (物語の内容に関しては、sogor25さんのレビューをご覧下さい) 主人公の光(コウ)のカメラは、クラシカルな外見から、SONYのEマウントかと思われます(ミラーレスで軽いので、女性におすすめ)。レンズが短いので、恐らく単焦点の標準50mmf1.8。初心者は50mmの画角を覚えるべし、と言われる入門レンズ。機動性がいいので、光のようなスナップ派は、これをつけっぱなしで街に出るのが楽しいと思います。 また、単焦点レンズはズームレンズよりレンズの構成が単純で、画質が良いと言われます。シャープネス、ボケの表現は単焦点に分があり、光の写真のきらめき感は説得力があります。 一方、葉山先輩は、1巻の終わりで長くて白いレンズを使って、光と寧々を隠し撮りしています。あのレンズはキヤノンの望遠レンズ、通称白レンズと思われます。高価です。光が見て「すごいレンズ…」って言ってますね。 街撮りでは意外と望遠レンズが重宝します。かっこいい建造物、向こうに見える植栽の花など、広角や標準だと対象に寄りきれないのですが、望遠だと好きなように遠景を切り取ることができます。 被写体と近しい距離感で撮影する光。一方、被写体に無断で、ありのままの感情を撮ろうとする葉山先輩(寧々も勝手に撮られて怒ってましたね)。二人のスタンスの違いは、機材にしっかり現れていると思います。 ここまで、分かる範囲で『ルミナス=ブルー』に出てくるカメラのお話をしました。もし間違っているとか、こっちじゃないの?とか、その他カメラの話をしてくださる方いらっしゃれば、どうぞコメントください! ちなみに私はニコン派です。