あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
例えば友人と話していて、とりとめのない話をしてしまうと、「オチがない」と叱られる。何故、彼は怒るのか。それは、辻褄のあった、納得出来る結末に安心したいからだろう。 では、彼に怪談をするとしたら? 怖い体験談に「オチ」をつけようと語り続けるうち、ふと口をつぐむ時が、恐らく来る。見えなくなった者達、常識の埒外にいる者達を、語り続ける事は出来ないからだ。 「え、結局なんなの……?」 「よく分からないんだ……」 というやり取りに至り、はじめて相手は、ヤバい事を聞いていると気付き、ゾッとする。 「現代の」民話集と言える『はなしっぱなし』。幻想的な物語は、根源的な理解の及ばなさに終始する。不可思議で恐ろしい出来事が、異形の存在が、微細で遠大な世界観が、語られるままに描かれ、「はなしっぱなし」のまま、オチなく放り出される。 脈絡などない。語り手は豊かで生々しい体験だけを語ると、そこから先は踏み込めない、と急に口を閉ざす。 そうして語られる現代の幻想譚には、ペンのストロークを緻密に重ねる絵の美しさと相まって、まるで見世物小屋のような恐ろしさと、妖しい魅力、そして妙な懐かしさがある。嵌る人は本当に癖になってしまう、珠玉の不思議世界。 理解するのではなく、画面をそのまま味わいたい。
nyae
nyae
1年以上前
すみれ先生は料理したくないがめちゃくちゃ好きだったので、同じ作者の新作だ!と気になっていたんですが、昨日以下の衝撃的なツイートを目にしてしまい… https://twitter.com/okubohiromi/status/1572504539110215681?s=20&t=oXp-Rd6AWM35NQIBu0NrYg こういうことって今はさほど珍しくもないんだろうなと思いつつ、たとえ中途半端に終ってしまうとしても読んでおきたいと思ったので早速読みました。(自己配信の可能性にも言及しているし…) 内容としては、地味で勤勉な主人公が異動先の部署で上手くいかず、そのうえ信じていた婚約者の浮気現場に遭遇し、挙句の果てになぜか江戸時代へタイムスリップしてしまうという始まり方です。現代の知識を持っているがゆえに、わかり易くいうと「女子力の神」みたいな存在の艶姫神様と勘違いされ、江戸女子たちの様々なお悩みを解決すべくサポートするという展開。 自分が面白いと思ったのは、出版社勤務の編集者という設定なので主人公が「女性による女性のための本を作ろう」と思うようになるところ。当時は明らかな男性優位社会。女性はサブ的扱い。そんな自分の夢や希望が叶わないことが当たり前の時代に、少しでも彼女らの日常が彩り輝くコンテンツを作ろうという方向に向かうのが良いですね。 冒頭に書いたとおり悲しい現実がありますが、少なくとも1巻ではものすごく続きが気になる終わり方をしています(そりゃそうだ)。ひとまず2巻を楽しみに待つことにします。応援しています!