あの日を境に、私は「軽さ」を失った――
シャルリ・エブド襲撃事件生存者、喪失と回復の記録
2015年1月7日、パリで発生したテロ事件により12人の同僚を失うなか、
ほんのわずかな偶然によって生き残ったカトリーヌ。
深い喪失感に苛まれながらも、美に触れることによって、
彼女は自分を、その軽やかさを少しずつ取り戻す。
序文:フィリップ・ランソン(2018年フェミナ賞受賞)
ウォリンスキー賞(ル・ポワン誌主催)、ジュネーヴ・テプフェール賞受賞
アングレーム国際マンガフェスティバル作品賞候補最終ノミネート
●内容紹介●
シャルリ・エブド襲撃で、「軽さ」を失ったカトリーヌ。「人生の補佐役」たるプルーストゆかりの地をめぐるも、なにも感じない。事件で犠牲になった仲間の言葉も思い出せない。1月11日、フランス全土で400万人がテロに抗議する「共和国の行進」。暴力のツナミの後にきたのは支援のツナミ――。
そんな「1月7日症候群」を相殺するため、スタンダールが経験したように「美に埋もれ、溺れたい」と願い、彼女はイタリアへと飛び立つ。
美と文学で悲しみ(トラウマ)を乗り越える1年間の記録
●著者紹介●
カトリーヌ・ムリス
1980年生まれ。25歳のときに風刺画家のリュスとシャルブに誘われ『シャルリ・エブド』に加わり、報道マンガの世界に入る。主な作品に、『Mes Hommes de lettres(わたしの愛する文学者たち)』(2008年)、『Moderne Olympia(現代のオランピア)』(2014年)など。
○訳者:
大西 愛子
1953年、東京生まれ。フランス語翻訳・通訳。父親の仕事の都合でフランス及びフランス語圏で育つ。バンド・デシネの翻訳多数。