「もう、しませんから。」のシリーズだからだいぶ古いのかなと思ったら2年くらい前まで連載されていた。 「青野くんに触りたいから死にたい」の椎名うみや「ブルーピリオド」の山口つばさのインタビューなどが掲載されていたが中でも市川春子の話が一番面白かった。
※ネタバレを含むクチコミです。
絵柄を見た瞬間、待ってました!という感じで、ここ最近の四季賞受賞作のなかでもかなり好きなやつです。幸村誠先生のコメントにもあるように、いたいけな子どもが大人の道具にされるような設定は読んでいて胸が痛むのですが、単純に「これ描けるのすげ〜…!」と感動の鳥肌が立ちました。そもそも作者名が覚えやすいんですけど、絵柄とかも含めて、ずっと忘れられないくらい強い印象が残りました。なにより忘れられないのは、ファミリーのドン・ニコラですね…。 絶望的な運命に抗うこと無くただ受け入れるしかない子どもたちが描かれますが、どこかメルヘンチックな作風なので面白く読めました。
ひぐちアサが『おおきく振りかぶって』という大仕事に取り掛かるまえの貴重なラインナップのうちのひとつです。併録はアフタヌーンへの投稿作の『ゆくところ』。そして、表題の『家族のそれから』は初めての連載作になると思います。最初期の作品だけあって、たしかに絵が拙かったり、読みにくいところが見られます。だけど、すでに光り輝いている、完全にひぐちアサなんですね。私はこれを、ある冬の日のスーパー銭湯の休憩所でたまたま読んだんですけど、読み終わって、胸がいっぱいになって、すぐに買いに行きました。 さて、表題の『家族のそれから』は、お母さんがインフルエンザで急死してしまい、遺されたのは高校生の兄妹と父。で、この父というのが結婚したての26歳の義父なんですね。ここにぎこちない共同生活がはじまるわけです。インフルエンザですから、季節は冬から春にかけて。ページをめくるたびに裸木の描写がみられ、さらにそれが徐々に芽吹いてゆくのが物語とは直接関係はなしに丹念に描かれています。そうした隅々に空気感というか魂が宿っています。とくに兄が新聞配達から帰ってくるときの早朝の空気感なんかは言うに謂われぬものがある。 『おおきく振りかぶって』の西浦高校にメントレが導入されてから、練習前の早朝の空気をみんなでイメージしてリラックスする描写がありましたけど、そういう物語とは直接関係はないけれど、不思議と印象に残っているワンシーンは、ひぐちアサの最初期から得意とする描写なんだと思います。 で、物語的には、ぎくしゃくした三人は三人とも胸に抱えるものはありながら、とにかく行動しようとする。若い義父は兄妹の父になろうとして、兄はお荷物にならないために新聞配達のバイトをして、妹は家事に専念する。優しさや強さを見せようと頑張るんです。でも、やっぱり、ぎくしゃくしているし、三人とも胸に抱えるものはあるわけです。このことは『おおきく振りかぶって』にも書きましたけど、つくづく、ひぐちアサという作家は、たとえば、強さと弱さという二律背反っぽいものを背反させるのでもなければ、向かい合わせるのでもなく、ともに前を向いていこうとする。あるいは、強さが弱さを抱いてあげるというのでもない。強さも弱さも単体でそこにあって、それぞれで、ともに前を向いていこうとする。この揺るぎない姿勢にはほんとうに感服します。 ちなみにあとがきにこんなことを買いていました。 「ワタシのマンガはワタシだけのモノですが、読む人は、その人だけのモノを構築するんだぞ~~~と実感しました」
キャラクターの性格や立場などがしっかり設定してある上での物語進行がされていて読んでてとっても落ち着きます。 キャラクターたちのやりとりや関係性の変化がササクレ立った読み手の心を癒してくれる気がします。 今後が楽しみ
作者がスキップとローファーの人だから面白くないことはまずないだろうと思って軽率に読んでみましたが、短編集とかではなくて通しできれいにまとまったSFでした。びっくり。 線が細かくて書き込みが美しい。植物だったり街並みだったり建物だったり、コマ割りひとつとっても主張しすぎす画面がまとまっていて、ああ、この作者は本当にセンスがいいんだな…月刊誌掲載時から画面はこの完成度だったんかな…とか、ストーリー以前のところにとても感心してしまったのでした。すごいなあ…。 話の筋書き、なんとか分かった(と思う)。登場人物の感情の機微、そういうのを読み解くのが得意でない自分でもなんとか追えた(と思う)。全く共感することなく読み進んでしまいましたけど、淡泊でさらりとした味わいが作品の雰囲気にぴったりだったと思いました。 何度も読みたいかと聞かれたらノーです。でも読んで良かったです。高松美咲さんという人にとても興味がわきました。
椎名うみって天才よな。 これに尽きるんですけど、それだけじゃあんまりかなと思うので、蛇足とは思いつつ天才だなって私が思う点を書きます。 ・生理的嫌悪の描写 ・日常の狂気の描写 ・日本語のわかりやすさ ・何気ないコマ割 ・フォント芸 ・シュールギャグ ボインちゃんでクラスの女の子たちが追いかけてくる見開き絵なんてほんと最高だと思いました。遠くにヘンリーダーガーみすら感じた。 内藤が台所で手紙を燃やす後ろ姿の頁もいい。
清家雪子の世界をずっと見ていたい1ファンです。 この作家の中にはずっと「死」がありますね。 そのせいでほの暗かったりするけど心地よかったりもするから不思議です。 読み切りと聞いて、待ってた!と思いました。 連載も待ってますが読み切りもまた味があっていい! 「こんな時代なので〜」ってよく芸能人とかラジオとか、受け手の私らを慮って簡単に言うじゃないですか。 でも「こんな時代」の「こんな」には腐る程色々なことが詰め込まれているので正直簡単に言うなと思っちゃうんですよね。 そんなかる〜い「こんな時代」よりもこの漫画一作の方が多くを語れます。 正論とか綺麗な世論よりも一人の人間が思っている感情の方が好感もてるしリアルです。 もっと清家雪子の作品が読みたい1ファンの独り言でした。
インターン先が初芝電産で笑った
「もう、しませんから。」のシリーズだからだいぶ古いのかなと思ったら2年くらい前まで連載されていた。 「青野くんに触りたいから死にたい」の椎名うみや「ブルーピリオド」の山口つばさのインタビューなどが掲載されていたが中でも市川春子の話が一番面白かった。