漫画アクションの感想・レビュー345件<<1011121314>>不登校、いじめ、先生の当たり外れ。環境に大きく左右される子供の話学校へ行けない僕と9人の先生 棚園正一兎来栄寿いじめを受けるその前段階に存在する名状し難い大きなストレス。それによって不登校に至る感覚というものを、これだけ端的に言語化して見せたマンガはそうそうありません。 筆者の実体験を元に描かれた本作は、一つ一つの主人公の心理の動きに非常にリアリティがあり説得力を持って語られます。 また、心に傷を負った経験があってもちょっとした切っ掛けで自分がいじめを行う側に回ってしまう、誰しもが立場や環境次第でそういった行為に容易く及んでしまうという現実にも触れられています。 人生では多くの先生に出逢いますが、そこには自分で選べない「当たり外れ」があります。本作では良い意味でも悪い意味でも「この先生に会わなければまったく別の人生を送ることになったのではないか」という数多くの先生との出逢いと交流が描かれます。全くもって理不尽なことですが、先生は自分で選ぶことが極めて難しいのに対して人生に与える影響は絶大です。なので、先生もそれ以外の部分も含めてあまりに酷い環境にある場合は逃げることはむしろ推奨されると個人的には考えています。 かつて自分が師事を受けていた先生のことや、子供の頃の感情を読みながら喚起させられずにはいられませんでした。その時に覚えた苦味は大人になった今、子供たちに伝えていくべきものなのでしょう。 筆者は幸いなことに、大好きなドラゴンボールの作者である鳥山明先生が母親と同級生だったという縁で鳥山先生に会い、自分の描いたマンガを見て褒めてもらうという掛け替えのない経験を果たします。私も幼少期はドラゴンボールに没頭していたので、その時に鳥山先生にもし直接会えていたらどれだけ興奮しただろうと大きな共感を覚えながら読みました。 「おおげさじゃなくて 生まれてきて良かったと思った」 最終的にそんな言葉が筆者の口から出てきたことには心から安堵しました。人生は辛いことも多いですが、生きていればそうした無上の幸福を感じる瞬間も訪れることがあるものだと思います。 今現在不登校であったり、それに準じた状況にあったりする子が読めば大いに勇気付けられる部分のある作品です。そうでなくとも、様々な示唆に富んでおり一読の価値がある素晴らしいマンガですのでぜひこの機会に一人でも多くの方に読んで頂きたいと思います。ありそうで無い、ニッチさ〆のグルメ 土山しげるやむちゃ仕事は編集者。仕事の後のお酒が好きで、お酒の後の〆が好き。 なんとも世のサラリーマンに共感を呼びそうな豪快な主人公が、ただシメのごはんを食べるという漫画。 普段お酒を飲まない自分からすると、「シメ」っていうのは鍋やった後の雑炊くらいしか思いつかない。しかもごはん食べてお酒飲んで追い打ち的にまたごはん食べてるのはちょっと理解できない。 孤独のグルメに似てるけど、あんなにこだわった食じゃないし1話がすごく短いので通勤とか空いた時間に読むのがおすすめ。同棲時代同棲時代 上村一夫さいろく「愛はいつもいくつかの過ちに満たされている。もし愛が美しいものなら、それは男と女が犯すこの過ちの美しさにほかならぬであろう。そして愛がいつも涙で終るものなら、それは愛がもともと涙の棲家だからだ。」 冒頭から哲学的な文章で始まるこの作品。読んでいくうちに不思議と引き込まれる上村ワールド。 私はこの作品で初めて上村一夫作品を読みましたが、一つ読むだけでどっぷりハマること間違いなし。この絵と話のバランス、この人の漫画は別格です。 自分を確立させるために必死に主張する次郎と今日子の愛の物語。 同棲するということと、男と女の境界。草食系男子にはないであろう古い形の男性像ではありますが、親近感が持てます。 上村一夫の世界への第一歩としてもオススメです。教育と洗脳の違いとは何なのか…鈴木先生 武富健治名無しドラマ化も映画化もされた『鈴木先生』の連載中から今でも、先輩と飲む度に鈴木先生の教育論を「鈴木メソード」と呼んで、あーでもないこーでもないと盛り上がっています。先生が主人公の漫画は枚挙にいとまがないですが、その中でも『鈴木先生』は異色だったからです。これまでの先生漫画は、生徒が非行→先生が説教→改心というパターンや、生徒がヤクザと援交→先生がヤクザを殴る→改心という、ざっくりとしたイメージがありました。生徒に対する“愛”を叩きこめばなんでも治るというアナログ電化製品に対するかのような発想、たいへんおおらかな時代でしたね。けれど、『鈴木先生』は違います。「いくら強く言われても、自分で納得していないことを人は修正できない」という当たり前だけど難しい現実に鈴木先生は挑戦します。生徒本人が納得し、自分自身でよく考え、行動できるようになることが目標なのは、現実と変わりませんが、そこに至る物語は険しいものばかり。物語の始めでは生徒一人が相手だったのが、やがて保護者も交えてのものになり、最後には学校全体へと鈴木先生の“教育”の場は広がっていきます。鈴木先生は加害者、被害者、保護者、同僚の先生という考え方の違う人々が、思うままに自分の考えを述べる中で、流れを作って教育をするという離れ業をするのです。注目を集めるためにときに声を荒げることもしますし、生徒にわざと殴られることもしますが、それも手段でしか無い。情動的な行動すらも全てコントロールしながら、生徒指導という複数の勢力が拮抗し、リアルタイムに変化する戦場で、鈴木先生は最善手を探し続けるのです。面白いのは、鈴木先生に教えられ、自分で考えることが出来るようになった生徒たちは「鈴木メソード」の尖兵として、その後の鈴木先生の“戦い”の重要な役割をになっていくようになることです。つまりミニ鈴木先生として、他の生徒を誘導するのです。この感化された生徒の役割によって、鈴木先生は学校全体を巻き込むような大きな舞台でも戦うことができるようになるのですが、はたして教育と洗脳の違いとは何なのか…考えさせられます。『鈴木先生』には他にも謎や考察すべき点がたくさんあります。鈴木先生の評判が上がるごろに壊れていってしまう周囲の先生…。鈴木先生お気に入りの小川という生徒の存在…。「鈴木裁判」と“鈴木先生”の完成などなど、読む度に新しいことに気づき、疑問がわきます。今の私の疑問は『「鈴木メソード」から、鈴木先生の想像を上回る生徒が誕生するのだろうか』というもの。まだまだ呑み屋で盛り上がれそうです。 なのな フォト ゴローなのな フォト ゴロー 森下裕美名無し昔から、いろんな漫画のキャラクターによく似ていると言われます(悪い意味で)。特に、カラスヤサトシさんの自画像そっくりとは長いこと言われてきました。最近では『ギャングース』のカズキ(デブ、メガネ、手足短い)とか『バキ外伝 疵面 -スカーフェイス-』のグランド・マスター(チビ、アゴなし、オカマ)なんて言われて、歯噛みしてますが『なのな フォト ゴロー』の主人公・ゴローには、見た目や動きをふくめて強い親近感を感じています。 谷師悟郎はいつもオドオドして、人にあやまってばかりいる30歳。務めている製菓工場とアパートを行き来するだけの毎日で、工場でも軽く邪魔者扱いされています。帰りのバスでは「明日も嫌なコトしか起こらないだろう」と絶望したりします。 そんなゴローにも生きがいはあります。それは飼い猫のフォト。世界一かわいいこの猫だけがゴローの支えなのです。そんな、なんとなく孤独で、なんとなく未来が見えないゴローは、なのなという女の子とフォトを通じて出会います。 なのなは町で偶然フォトに出会い一目惚れ。思わず連れて帰ろうとし、そこでゴローと出会います。なのなは街の小さな雑貨店で働いていますが、やっぱりなんとなく孤独だったり悩みがあったりします。 ただ、なのなは落ち込んだりしても外には出さないタイプなので、「ボクなんか毎日嫌なコトしかないしずっと落ち込んでる」と簡単に口にするゴローにイライラしてしまうのです。 この二人と、フォトを中心に、大きな悩みはないけれどなんとなく閉塞感がある人たちの日常が描かれていきます。 ゴローのただ流れるだけの人生は、なのなとの出会いで少しずつ広がっていきます。なのなの人生も同じように少しずつ広がっていくのです。 この『なのな フォト ゴロー』とてもゆったりとして、可愛らしい作品なのですが、僕にとっては切実です。このゴローが幸せになれるのかが、ボクの人生が幸せになるかどうかの瀬戸際な気がしてならないのです。ちゃんとゴローに普通の幸せが訪れて欲しいと、切に願っています。 とはいえ、見た目も性格も自分にそっくりなゴローが幸せな目にあうと、それはそれで嫉妬を感じるものですね。漫画アクションには神風が吹く!!ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~ 吉本浩二名無し※ネタバレを含むクチコミです。ゆっくりとした女の子の成長物語つぶらら 山名沢湖名無し本当にいまさらですが「あまちゃん」にハマっております。150話を二週間で見たせいで、どうやら現実と「あまちゃん」を混同しはじめているしく、気を抜くと北三陸鉄道に乗って天野アキちゃんに会いに行こうと計画していたりする、人間的にヤバイ状況。目を閉じれば、そこはもうリアス式海岸……といった次第。 「あまちゃん」は、ただの女子高生だった天野アキがネットの動画をきっかけにじんわりと人気になるのが面白かったのですが、同じように地元アイドルを主人公にした漫画があります。山名沢湖さんの『つぶらら』という作品です。 『つぶらら』の主人公、鈴置つぶらは女子高生。ちょっと大きな体に無表情な顔立ちで、周囲からはクールビューティーとして遠巻きに扱われています。ただその実態は、コミュニケーションをとるのが下手で、キャラメル☆エンジェルというアイドルが好きな、天然な女の子。つぶらの行動原則は全てキャラメル☆エンジェルに支配されてします。キャラメル☆エンジェルを見るために学校をさぼり、バイトをし、応援団長に立候補する。ただそれだけなのに、少しずつ、少しずつ、つぶらの日常は変化していきます。 応援団長として過剰に頑張ってしまったつぶらは、なんと地元TVの女子高生アイドルに抜擢されてしまうのです。相方の辻村つららは真剣にアイドルになることを目指している女の子。対してつぶらはアイドルに憧れるファンの女の子。この二人のデュオ「つぶらら」が地元で少しずつ少しずつ浸透していくのです。 『つぶらら』のキーワードはこの“少しずつ”だと思います。大きな飛躍ももちろんあるのですが、そこに至るみんなにつぶらが受け入れられていく道筋がじっくりと描かれているのです。キャラメル☆エンジェルしか考えていなかったつぶらも、本当に少しずつ変わっていきます。自分と真逆の性格のつららにも影響されて、自分が楽しいと思うこと、やりたいと思うことはなんだろうかと考えていきます。 アイドルになりたいと願っていたつららとは、途中で道が違ってしまいますが、つぶら自分なりの何かを見つけることができます。このゆっくりとした女の子の成長物語は、読後、とてもやさしい気持ちにさせてくれるのです。それは、「あまちゃん」を見た後の気持ちととても良く似ています。 なぜだ…どうして俺は寿司が握りたいんだ!!元祖江戸前寿し屋與兵衛 内山まもる 白川晶名無しサラリとタイムスリップして寿司を握ります。 タイムスリップというより不思議な夢を見て寿司屋與兵衛が憑依してしまった感じ? なぜだ、どうして俺は寿司が握れる…! 理屈すっ飛ばして寿司を握る漫画。女も寿司も上手に握ってやるぜ! 一貫してどの男も女には優しく寿司には厳しい… 寿司を握る漫画的には一番最速なのでじわじわと面白いです。 寿司ネタとシャリの知識は勉強になります。 寿司大好きなのでこういう食い方してみたいと思うばかり おっきな富士山さんが可愛い富士山さんは思春期 オジロマコト名無し人より大きめサイズの富士山さんと彼女より背の低い上場 富士山さんが思春期って言うより上場が思春期って感じしますけども! 初々しい思春期の感じがくせになるわけです。 個人的に二人の内面どうのよりも、二人の動向とその背景情景描写が多い漫画なのでほっこりした感じで読めます。 オジロマコトさんの女の子も猫も背景の描き込みも好きです。 二人が可愛いので是非是非読んでくれ〜〜なぜか繰り返し読んでしまう寿司漫画音やん 中村博文starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男初期は師匠である「ちばてつや」の絵に似ているんだけど、だんだん違う感じ絵になっていった。 妙な人情ものだったけど進むにつれ料理バトルあり/いい話あり/料理の謎解明ありと色々盛りだくさんで、主人公の音やんの人間的な成長も含めて面白い 単行本で全20巻とあるけど、コンビニで発売していた『食の鉄人たち』シリーズで続編を連載していて単行本未収録エピソードがあるらしい 電子書籍で完全版「音やん」を発売して欲しいぜ 未確認妖精?!との共同生活うちゅうのようせいチルピル 下村トモヒロ名無しまるで捨て猫を拾うようなシュチュエーションで現れた自称・宇宙の妖精チルチルとピルピル。今のところ明確なツッコミキャラがいない。全員ボケてる。どんなふうにストーリーが展開していくのか期待!アルペン・ロマンの最高峰K 谷口ジロー 遠崎史朗starstarstarstarstarマンガトリツカレ男単行本の帯に書いてあるけど確かにその通りだと思うけどどうよ?ピュアラブオブザイヤー2019候補作いとなみいとなめず 水瀬マユ兎来栄寿もし2019年の恋愛マンガの中で男女双方ともにピュアな純愛指数を競うランキングがあったら確実に五指には入るであろう、ピュアをじっくりことこと煮詰めてピュアでコーティングしたような作品です。 画力も高く特にヒロインのかわいさが際立ち、主人公が人生初の一目惚れをするのも絵で納得感を得られます。 真面目に頑張ってきた青年が真っ当に報われるという意味でも気持ちの良いお話です(ちょっと報われ過ぎではないか、羨ましいぞちょっとそこ替われ、といった声も聞こえてきそうですが)。 この先もぎこちないながらも愛に溢れた新婚生活の模様が描かれていくのか。それとも、タイトル通り「いとなめず」という部分で波乱や困難が待ち受けるのか。いずれにせよ悶えやニヤニヤに苦しむことにはなりそうです。 素晴らしいK 谷口ジロー 遠崎史朗hysyskまずKindle Unlimited に加入してる人はリンク置いとくのですぐ読むのがいいと思います。 https://www.amazon.co.jp/dp/B01E8QIU26 ふつうに買っても583円とか?タピオカミルクティーを一杯我慢するだけで一生ものの作品が手に入るんだから、コスパが高いどころの騒ぎではない。 極限状態での人間の心の動き、野生的な勘、自然に対する畏敬の念…。そういったものをリアルに感じさせる緻密な描き込みがもの凄い没入感を生んでいる。山岳救助の尊さだけでなく、主人公のエゴも混じるところがとても良い。冷房をキンッキンに効かせた部屋でビバーク気分を味わいながら読みたい作品。時代の変わり目である今こそ読みたい坊っちゃんの時代 谷口ジロー 関川夏央hysyskいや〜これめちゃくちゃ沁みるというか、夏目漱石大先生と自分を重ねるというのは畏れ多すぎるんですけど、年齢も大体同じで、仕事と自分がやりたいことの折り合いをつけながら日々を過ごし、時代の流れを意識しつつも安易にそこには乗らんぞ、という姿勢に非常に共感します。というか教科書に載ってる文豪に共感なんてできるんだ!というのが驚きですよね。それは谷口さん関川さんの描き方が素晴らしいからなんですけど。あとがきもめちゃくちゃ面白い。編集者の懐の深さもすごい。これだよこれ。 2019年の日本ではシリコンバレー流スタートアップがタイムマシンビジネスでグローバルなオポチュニティをクリエイティブにイノベーション、OKRをグロースさせてムーンショットでIPOとか言って数億円調達してたりしてて、そういうニュースを見るたびに添付の画像みたいな気持ちになるんですけど、いじけてないで私も『坊っちゃん』みたいな快作で世の中に一石を投じるべきだよな!と元気が出てきます。これは良い漫画ウォーキング・キャット 北岡朋くま猫好きにはたまらない! 少女×閉鎖環境×サスペンス悪食のマリア 要龍mampuku猟奇的サスペンスです。ミッション系で一見お淑やかだけど闇が深い感じ、とてもよいです。少女漫画っぽくもあり、そうでなければアワーズとかに載ってそうな。いくつかミスリードっぽい伏線が見え隠れしていて、結末がやはり気になるのでしっかり続いて完結してほしい。 細かく気になったところでいうと、制服の靴が紐のロングブーツって珍しいですよね。日本ではことあるごとに靴を脱ぎ履きする習慣があるのでスニーカーのような内履きや紐のないローファーが主流です。作品舞台の学園が文字通り閉鎖環境であることを表している、というのは穿ちすぎでしょうか。ハイスクールバトラーななえ!最強! #読切応援ハイスクールバトラーななえ 佐久間薫名無し前号の喫茶とらんぽりんに続き、今号も独特の世界観に魅了された!ぜひとも連載してほしい!最高夫婦4コマここだけのふたり! 森下裕美nyae旦那さんのビジュアルの「どうしてこうなった」感はありますが 4コマ界のベストカップルといえばこの2人です。 この夫婦って元教師とその教え子なので、何を禁断の恋しちゃってんの、もう! という感じです。 全10巻、全く飽きずに読み終えられます。 ゾンビの世界観×猫の新しい楽しみ方ウォーキング・キャット 北岡朋starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)いやー、えー、めっちゃいい~このマンガ! ゾンビが溢れる世界で、青年と猫が出会って奥さんを探す旅をするわけです。 猫を愛でるマンガ、ゾンビを楽しむ漫画、それぞれにありましたけど、この組み合わせの良さったらないですね! 緊張と緩和がたまらない。 ゾンビに襲われる緊張感と猫の緩さ。 世界観的には、特殊な設定とかはなくすごくベーシックなゾンビもの。 1巻の終わりまでとりあえず読んでっていう。 そうか、このタイトルってそうだもんなーという感じ。 緊迫感の描き方や、たまに会う人間などの上手さがあるので単純にゾンビものとしても淡々と読めてめちゃくちゃちょうどよく面白い。 これもしかしてずっと読みたかったタイプの漫画かもしれないなー。癒しの純喫茶ギャグマンガ #読切応援喫茶とらんぽりん 佐久間薫名無し心が廃れたお客さんをあの手この手で癒す喫茶店。なぜそこまでするのか分からない。ただ読んでるうちに私も癒された。あのレゴブロックに似た客はまるで私。猫と過ごす終末ウォーキング・キャット 北岡朋兎来栄寿近年はゾンビものが大流行しており「〜(オブザ)デッド」という作品が多数生まれていますが、こちらは「ウォーキング」の方を残したタイトルですね。 ゾンビが蔓延る終末世界で、生死もわからぬ最愛の妻を探し求める中で出逢った一匹の猫と旅をする青年のお話です。 ゾンビと闘うシーンも多いのですが、どちらかというとアクションシーンよりも「静」のイメージの方が強い作品です。それというのも、極限状況の中での登場人物たちの心理描写が丁寧に紡ぎあげられていくからでしょう。生死が掛かった瞬間に現れる人間の本質は、ホラーの醍醐味です。 そして、緊迫感溢れるシーンも多い一方で、猫の猫らしい行動に思わず笑わせられるシーンもあり抑揚が上手く効いています。猫好きの方ほどニヤリとできるかもしれません。 とりあえず何も言わずに1巻を最後まで読み通してみて欲しいです。 ハマるメイコの遊び場 岡田索雲名無しなんでか知らないけど、見た人を惹きつける 最高にこじらせてるシスコンラブコメ僕は叶わぬ恋をする 岡野く仔にわか※ネタバレを含むクチコミです。<<1011121314>>
いじめを受けるその前段階に存在する名状し難い大きなストレス。それによって不登校に至る感覚というものを、これだけ端的に言語化して見せたマンガはそうそうありません。 筆者の実体験を元に描かれた本作は、一つ一つの主人公の心理の動きに非常にリアリティがあり説得力を持って語られます。 また、心に傷を負った経験があってもちょっとした切っ掛けで自分がいじめを行う側に回ってしまう、誰しもが立場や環境次第でそういった行為に容易く及んでしまうという現実にも触れられています。 人生では多くの先生に出逢いますが、そこには自分で選べない「当たり外れ」があります。本作では良い意味でも悪い意味でも「この先生に会わなければまったく別の人生を送ることになったのではないか」という数多くの先生との出逢いと交流が描かれます。全くもって理不尽なことですが、先生は自分で選ぶことが極めて難しいのに対して人生に与える影響は絶大です。なので、先生もそれ以外の部分も含めてあまりに酷い環境にある場合は逃げることはむしろ推奨されると個人的には考えています。 かつて自分が師事を受けていた先生のことや、子供の頃の感情を読みながら喚起させられずにはいられませんでした。その時に覚えた苦味は大人になった今、子供たちに伝えていくべきものなのでしょう。 筆者は幸いなことに、大好きなドラゴンボールの作者である鳥山明先生が母親と同級生だったという縁で鳥山先生に会い、自分の描いたマンガを見て褒めてもらうという掛け替えのない経験を果たします。私も幼少期はドラゴンボールに没頭していたので、その時に鳥山先生にもし直接会えていたらどれだけ興奮しただろうと大きな共感を覚えながら読みました。 「おおげさじゃなくて 生まれてきて良かったと思った」 最終的にそんな言葉が筆者の口から出てきたことには心から安堵しました。人生は辛いことも多いですが、生きていればそうした無上の幸福を感じる瞬間も訪れることがあるものだと思います。 今現在不登校であったり、それに準じた状況にあったりする子が読めば大いに勇気付けられる部分のある作品です。そうでなくとも、様々な示唆に富んでおり一読の価値がある素晴らしいマンガですのでぜひこの機会に一人でも多くの方に読んで頂きたいと思います。