週刊Dモーニングの感想・レビュー20件ナガノはちいかわ作家じゃないMOGUMOGU食べ歩きくま ナガノstarstarstarstarstarアフリカ象とインド象ナガノ氏のすごいところは、そのバランス感覚だと思う。 「ちいかわ」で言うなら、 万人受けするかわいいキャラクターと、 少し毒のある世界観の両立。 「自分ツッコミくま」LINEスタンプで言うなら、 気軽な使いやすさと、 我を出しすぎないちょうどいい面白さ。 需要と表現の間を完璧にとらえる客観性。 そのバランス感覚がこそが氏の突出した部分である。 そしてそんなバランス感覚は本書「MOGUMOGU食べ歩きくま」でも、 遺憾なく発揮されている。 本文で語られることはあくまで作者視点の体験である。 エッセイである以上、主人公は作者自身であり、 そこで描かれる思想はストーリー漫画よりも直接的に読者に伝わり、 大なり小なり読者の思想との相違がある。 それがエッセイ漫画のクセであり味であるはずなのだが、 本作ではそういった作者の「クセ」にさえ共感してしまう。 高級店で食事をした時に隣の人を見てマナーを真似したり、 コース料理をアトラクションの楽しさに例えたり。 誰もが感じたことがあっても言葉にはしていなかった 「ちょうどいいあるある」が作中の節々でビシビシと投げられる。 それらはあくまで淡々と、しかし感情豊かに。 この落ち着いたテンポの良さに、読んでいて安らぎを感じる。 違和感なく自然に読めるのに、 「気持ちのいい引っ掛かり」は「作品のクセ」と理解した上で、 小気味よく用意されている。 究極の自己プロデュース力を持った作家、それがナガノ。 我々は常に彼の手のひらで転がされているのである。てづくりの魔法てづくりの魔法 木村胡麻starstarstar_borderstar_borderstar_border寸々DIYを通して出来ることが増えて喜びを感じ、何かに熱中することで無気力だった生活が豊かになっていくストーリーが良い。 縄文人ネタや子ども相手に突っかかる描写が気になるといえば気になるかも。『ちいかわ』著者・ナガノさんの食べ歩きエッセイMOGUMOGU食べ歩きくま ナガノさいろく先日ちいかわを4巻まで一気に駆け抜けて読み、ナガノさんの描くマンガの読みやすさに安堵感を求めてついついこっちも3巻まで購入して一気に読んだ。 お一人様で食べに行く、という行動力がすべてかもしれない。 お台場のカレーの回、どこだろうと思ってたらフードコート(!)だったが、そのフードコートにしか現存店舗がない元超人気の名店だという。 そんな情報も載っていたりする。 博多明太子も「やまや」と「かねふく」しかないと思ってたらちゃんと味見した結果「平塚明太子」を選んでいたナガノさん。 そんなことされたらめっちゃ気になるじゃないか・・・ そんな感じのエッセイ本。ある意味バイブル的な作品。仁義なき配送業花松と5人の女 佐藤啓starstarstarstarstarひさぴよDモーニングの連載作品だったので、知名度は低いかもしれないが、漫画ゴラクで「悪党収集員‐西園寺の流儀‐」を連載している作者の前作といえば、ゴラク読者の多いマンバ民には伝わるかもしれない。 この「花松と5人の女」も、日常生活に欠かせないお仕事である物流業界を舞台としている。ヤクザから足を洗い、配送ドライバーとなった寡黙な男・花松が黙々と仕事をこなしながら、困っている女たちを不器用に救っていくというストーリー。 作中の台詞は極道そのもので「アンタが手ェ汚したらいかん」「姐さん一人残すワケにはいきませんから…」などと、極道がまったく抜けてないのがちょっと可笑しい。かと言って、完全にふざけてるわけではなく、真面目に人間ドラマを描いていて、さらに物流業界の問題点にも鋭く切り込んだ“社会派娯楽マンガ”としてバランスは見事という他ない。 禁断のシノギ”当日配送”の実情など、知れば知るほど利用者側の意識の啓蒙にもなると思う。 ロリータハウツー本ではない着たい服がある 常喜寝太郎漫画を読む女Sロリータ服のハウツー本では全くなかったです。着用の心得とか、立ち居振る舞いのコツとか、メイク方法とかそういうのは一切無いです。ちょっとそういうのに興味があったのです… ロリータ服をきっかけとする、主人公の気づきと成長と出会いの物語とでも言いましょうか… 登場人物の中でもカヤさんは素敵です。毎日酒場(バー)に強めの服を着てやって来てビール類を流し込んでいるお嬢さんです、昼は介護福祉士、夜はバーテン?、働き者のうえ人間の出来た素晴らしいお嬢さんなのです。主人公は偶然彼女と出会いますが、この出会いなくしては物語が成立しませんマジで。全編通して一番好きなシーンはカヤさんちにお泊まりして着せかえごっこ遊びをするとこです。うらやましいぞ。 物語は終盤小澤君を掘り下げて進んでいきますが、羽根をむしって丸裸にしてから建て直しまでの流れの無駄のなさがお見事だと思いました。中盤のSNSで主人公が攻撃される、生徒が改心するまでのくだりも、きつすぎる悪意の描写は無い(ひかえめ)なのが美点だと思いましたが、小澤君の過去と現在の描写も、つらいけど必要最低限というか、過激ではないのが良かった。 ※ここで言いたい過激っていうのは、よく広告である、見た人の興味をひくことだけを特化したような思わせぶりでショッキングで醜悪なシーンの寄せ集めのアレみたいなことです ストーリーの流れありきの、材料の1つとしてのロリータ服なんだな!と勝手に思っていたら、作者インタビューにロリータ服を描きたかったという発言を見かけて今「????」ってなっています。ロリータ服の魅力を伝える的な要素は限りなく薄かったように感じたのですが、、、、???ゾンビを守る弁護士が目指す世界とはDeadmeat Paradox 電子限定『義父の息子』収録版 金田サトANAGUMAこの作品に出てくるゾンビが面白いのは「死んでいる」以外はほとんど人間と変わらないところ。理性もしっかりあるのでコミュニケーションを取ることだって問題なく出来るのですが、気味悪がられたり、労働力として搾取されるなど差別の対象でもあります。 そして主人公・ゴールドはトラブルに巻き込まれがちなゾンビからの相談を受け付ける弁護士という絶妙な設定です。もし「人とほぼ変わらないゾンビ」がいたらこの世界でどんな問題が起こるんだろうというのを想像させるのにピッタリの仕事ですよね。 自分にかけられた生命保険を死んでいるゾンビは受け取れるのか(!)という問題に端を発し、事態はゾンビのありようを問う裁判に発展していきます。生と死の境界、人権と差別、それらを規定する法のあり方、といったテーマを現実の社会とも比べながら読み解いていける構造になっているのが鮮やかです。 エンディングは裁判の決着を経て世界がどう変わったのかがわかるまで。ゴールドの人物像から受けた印象と同様、結末もスマートで素敵でした。 1巻で綺麗にまとまっているとは思うのですが、もう少しこの世界の物語を見ていたかったというのが本音!色んなストーリーが作れそうだなと…。そう思わせてくれる魅力的な世界と人物が描かれていた作品でした。忘れてたけど、また読みたい良作むさしの新聞日記 春田りょうstarstarstarstarstarひさぴよ思い出せない漫画コーナーを見て、「そういえば一度読んだけど忘れていて、また読みたいなぁ…」と最近思い出したのがこちらの作品。 2019年だったか、Dモーニングの連載獲得マッチにて勝ち上がり、Dモニのアプリで連載されてた漫画です。なので読んでた人は殆ど見かけないですが…。 タイトルの通り、西東京の地方新聞社を舞台に新入社員・飯盛光(いさかりひかる)が体当たりで仕事に挑む、新聞記者のお仕事を描いたマンガです。 全国ニュースになるような大事件を扱うわけではなく、地元で起きた事柄を地道に取材して記事にするのですが、取材を重ねる中で次第に地方の新聞が担っている役割を意識するようになります。 地域密着というのはこれからの社会において重要なテーマだと思いますので、そこに対しても真面目に取り組まれている漫画なのです。 「西東京」が舞台というのも良かったですね。西東京のおだやかな雰囲気がとても良く出ていました。まるっきり田舎というわけでもなく、ひたすら発展し続ける都心に近いようで遠いので「東京」と一括では語れない問題があると感じます。 主人公が何かと世話になる警察のお兄さんや、渋い上司のオジさんなど、脇を固める人物たちも記憶に残る人ばかりで、ふともう一度読みたくなる魅力がありと思います。 単行本はいまのところ出てませんが、WebサイトのコミックDAYSで読めます。 https://comic-days.com/episode/10834108156689989899 トルコ粉もん旅粉もんロード クマリネ名無し老舗の小麦問屋の娘との結婚を許してもらうには条件があった!それは「何も持たずにトルコから中国までを旅し、粉もん料理のレシピを100個ゲットする」という歴代の彼氏も逃げ出すような超難題だったが、どうしても彼女と結婚したい主人公はトルコに旅立った!途中で麻薬や武器を密売している集団と関わることになったり危険な状況もありましたが、大半は人に恵まれて美味しいトルコ料理レシピもたくさん登場します。ラマダン(断食)やクルバン(犠牲祭)などの日本には馴染みのない文化もしっかり取材をされていて読み応えがありました。残念なのはイランに到着したところで連載が終了してしまったこと。ぜひどこかで続きを描いて粉もんロードを完走して欲しいです。連載化になったのかな?粉もんロード(読切) クマリネ名無し読み切りとありますが、自分が読んだのはコミックデイズで連載中の粉もんロードです。 まだ2話ですがもうキャラ名からしていいですね! 春巻と歩粉 日本は米文化ですがよく考えたら他国は粉メイン 日々新たなグルメ漫画を探している自分としては新感覚の旅&グルメ知識漫画見つけた!と言う感じ。 知らない料理を知れるのは結構楽しい! 料理好き、旅好き、粉もん好きな人期待できるかと!実におもしろいビブリオマンガ #1巻応援どくヤン! カミムラ晋作 左近洋一郎starstarstarstarstarひさぴよ毘武輪凰(ビブリオ)高校…。そこは行き場のないヤンキーたちが集まる底辺不良校!と見せかけて、本を読みさえすれば入学でき授業料もタダの本好きにはたまらない学校。本を愛すヤンキー達のギャップを楽しむコメディ作品です。 特に本が好きな人におすすめな漫画ですが、とにかく一度試し読みして雰囲気の合う合わないを確認しておくのが良いです。ヤンキー文化が苦手な人もいると思うので。 どれだけ本を愛しているかで、ヤンキー同士の格が決まる世界観になっていて、強いヤツほど純文学を溺愛してたり、SF小説を極めていたり何かしらのジャンルへのこだわりがあって面白い。 格の低いヤンキーは、弱そうなやつにブッカツ(本のカツアゲ)をするなど、本好きを冒涜する行為をしがち(笑) 基本はヤンキー文化とビブリオネタをかけ合わせたあるあるネタが多いですが、読んでいて果たしてインテリジェンスが上がってるのか下がってるのか、よくわからなくなります。 一話ごとのオチで本編のストーリーに合わせた本を1冊、さりげなく紹介してくれるので、何だか得した気分になれますね。 バイブルにしたい!!着たい服がある 常喜寝太郎名無し私の心を代弁してくれているのか?と何度も思った。 私もよく『変な服着てるね。』って言われるし、・・・。 最初は、好きな服を着ているのに着ていることが恥ずかしかった。 自分に似合ってないんじゃないかって思ったから。 でも、着ているうちに周りの人から 『その洋服似合うのは〇〇ちゃんだけだよ。』 って言われるようになって、自信ももらえて。 両親の離婚のことも、いじめのことも私と同じ。 人生のバイブルにしたい! 何度も涙が出た。 最高に大好きな本♪泣けた着たい服がある 常喜寝太郎名無し表紙のギャップのある絵がよく分かる話だった。自分とはどこまで定義されてるんだろう、なにをもって自分というのだろう、とか深く考えさせられる話だった。周りの人に恵まれていてありがたい限りだなぁと自身を振り返りよりほっこりした。今読むべき漫画着たい服がある 常喜寝太郎名無し奇抜な格好をしている主人公が「なにあの人〜クスクス」と笑われる描写見るとすごく気が滅入るのですが、この漫画には必要で、この漫画は今必要とされる漫画かなと思います! あんまりもう人と変わっているということが虐げられる時世の流れではないと思うのでちょい違和感ある前半。しかし後半になるとん〜こういうことね!…と。 テーマが単純なように見えて深い… 個人的にはロジック部分より主人公の表情変化の方が良いなと思えたので、あえて推したい漫画ですね。 "着たい服"がある。"なりたい自分"がある。着たい服がある 常喜寝太郎sogor25主人公の女子大生マミは一見背が高くてクールな雰囲気だが、誰にも言えない秘密を抱えている。それはいわゆる"ロリータファッション"に憧れを持っていること。可愛らしいものが好きな自分の趣味嗜好と周囲の人たちがマミに対して抱く"カッコいい女性"像との乖離のために、自身の本音を内に秘めて半ば外装を取り繕うようにして日々を過ごしていたマミだったが、バイト先の同僚・小澤との出会いにより少しずつ変わっていく。 やや変則的な導入だけに奇抜な印象を受けるかもしれないが、作品の根底にあるテーマはとても普遍的なもの。ベタな言い方をすれば"自分らしい生き方"という感じになるかもしれないけど、マミという人間を通して、"自分らしさ"と一言ではとても表現し得ない感情や生き方を見せてくれる。 そして、その根底に流れるテーマは一貫していながら、巻が変わるごとにそのテーマを違ったアプローチで表現してくる。その上でマミの物語が動き始めるきっかけとなったロリータファッションについて蔑ろにはせず、マミという人間を構成する要素として最後まで描かれている。 作中の経過時間はそこまで長くはないけれど、作品全体を通して読むと1人の人間の人生に触れたような感覚さえ覚える壮大な物語。 全5巻読了。ツッコミどころ満載の面白さ就職難!! ゾンビ取りガール 福満しげゆきあくあいやー、面白かったw ツッコミどころ満載の面白さw ゾンビもどんどんパワーアップするし、その分ヒロインちゃんも覚醒してくし、緊迫したシーンで車に轢かれる社長はヒドイしw でもやっぱニンゲン怖ぇ……不良だけじゃなくて、ふつーの中学生がゾンビを襲って、さらに人も襲って、そこに「まじやべー」とかいう危機感ない台詞がくっつくのが怖い。まあそいつらは結局ひどい目にあうんだけど、勧善懲悪というより因果応報って感じで、全然スッキリしないという……。これは服の話だけではとどまらないもっと誰にでも当てはまるあなたの物語。着たい服がある 常喜寝太郎starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)世間体。キャラクター。あなたはこうあるべき。そんなもんクソくらえ! 生きたいように生きることの難しさ。 しがらみに絡めとられ身動きができなくなっている人にこそ読んで欲しい。 背が高く、クールな見た目で周囲から思われるようなキャラクターを自然と演じてきてしまった主人公が、バイトのヘルプに来た人の世間体度外視の服装を見てハッとする。 着たい服を着て良いんだ、と。 かねてから好きだったロリータファッションに思い切って袖を通してみると・・。 ズシンッ!と脳髄に響いた。 誰より自分を肯定しなきゃいけないのは自分だったのだ。 そしてそれが何より難しい。 多様性の時代に突入したとはいえ、他人と違うことをするのが怖いと思う人は多いだろう、特に同調圧力が強い日本では。 なぜ、やりたいこと、表現したいことを抑え込み、息を潜め、自らの欲求を見て見ないふりして、日常を過ごさなくてはいけないのか。 自分の欲求に素直に生きた方が100倍気持ちがいいのではないか。 他人に迷惑をかけるわけでもなし・・。 しかし、世間にどう見られてしまうのか・・。 こういった悩み、葛藤を丁寧に描き、「自分らしく生きたいように生きる」大切さを分からせてくれる素晴らしい漫画だ。 まだ1巻なのでこれから、さらにどのように向き合っていくのかが楽しみだ。 タイトル通り着たい服がある 常喜寝太郎名無し表紙から想像できる通りの漫画です。 主人公は一見少数派に見えるけど、理想像についてとか友達の反応とか、外に出ない気持ち的な部分では共感する人が大半なのではと思います。 ゴスロリは特に、若い時しかできないので、やっておけば良かったなぁー!!と思っている方も意外といるはずです(私です)なりたい本当の自分を押し殺している人へ着たい服がある 常喜寝太郎兎来栄寿テーマこそゴスロリになっていますが、これは自分の願望と周囲から期待されるものが相反することに悩むすべての人に刺さる作品です。 本当はかわいいものを着たいという主人公の心からの切実な欲求が、容姿という先天的な要素によって阻まれてしまう。その辛さに共感できる人は多いことでしょう。 主人公が縛られていた鎖を解き放った後も単純なカタルシスがある訳ではなく、改めて否定的な世界の声と対峙せねばならない辛さもリアルに描かれます。そして、その葛藤がこの作品を推したい理由にも繋がっています。 そんな主人公が教育実習をしてクラスから浮いてしまっている生徒と何とか関係性を作っていくシーン、そしてその決めシーンも非常にグッと来ました。 今後も楽しみな作品であり、作家さんです。「多様性」っていうけど「自分らしさ」ってなにさ?という話着たい服がある 常喜寝太郎mampuku これだ!!!と叫びたくなる漫画。 「強い女性像!!ガラスの靴を叩き割れ!YEAH!!」ってな感じでハリウッドやディズニーを中心に流行っている欧米型の歪んだフェミニズムに「それって結局マチズモの焼き直しなのでは?」とモヤモヤしている人も男女問わず多いことだと思います。男ウケの悪いオルチャンメイクを「お前ら(男)のためにやってるんじゃないし」と堂々やるところまでは素晴らしい傾向だと思うのですが、だったらフリフリで可愛いスカートを自分の為に穿いてもいいじゃない!というのがこの漫画のテーマの出発点。 そして本題は、周囲に奇異の目を向けられながらも奇抜なファッションで出勤してくる同僚・小澤くんのこの言葉。 「何着てどこ行くかは自分で決めます」 常に周囲の目を気にして自身を持てず、小さな願望をひた隠しにしてきたマミは衝撃に打たれます。ひそかに憧れを抱いていたロリータファッションに恐る恐る身を包み、そしてここから自分の臆病さ、周囲の同調圧力、偏見などとの戦いが始まります。 私はずっと進学校でその手の圧力とは無縁だったのであまり共感はできませんが、マミの周囲の偏見社会には憤りを覚えます。日本の学校教育はおりこうさんを作る洗脳教育みたいなとこがあると言われてますが、偏差値が上がれば上がるほど自由になるともいわれていますね。とはいえ難しい顔して常識とやらを押し付けてくる人というのはどこへ行ってもいるものです。 経験上、小澤くんのように堂々としていれば周囲は黙ります。俗世のマウント合戦から解脱して、心の在りようによって世界が変わる、そんな「スッキリする話」がもっと増えたら素敵だなと思います。 起田課長の好きなEDネタを紹介したいやわらかい。課長 起田総司 カレー沢薫名無しフニャチンの起田課長が遭遇する様々なラッキースケベが楽しいマンガだよ!!
ナガノ氏のすごいところは、そのバランス感覚だと思う。 「ちいかわ」で言うなら、 万人受けするかわいいキャラクターと、 少し毒のある世界観の両立。 「自分ツッコミくま」LINEスタンプで言うなら、 気軽な使いやすさと、 我を出しすぎないちょうどいい面白さ。 需要と表現の間を完璧にとらえる客観性。 そのバランス感覚がこそが氏の突出した部分である。 そしてそんなバランス感覚は本書「MOGUMOGU食べ歩きくま」でも、 遺憾なく発揮されている。 本文で語られることはあくまで作者視点の体験である。 エッセイである以上、主人公は作者自身であり、 そこで描かれる思想はストーリー漫画よりも直接的に読者に伝わり、 大なり小なり読者の思想との相違がある。 それがエッセイ漫画のクセであり味であるはずなのだが、 本作ではそういった作者の「クセ」にさえ共感してしまう。 高級店で食事をした時に隣の人を見てマナーを真似したり、 コース料理をアトラクションの楽しさに例えたり。 誰もが感じたことがあっても言葉にはしていなかった 「ちょうどいいあるある」が作中の節々でビシビシと投げられる。 それらはあくまで淡々と、しかし感情豊かに。 この落ち着いたテンポの良さに、読んでいて安らぎを感じる。 違和感なく自然に読めるのに、 「気持ちのいい引っ掛かり」は「作品のクセ」と理解した上で、 小気味よく用意されている。 究極の自己プロデュース力を持った作家、それがナガノ。 我々は常に彼の手のひらで転がされているのである。