ミカコときょーちゃん

ラブストーリーが突然に #1巻応援

ミカコときょーちゃん 世紀末
兎来栄寿
兎来栄寿

映画化もされた『殺さない彼と死なない彼女』の世紀末さんが、新たに描く男女のお話です。 最初は、ひたすらゆるいカップルがいちゃいちゃしている4コマなのかな? と思いました。お互いに相手のことを無限に「かわいい」「かっこいい」と言い合う、仲睦まじいきょーちゃんとミカコさん。日常の些細なことを楽しんだり、煩わしく思うことも世界でたったひとりの相手がいれば何でもなくなってしまったり。 代え難い、ただひとりの相手。ずっと一緒にいたいと思える相手。でも、そんな最愛の人がある日突然世界からいなくなってしまったら。 誰しもいつ何が起こるかわからないものだとわかってはいても、実際にそういうことが起きてしまった時には人はどうしようもなくなります。受け入れるのにどうしたって時間はかかるし、一生受け入れられないままかもしれません。 どこにでもありふれたふたりのカップルのやり取りは、ひとつの出来事を境にまったく意味を変え見え方を変えてしまいます。ただ、少なくとも心から自分の幸せと笑顔を願ってくれた相手と他愛もない時間を過ごすことができたという事実は永遠に残ります。 どうでもいいようなこと、明日には忘れているようなことのひとつひとつの欠片が何よりも貴くてかけがけのないものであるということを、改めて示してくれているようです。 今なら当たり前にできることが、いつか当たり前にできなくなってしまう。当たり前ではなくなってしまう。そうなる前に今できることをひとつひとつ大事にして、何でもないことを大切にして生きていきたいと思わせられる物語でした。

ようこそ!しまや出版癒し課へ

猫のいる印刷会社 #1巻応援

ようこそ!しまや出版癒し課へ にごたろ しまや出版
兎来栄寿
兎来栄寿

しまや出版さんにはその昔本を作る際に大変お世話になっておりました。が、まさかこんなことになっているとは寡聞にして存じませんでした。 マンガ部分も3〜4割ほどありますが、本書の大部分はかわいい社員(社猫)たちの写真で埋められています。だがそれがいい。 しまや出版さんは、平成22年2月22日から猫を正式に癒し課の社員として登用し始めたそうです。2023年現在はリモートを合わせると8匹の社猫が在籍しているとか。 びっくりするほどふつくしい美猫で主任のユキさん(アクキーも作られているそう)。 容器大好きで鳥さんに話しかけるあずきちゃん。 人見知りだけどご飯の時は一番元気なしるこちゃん。 人にも猫にもフレンドリーな小顔のサクレくん。 迷い猫としてやってきたまよくん。 美少年の黒猫でジジみたいと言われるおはぎくん。 テレワーカーのきなりくんとちくわくん。 ノートパソコンの上に陣取って座ったり、ウォーターサーバーから上手に水をサーブしたり、個性豊かな社猫たちのさまざまな活躍(?)ぶりに癒されます。 私たちが払っていた印刷代が、かわいい猫社員たちのご飯代や寝床代になっていたなんて……最高じゃあないですか。 猫を保護する時は顔を見ずに冷えていたら温めてあげる、動物病院に連れて行く時は洗濯ネットに入れておくと暴れても安全に診れるなど知っておくと役に立つかもしれない幕間コラムも。 実際に、癒し課の面々の仕事ぶりによって他の社員も来客者も、あるいはSNSなどを通して世界中の人に癒しが振り撒かれているようで素晴らしいなと思います。 あとがきで社長の小早川さんは ″日本には360万の企業があると言われています そのうちの0.1%の会社が、2匹の野良猫を社猫として採用すれば、 それだけで7千匹近い猫が保護されます″ と述べます。 もちろん、小早川さんがその後に続けて述べるように現実的にはご飯やトイレや病気、あるいは猫アレルギーの方への対応など手間暇や金銭面も含めて大変な部分はあると思いますが、興味のある方はぜひ行って欲しい取り組みです。

現実もたまには嘘をつく

訳アリ女装彼氏×引きこもり系ヒロインが魅せるドタバタラブコメ作品

現実もたまには嘘をつく にいち
カワセミ㌠
カワセミ㌠

とあるオンラインゲームを通じ仲良くなった主人公の薫君とヒロインの七海ちゃんがリアルで顔合わせしようと決め実際に出会う所から物語は始まりますが、初っぱなからドタバタした出会い方やとある事情から主人公が女装する羽目になる等近年のラブコメ物でも中々ぶっ飛んでいた作品だっただけに大変面白いと思いましたね 特にストーリー展開が気に入ったのですが薫君を家に招くつもりで出会った七海ちゃんですが女性を招く気まんまんで出会ってしまい家族にどう言い訳するか悩んだ結果"薫君を女装させ家族には女性の友達が来た"事にしてしまいなんとか女装のまま押し進めようとする二人の誤魔化しっぷりからなるストーリー展開に毎回ホッコリさせられるのでそれがまた面白い所 ですがそれだけではなく勿論七海ちゃんの可愛さや天然っぷりからなるシーンや薫君の純粋にお付き合い+七海ちゃんを思うシーン等の王道ラブコメも勿論ありますのでご心配ありません とまさに一粒で二度美味しいラブコメ漫画として出来上がっている本作ですが気になった方は一度手に取って読まれてはいかがでしょうか?

マンガでおさらい中学英語

英文法マスター編、英会話スタート編が良かった

マンガでおさらい中学英語 フクチマミ 高橋基治
hysysk
hysysk

シリーズの1巻にあたる「だいじなとこだけ」に関しては本当に基礎で、自分にとってあまり新しい情報はなかったが、2巻にあたる「英文法マスター編」の不定詞の解説はあいまいな理解がすっきり整理できたし、3巻にあたる「英会話スタート編」の言い換えのコツやネットを活用したセルフチェックの方法はかなり勉強になった。 この本では「英語と日本語はそもそも考え方が違うので、英語をそのまま日本語に置き換えようとしてはいけない」ということを何度も言ってるのだが、本当にその通りだと思う。 これは別の本で読んだことだが、ネイティブスピーカーはある単語を覚える時にそれが数えられるか数えられないか、どんなシチュエーションで使うか、他にどんな単語と結びつきやすいかを経験から学んでいる。それを第二言語習得者が母語と突き合わせて一対一でパズルみたいに合わせようとすると、間違ってはいないけども意味が通じなかったり、シチュエーションにそぐわない奇怪な文章になってしまう。そして年を取って母語に慣れれば慣れるほど、難しい表現や最適化された考え方をするため、ますます別の言語に翻訳するのが難しくなる。 そういった意味でも中学英語に戻るのは最適だし、何より英語を話すことに対して背中を押してくれるエピソードが沢山載っているので、コンプレックスを抱えている人も気持ちが楽になるはず。

空っぽのやつでいっぱい

初期の作品を読んでみました

空っぽのやつでいっぱい アボガド6
無用ノスケ子
無用ノスケ子

名前は耳にしたことはあるけど、実際に手に取る機会がなかった作家「アボガド6」さん。(読み方はアボガドロクさんだという事を最近知りました)表紙がオシャレで雰囲気も良いし、なんとなく面白そうな短編を描かれてそうなイメージがありますが、いわゆる「漫画好き」と言われる人達からの評判をあまり聞かないのが不思議です。漫画家というよりイラストレーターの印象が強いからでしょうか。本屋でも見かけたことがなく、ここマンバでもクチコミが0件の状態でした。とりあえず1冊だけ読んでみようと、初期作品と思われる『空っぽのやつでいっぱい』(KADOKAWA、2017年)(※タイトルが阿部共実作品っぽいのが何か気になる)を買ってみました。 絵はシンプルな線で上手いイメージが強かったのですが、初期の頃は、絵が荒くて意外でした。ストーリーは中盤まで面白い話とそうでない話の差があり、若干辛くなりましたが、ラストに向けて各話の繋がりが見えてきて、最後まで読むと群像劇としてよく出来ています。一応の満足感は得られましたが、それでも短編モノとしてはややパンチが弱い印象を受けてしまいした。初期作品だけで判断するのも良くないので、もう少し最近の作品も読んでみようと思います。

三ヶ月前に別れた先輩後輩の話

くそっ…じれってーな!!

三ヶ月前に別れた先輩後輩の話 みいみつき
天沢聖司
天沢聖司

別れたカップルの話とかスゲーいいじゃん!と思って読んだら「君たち本当に別れてる??」っていう距離感のメチャクチャそわそわする話でした。お互いに未練残しまくり!! 奈央(28)と堂林(25)という元カレの方が年下のカップルなのですがすれ違いから別れてしまい、別れたあとは元カレがヨリを戻してもらえるように家事や仕事を頑張ってて、その変化に奈央も気づいて…という話。 https://twitter.com/PKyuriri/status/1142752521099759622?s=20 25歳男性のツンデレは結構好みが分かれるところかもしれない……自分はこれが可愛いと思える域に達してないですね。 しっかりしろよ堂林!! 奈央さんが本当に素敵な女性で美人さんなので、もっといい人いるだろと思ってしまう。 これは完全に個人的な好みになってしまうのですが、せっかく元カップルという設定なんだから、もっとギスギスしたのが見たかったなーと思います。 未練のある元カレが、元カノに「いやほんともう無理だから笑」って冷たくあしらわれるようなやつ……。 楽曲で喩えるなら“ We Are Never Ever Getting Back Together”とか“Let’s Be Friends”とか、沢田研二の「勝手にしやがれ」とか、男がフラれる歌大好きなんですよね……。 この作品は最初からハッピーエンドが見えてる2人のお話なのですが、堂林より人間できてる先輩がライバルとして出現して、ここから一波乱起きるかも…!と少し期待しています。

わたし、公僕でがんばってました。

まんがでよくわかる!公務員のおしごと

わたし、公僕でがんばってました。 古林海月
ひさぴよ
ひさぴよ

作者の古林海月先生が1993年〜2002年まで、県職員として働いた実体験を描いた漫画です。 最近のお役所では、非正規職員の雇用が増加し、全体の半分近くを占めているそうですから、職場事情は変化していると思いますが、それでも末端公務員の仕事の大変さは、時代に関係なく、そんなに変わらないのかもしれない…と読んでて思いました。あと公務員と聞くと、長年勤めているイメージありますけど、意外と転職も多いのだとか。 作者は、さまざまな課を経験していく中で、生活保護のケースワーカーとなり、精神的にも肉体的にも負担の大きな仕事のため身体を壊していきます。 |彡サッ(あわせて読みたい →『健康で文化的な最低限度の生活』) そして、ある事をきっかけにプロの漫画家を目指すことになるのです…。 最終章では、退職してから漫画家デビューするまでの自伝的なエピソードとなっており、これはこれでとても面白いお話。 ちなみに漫画家エピソードの中で、デビュー作の話が出てくるものの、この本には収録されていません。デビュー作の読切は「米吐き娘」の巻末に収録されていますので、もし読みたい方はそちらをどうぞ。 話が逸れましたが、この漫画が伝えているものは「公務員は決して楽な仕事ばかりではない」という点と、言われなき公務員バッシングに対しての憤りも結構込められているのではないかなあ。