配達先で、麗しい王子のような桜若に一目惚れした生花店の北川。「町のお花屋さん」である、自分のフラワーアレンジメントを気に入ってくれたのも嬉しかった。仕事を依頼されて桜若が人気ピアニストだと知るが、北川にとって彼は可愛い魔性の男でしかない。煽ってはぐらかす桜若に翻弄され、気持ちは高まるばかりだった。そして晴れて両思いに!ところが、桜若はバリタチで……!?
甘えて、ひどいことばかりしたいつも笑顔で賑やかな真実の体に絶えない、傷。それは、周囲の期待を負いながらも受験に失敗した弟・裕司の暴力のせいだった。裕司はどうしようもない閉塞感を真実にぶつけて、縋る。真実は裕司を拒絶せず、甘やかすように受け止めて体を開いていたのだ。禁忌の関係を友人に諫められるが、真実は裕司を突き放すことができなかった。歪んでしまった想いに追い詰められ、兄弟は──?
全裸で、抱かれた痕跡を残す身体──酔い潰れて目覚めた翌朝、鈴木は愕然とした。かつては美貌と才能で女王様扱いされていた。けれど身体を壊して、すっかり面変わり。身の回りにも無頓着に過ごす自分に、今更欲情する男などいないはずだった。その部屋の主・渥美は新任の上司で、有能な男前。なんで俺!?と真意が分からずにいたが、以来、強引ながらも甲斐甲斐しく構われて……。
六年前に突如体が男でもあり女でもあるものへと変異し、祟りを噂され生まれ育った島を出た白兎。帰郷後、幼なじみの道郎との淫夢に罪悪感を感じていたが、彼に求められ夢中になった。だが、妖しい青年・黒兎に同胞と呼ばれ、快楽に耽る夢を見て不安に苛まれる。やがて白兎は、黒兎が多情多淫の神で自分の中に封じられていると知った。その黒兎が目覚めようとしているらしく……!?
弁当店の浅緋は、お客の黒崎が気になる。背も高く格好いいのになんだか挙動不審で、そのギャップが可愛く思えてしまうのだ。ある日、思いがけず黒崎への想いを自覚した浅緋は、彼がゲイで恋人でなくても体を重ねると知り、つい「俺でもいいじゃん」と誘ってしまう。なのに羞恥と混乱で泣き、逃げ出してしまった。傷ついたような黒崎の表情に、どうしていいか分からなくて……。
商談成立を祝って泥酔した筧が目覚めると、見知らぬ部屋でウェディングドレスを着せられていた。混乱する筧の前に後輩の斑鳩が現れ、笑顔で宣言する「俺たち結婚しました」!? なんと昨夜、パートナーシップ宣誓書にサインしたというのだ。十日の休暇中、別荘に閉じ込められたものの甲斐甲斐しく尽くされる。懐柔されるものかと居直るものの、身体は濃密な愛撫に馴らされて……。
SなのにMとしての快感を求める彼に責められたい──。M性感店で働く直斗は、キャストではなくSですらないのに指名される。一見Sのような客・城川を縛り、要望通りのセリフで追い詰める。Mである直斗にとっては、戸惑いばかりだった。でも快感を得ながらもどこか苦しそうな城川が気になり……。
アルファ限定の医大に進学し寮長を務める冬羽は、実はオメガだった。その秘密を理事長の息子である四季島に知られてしまい、発情期のフェロモンにあてられた彼に抱かれた。「秘密は守る。助けてやれるのは俺だけだ」つがいになることは拒否できたが、優しく触れてくる手は拒めなかった。オメガであることを隠そうとして、入学してからずっと心安らげずにいた冬羽は──。
「貴方は私だけのオメガです」警視庁組織犯罪対策部の新人刑事・霧人は、薬物取引現場へ突入した際にクライムコーディネーターの愛染と出会い、オメガに変化してしまう。アルファである愛染のフェロモンを浴びたことで、“運命の番”として開花したのだ。反発し拒絶するが、刑事としての立場と抑制剤のために取引して身体の関係を持ち……。対極の世界に立つ二人が選ぶ愛の形とは?
公園で拾った彰広を居候させ、己が経営するホストクラブで働かせる亮一。ナンバーワンとなった彰広に執着されているのを知り、内心「猫」と呼びながら彼を振り回しては、その心身が蝕まれていくのを眺めて快感を覚えていた。だが他店でナンバーワンだったカズキが現れ、二人の関係に変化が訪れる。侮っていた彰広が突如牙を剥き、歪んだ高揚にまみれた日常が崩れだす──。
大学助教の保はオメガの性には甘んじないと発情抑制剤の研究に没頭するが、ついに迎えた発情期に抗えず男達に襲われてしまう。そんな保を助けた男はアルファだった。彼・門脇にいたわるように触れられキスされて、陶酔する。彼は運命のつがいだったのだ。抱かれてもなお、つがいとなることを拒否する保を見守る門脇。やがて薬の開発が間に合わないまま、二度目の発情期が訪れ……。
拘束行為での自慰をライバル視している従兄の竜尽に知られた上、首輪を付けられた玲夜。その瞬間、矜持が溶けたのを認めたくはなかった。だが緊縛され「ご褒美」に恍惚としている様を、異母弟の嘉人に見られる。軽蔑の眼差しの嘉人に「お仕置き」として尻を打たれ犯された玲夜は、惨めなはずのそれに安堵してしまう。「ご褒美」と「お仕置き」、三人での関係に玲夜が見出したのは──。