体が弱くて保健室常連の広岡には、倒れるたびに面倒をみてくれる幼馴染みがいる。生まれてこの方病気知らず、新しく保健委員になった同級生の浜本には、広岡の不調が周囲の気を惹くために見えるらしくすこぶる感じが悪かった。人の気も知らないで言いたい放題の浜本にカチンと来た広岡は、幼馴染みの代わりに浜本を次の「広岡係」にして思い切り世話を焼かせてやろうと画策するが……? 病弱王子と体力バカの学園キュートラブ。
撮影に訪れた廃墟の島で、カメラマンの伊原木は一人の男と出会う。周囲の景色に無理なく馴染む様子に、伊原木は理想の“廃墟の精”を見出した。その彼と町中で再会する。“廃墟の精”の正体は三島要、会社から不当解雇され妻とも離婚し、人生を捨てかけている元エリートサラリーマンだった。行き場のない三島を伊原木が家に連れ帰り共に暮らすうち、自由な伊原木に影響され三島も変わり始め……。年下攻ストレンジ・ラブ!!
誰もが匙を投げる質の悪い悪霊も、たった一晩で成仏させてしまう――霊を抱きしめて眠ることで除霊する、異端の霊能力者・伏原(ふしはら)。厄介な案件に限って現れるのは、現場から遺品を収集する古物商の吉岡(よしおか)だ。「死人なんかと寝ないで、僕にしときなよ」と会うたび口説いてきて…!? 霊を誘惑して成仏させる「心中屋」と、現場で必ず死人が出る「死神」――災厄級のコンビが挑む、前代未聞の悪霊退治!! ※口絵・イラスト収録あり
不摂生が原因で療養中のアニメ監督・楡崎の元に、突然「弟子にしてください」と一人の青年が押しかけてくる。その青年・駿は行動のわりに押しが弱く儚げで、帰る場所がないという彼を放っておけず身の周りの世話を頼むことに。生まれてから一度も泣いたことがないらしい駿。自身の中に渦巻く感情の吐き出し方がわからずもがいている彼は妙に色気があり、そんな駿を見ていると創作意欲が湧いてくる楡崎だが……? クリエイター同士の年の差ロマンス。
遠縁だという東吾に惹かれる理也。彼の役に立ちたいと、謎の修行にも耐えてきた。そんな中、東吾は狐使いで、理也は彼に拾われた狐だと知る。記憶を失った理也を、東吾はずっと見守っていてくれたのだ。いっそう東吾を慕う理也は、狐の力を顕現させて彼と契約したいと願う。なのに、接吻けで東吾から力を分けてもらっても体が熱くなるだけ。こんなにも恋しくて、泣きたくなるほど東吾のものになりたいのに、なかなか契約の徴は現れず……。
復讐に燃える化け狐の秋野は、怪我で蹲っていた所を建設会社の若社長・北斗に拾われた。仇とライバルだという彼を利用し復讐を遂げようとするが、北斗のおおらか過ぎる言動に振り回される。どんなに高飛車な態度で我儘をしても、「最高に可愛い」と撫で回してきて、動揺のあまり耳と尻尾が出てしまう始末。その上、世話をさせてやっている北斗の温もりが心地良くなってきて……。
卒業生である臨時教師・篠原に制服を借りた千裕。昼休みを一緒に過ごすようになるが、何を考えているのか分からないのに時々優しい篠原に翻弄されてばかり。それに、借りた大きめの制服は移り香がして、なんだか気恥ずかしい。そんな落ち着かない気持ちに答えを見出した矢先、篠原の採用期間が終了となってしまう。「俺とつき合って、先生」篠原の家に通い始めた千裕だったが…。
チャラいカフェ店員の青空に反感を抱いていた国上。でも、見かける度に彼は笑顔で人助けをしている。ニコニコあっけらかんと「無職で穀潰しだから」と口にする青空に、心配になった国上はついつい説教してしまう。それからすっかり懐かれて話をすれば、外見とは裏腹に純粋で不器用、まるで迷子の子供のようだった。人のことばかり優先して、自分に自信がない彼を放っておけず…。
甘えて、ひどいことばかりしたいつも笑顔で賑やかな真実の体に絶えない、傷。それは、周囲の期待を負いながらも受験に失敗した弟・裕司の暴力のせいだった。裕司はどうしようもない閉塞感を真実にぶつけて、縋る。真実は裕司を拒絶せず、甘やかすように受け止めて体を開いていたのだ。禁忌の関係を友人に諫められるが、真実は裕司を突き放すことができなかった。歪んでしまった想いに追い詰められ、兄弟は──?
「触らせてやってもいい」って、兄貴が可愛すぎる。生真面目すぎて冷淡な兄・雪成と、呑気で少々軽薄な弟・博哉。偶然にも雪成の体の秘密を知った博哉は、からかうつもりで彼に触れる。いつも見下している弟に弄られ惑乱しながらも、雪成は兄としての矜持を守ろうとしていた。その姿にどうしようもなく昂ぶった博哉は、兄への執心を自覚してしまう。一方の雪成も、甘えたようにねだってくる博哉を可愛いと思い始めて……。