エゴイスティック・エロティック
柴崎陸の両親は元極道の祖父から結婚を許されず、駆け落ちして辛酸を舐めたあげく若くして死んだ。10歳で柴崎家に引き取られるも、祖父に対し素直に好意を示せない陸が唯一心を許したのが、頑ななまでの忠実さで自分に尽くす秋信だった。そして10年が過ぎ、陸の祖父が病に倒れる。その弱った姿に自分でも意外なほど動揺し、祖父の最期の望みを何とか叶えてやりたいと、祖父の望む女を娶り曾孫を作ると口走る陸。常と同じく淡々と陸の意を受けた秋信だが、その目には誰も知らない異様な光が宿り始めていた…搦め捕られて、堕ちていく。宿業の主従愛!
きみ、うた、そして幸福【イラスト入り】
「どうしたの、アンタ。今にも死にそうな顔して」 秋の前に現れた青年からは恋人と同じ甘い煙草の香りがした── 施設で育ち苦労して内科医となった秋は、恋人を失ったのと同時に職も住処もなくし途方に暮れていた。待ちにたたずむ秋に声をかけてきた純也に誘われるままに入ったバーで飲み慣れないカクテルを飲んだ秋は、懐かしい甘い煙草の香りに誘われるように純也と唇を重ね、悲しくつらい現実から逃れるように、そのまま身体をも重ねてしまう。「どうせ部屋も余ってる」という純也と、帰る場所のない秋は同居生活を始めるが……!?
ダブル・シークレット~雪花の欲望~
ニューヨークで小さな本屋を営んでいる涼には、人には言えない秘密があった。アメリカ中央情報局の諜報部員。それが涼のもう一つの顔だ。ある日、ロシアで起きている連続猟奇殺人事件を調査しにモスクワに乗り込むことになった涼は、石油採掘権競売の会場でロシア屈指の財閥の総帥・ヴィクトールに出会い、気に入られてしまう。人外である彼の術に嵌り、淫猥な蹂躙を受けてしまった涼の体には「悦びの種」が植え付けられてしまい……。瞳がルビーに変化する男。そしてもうひとり、同じ瞳を持つ男・ライアンと出会った涼の運命は……!?
淫らな神は罪に溺れる
邪神信仰が根づいた島で、聖なる巳子と尊崇される加賀美凪。しかし彼はそんな立場にありながら、誰にも言えない大罪を、二つ犯していた。一つは養い子である咲真への浅ましい恋。そしてもう一つは……。思い悩んだ末、凪は咲真への想いを断ち切ろうと、一人の男に身を任せる。ところが、そこへ突然『彼』が現れた。咲真であって咲真でない── 「俺はお前が犯した罪そのものだ」 残虐な彼、咲魔が露悪的に明かした、戦慄の真実とは……!? 引き裂かれた善と悪。積み重なる新たな罪。穢れた巳子の淫らな贖罪。
乾いた肌にお前の愛を
幼馴染の和也に、ずっと邪な想いを抱いていた将吾。堅物で潔癖な彼に想いを告げられない切羽つまった日々の中、将吾は和也に似た男たちに次々と身を任せることで欲望を押さえ込んでいた。ある時、その男遊びがばれ糾弾された将吾は、嫌悪される覚悟で、「一度でいいから抱いてくれ」と和也にせがむ。すると和也は戸惑いながらもその望みを叶えてくれ、さらには「これからは俺だけにしておけ」と固く約束させられてしまう。一度はその手にすがりついた将吾だったが、自分の我儘に和也を付き合わせることに苦痛を感じはじめ……。
玩具~JoyToy~【イラスト入り】
ごく普通のサラリーマン・野田以鶴は、通勤中に地味な会社員エリート然とした男に痴漢されているのを見て反応してしまう。真面目な以鶴は、その時後輩・阿倍の顔を思い浮かべた自分が許せず悪い夢だと忘れようとするが、新社長就任式に臨み驚愕する。六木という新社長は、痴漢の『加害者』で、同じ課に異動してきた前波という男が『被害者』だったのだ。あの電車での行為は『プレイ』だったのかもしれないと、そのふしだらな関係に困惑するが、二人の仲は想像以上に歪んだものだった。すべては仕組まれたことだとは知らず、以鶴は阿倍とともに淫蕩な関係に巻き込まれ──。
背徳は聖母のほほえみ
静翠会野幹部、東条龍司は、弟を己の組で扱った麻薬で亡くし、組を抜けたいとまで思いつめていた。そんな登場の今の願いは、乞われるがままにただ金を施し、結果的に弟を更なるヤク中に陥れた神父、保科真言への復讐だった。ある日、東条は保科の教会を訪れ、逆恨みと知りつつ激情に駆られるままに彼を凌辱する。しかし、屈辱や憎しみにふるえる様を期待したにもかかわらず、保科はただなすがままで何の感情も東条に返さない。やがて、いくら犯しても穢れない人形のような彼の清廉さに、東条は思いがけず惹かれてゆき……!?
暴虐の君主に愛の手を【イラスト入り】
病気自己問わず、迎える妻が次々と死に至る男──龍堂隆光。陰で青ひげ公と噂される彼の死を『視て』しまった占い師の本田直斗は、その陰惨な未来を変えるため、当たり屋の真似事までして隆光に近づいた。だが、ただ彼の身を案じてのその行動は、相手には受け入れられなかった。当然だろう。隆光は直斗の力の真価など知らないのだから。それでもしつこく食い下がる直斗に、隆光は無理難題を吹っかけてきた。「夜ごと自ら脚を開くなら、側にいることを許可してやってもいい」妻たちの死の真相にも要括目。体を張って暴君を守るミステリーラブ!!
蜜猟区【イラスト入り】
従兄弟同士であり、似通った生い立ちから、完璧にユニゾンした心を持つ斎藤玖音と斎藤亜門。二人にとって親愛や道徳などは一顧だにする価値もなく、他人に求める者は利便性のみだった──15歳の夏までは。避暑地で出会った同い年の少年、稲葉広海。彼は年相応に幼く単純だったが、二人の得意な昏さを少しも厭わず、ごく自然に「好意」示した。生まれて初めて、人らしい感情と、強烈な所有欲を覚えた二人は……。正気を奪う乗算の快楽。暗示めいた狂愛の囁き。──周到な捕食計画。梟悪な執着に搦め取られる、サイコパシック・ロマンス!
恋水奇譚~SAMIDARE~【イラスト入り】
盗まれた名刀・五月雨を正当な持ち主である師へ捧げるため、単独敵に挑んでいった鈴鹿。相手は師から刀を奪うほどの手練。死は覚悟していた。しかし、天城と名乗るその男は、強さは本物だったものの、性格は飄々として身なりはだらしなく、揚げ句信じがたい好色家だった。闘いに敗れた鈴鹿を無理やり貪ったうえ、馬鹿にしたことにまたいつでも狙えと挑発してくる。怒髪天を衝いた鈴鹿は、師のため、また雪辱のため、天城の元に留まった。が、事は思うに任せず、そのたびに快楽地獄に叩き堕とされて……。名刀・五月雨とそれを巡る男たちの、センシュアルアクションラブ!!