おんぼろアパートに引っ越してきたプロボクサーの片瀬一は、天井裏に不審な気配を感じる。覗いてみると、そこにはボロボロの着物をまとった埃まみれの男が住み着いていた。彼は貧乏神と名乗ったが、ボクシングのことにしか興味がない片瀬は、そんなことは気にもとめず、貧乏神をビンと名づけ、寝床と食事を提供し同居生活をスタートさせるが!? 第66回花丸新人賞選外佳作受賞作。
斎賀家に身を寄せている、天涯孤独で大学生の久朗。斎賀家の次男で、現斎賀建設の社長かつ幼馴染みでもある惟武に可愛がられて育つが、一方で惟武の叔母・悦子や家の使用人たちからは、酷い扱いを受けていた。本当は斎賀家を出た方がよいことは分かっている。けれど、どんな仕打ちを受けても、大好きな惟武の側にいつまでもいたい久朗は、早く自立して斎賀家の役に立ちたいと、斎賀系列の工場に就職を決めた。そんなある日、それを知った惟武が、突然自分の秘書になれと言ってきて!? ワガママ俺様社長×一途な新米秘書の幼馴染みこじらせラブ! 書き下ろし短編「無限の未来図」収録。(この作品は、小説花丸Vol.7、8掲載「そっと、ずっと。前編、後編」を加筆修正して収録しております)
斎賀建築の社長戦略秘書として日々辣腕をふるっている上条は、仕事に対してシビアな切れ者だったが、この日だけは浮足立っていた。画家で恋人の穂積が帰国するからだ。山積みの仕事を無理やり片付け、雪の降り始めた街中を急ぎ自宅へ帰ると、そこには一年ぶりに見る愛しい恋人の姿があった。寂しかった、会えてうれしいと口が裂けても言えない素直じゃない上条を、穂積は理解し優しく包みこんでくれるが、上条の心にはいつも穂積に対する不安があって……。「そっと、ずっと。」のスピンオフ、ナイーブ無口な訳あり芸術家×素直になれない有能秘書の大人の恋が完全版で登場! 書き下ろし短編「そして、銀河の旅は続く」、「有意義な過ごし方」2本収録。(この作品は、小説花丸Vol.15、16掲載「ずっと、ずっと。前編、後編」を加筆修正して収録しております)
兇暴なる殉愛
月にたった一度、別人に変装して父の支配を忘れられる夜。崎久保玲也は新宿で発砲事件に遭遇し、10年間恋い焦がれ続けた相手、穂村勲に再会した。「議員の息子が、その格好はどうしたわけだ」指摘されたものの、玲也にはそれよりも、彼がやくざになっていたことの方が衝撃だった。それはきっと、昔自分に関わったせいに違いないから。穂村はその晩、圧倒的な力で玲也を貪り尽くした。そして、ある要求を突きつけてきて……。秘める想いvs激烈な情動、すれ違いの無限エロス!!
大家族に囲まれて育った大和は、進学で始めた一人暮らしのさびしさに耐えかねて、ルームシェアの相手を探すことに。大学のSNSで見つけた同居人候補・押尾しぐれとカフェテリアで会うことになった大和だったが、しぐれは物腰も柔らかく都会的で、笑えるくらいのイケメンだった。同居人なんてよりどりみどりだろうと思っていると、料理が趣味で手料理を披露できるような相手を探していたという。さらには、「僕、ゲイなんだけど大丈夫?」という衝撃の告白が。でも、大和みたいなタイプは好みじゃないから安心して? とも言われてしまい!? 料理好き尽くし系イケメン×超さびしがりやなバンビ系男子のルームシェアからはじまる恋! 書き下ろし短編「ノエルにくぎづけ」収録! (この作品は、小説花丸Vol.27~30掲載「ひとりじゃできないもんっ!1~4」、小説花丸Vol.67「ソルトライクシュガーライフ~ひとりじゃできないもんっ!番外編~」を加筆修正して収録しております)
守ってやりたい
俺の幼なじみの鷲尾武知は、有名女優の隠し子だ。生後すぐに母親から離され、ひ弱ないじめられっ子だった武知を守ってやりたくて、俺は剣道の腕を磨き、武知を傷つけるヤツすべてに立ち向かった。高2になり、俺はちっちゃいままだったけど、武知はみちがえるようにカッコよくなっていた。それでも俺たちの力関係は変わらないままだと思ってたのに、武知は俺を拒み、母親に会いに上京するという…。
無垢な花嫁
生まれた時から屋敷を一歩も出ることもなく、花嫁になるためだけに密かに育てられてきた紫乃は、約束の十六歳を迎え、花婿の咲神慎一朗と初めて顔を合わせる。人形のように愛らしく、無垢で従順な紫乃はまさに理想の花嫁だったが、慎一朗には厄介な存在でしかなかった。紫乃は男なのに女として育てられ、ただの後見人でしかない慎一朗の花嫁になれると信じて疑いもしない。慎一朗は真実を告げる気だったが、紫乃は無邪気に初夜の準備を始めて…。
エトワール学園寮205号室の夏木万智と友成義郎は、昨年のクリスマスから肉体関係を続けていた。彼女に振られ友成が万智を襲い、友成のことを憎からず思っていた万智がそれを受け入れて、今に至っている。だがそんな関係も友成の「彼女を作る」という発言で崩れてしまう。彼女ができた以上、ただの友達に戻るべきだ。そう考える万智だが、やはり友達には戻れない。やがて二人の関係は、少しでも体に触ったら罰金という最悪な状態にッ!!
「いったい、どうしてこんなことに……」獣医師の麻生悠は困っていた。困りきっていた。7つも年下の男子高校生に一目惚れされ、日参の勢いで職場に押し掛けられているからだ。鷹司誉──五摂家の流れを汲む名門の四男だという彼は、そこまで完璧でなくてもいいだろうとツッコミたくなるほど、求愛に余念がない。優雅な物腰、絶やさぬ笑顔、一糸乱れぬ身嗜み。標準装備のそれらを駆使し、全力で口説いてくる王子様に、悠が抗う術はあるのか!?
愛を聴かせて
高校の友人・慶太に連れられていったOBの写真展で、相原達弥は一つの作品に心を奪われてしまう。きれいな人形が写ったその作品を写真家からプレゼントされた達弥は、やがて被写体である人形を創った人形作家・水無瀬千波矢と出会う。水無瀬に好意を寄せる達弥は、ある夜、慶太に襲われそうになり水無瀬のアトリエに駆け込んだ。そこで二人は……!?
第一印象=最悪!
「へぇ。思ったよりは頭がまわるんですね?」出張校正で出向いた印刷所。編集の駿河が初対面を果たした男は、慇懃無礼の権化だった。帝都印刷・製版部、泉恭一郎──口はもちろん目つきも悪く、黒ずくめの全身からはおよそ体温というものが感じられない。しかし、直後。彼の意外な素直な一面に触れてそのギャップに急転直下でハマってしまった駿河は、衝動のまま公衆の面前で彼の唇を奪い…!?ラテン系vsクール系!攻→攻恋愛24時!!
いじめられ志願
高校二年の三石暁は姉と二人暮らし。大金持ちのホテルオーナー・加納徳之との結婚が決まった姉だが、暁は何かと姉に文句をつける徳之の弟・崇之が心配だった。しかも姉は加納家の両親と同居するという。結婚式の日、姉の幸せを願う暁は思わず崇之に「代わりにオレをいじめてください」と口走ってしまった。翌日、崇之は一人暮らしとなった暁の家を訪れて……!?