はちみつコミックエッセイの感想・レビュー7件わかりにくくてわかりやすい2人ニシハラさんのわかりにくい恋 ニシハラハコstarstarstarstarstar野愛久しぶりにとてもいい恋愛漫画を読みました。人間同士がお互いの存在を最大限尊重して噛み砕いて認め合ってピースがかっちりはまっていく、みたいなストーリーでした。 というと重たそうめんどくさそうと思われるかもしれませんが、読み心地は非常にライトかつドライです。 人間味を感じられないほどに隙がないマイペースな完璧超人・ニシハラさんと、ちょっと変わり者な主人公・ハルコ。 いつのまにかお互いに好きで付き合うことは確定している(ハルコは確信している)ものの、距離が近づいているようで近づかない。そもそもどのタイミングで恋に落ちたのかもはっきりとはわからない。 わかりにくくて変わり者で掴めない2人。ヤキモキもハラハラドキドキもないのに、この2人をずっと見ていたくなるから不思議です。 わかりにくいけどわかりやすい、変だけどすごく真っ当な2人の恋愛、たくさんの大人に読んでほしい作品です。日常のささやかな愛しみ #1巻応援すてきな退屈日和 宮田ナノ兎来栄寿校正の仕事に加えて書店員としても働いている夏子の退屈だけれどすてきな日常を描いたこの作品には、取り立てて大袈裟なことではないにせよ日々の片隅にある微かな心の動きがたくさんピン留めされています。 何でもない日常の何とも言えない「おかし」を掬い取って描くことは、本作でも少し登場する『枕草子』の時代から行われてきた営為で、私たち日本人の心の奥深くに根付いているものかもしれません。 お母さんが持ってきてくれたレモン水の黄色と、庭に咲く紫陽花の青とのコントラストが美しく映えていたこと。 プール開きした瞬間に雨が降って昼ご飯だけ食べて帰ることになったけれど、そこで食べたカップ麺が何だかとても美味しく感じられたこと。 まったく同じ体験ではなくとも、記憶の奥底にある幼き日の思い出を蘇らせてくれます。今は無きとしまえんのプールの後に食べたエビピラフは、最高に美味しかったなぁ……。 また、飲食店でたまにある「たっぷり3種のチーズ&フレッシュバジルのパスタ」のような長い名前のメニューを「バジルのトマトパスタを」のように適度に略すのも解ります。頑張ってフルネームで言っても店員さんの方が略すこともままありますからね。 そして、校正という仕事について描かれている部分も興味深く面白いです。私も文章を書く仕事もあり、人並み以上に興味があるところで、日常に職業病が出てしまうのは少し解ります。「どんなに頑張って気を付けて誤植や人のミスはあるので気にしない」という精神性には少し救われる思いです(最大限気を付けますけども)。 地味に好きなポイントは、買ったコートすべてが短命に終わってしまう夏子に対して「『深夜食堂』にそういう人いたよね」という友人ゆきちゃんの絶妙な返しです。「私は海原雄山か」などオシャレ美人がちょいちょい繰り出してくるグルメマンガネタ、良いです。流石は『ハラヘリ読書』の宮田ナノさん。 巻末には本作に登場した実在する書籍の一覧もあり、読書好きの方はより楽しめそうです。人生について考えさせられる人生最大の失敗 野原広子starstarstarstar_borderstar_borderこめつぶ育児は大変ですし、旦那さんも仕事は大変です。 大変な自分を助けて欲しい。けど夫婦で話し合うことができなかった話です。凄く共感する部分もあり、結婚生活のリアル感が凄かった。 結婚が失敗だったわけでもなく、離婚が失敗だったわけでもない、誰もが人生を自由に設計できるのだと思わせてくれる作品でした。やりたいことやったもん勝ち37歳ままならナイスなソロ生活 中島悠里野愛自虐も入れつつ自分の時間をハイテンションで楽しんでます!友だちも頭おかしくて最高です!こんな馬鹿なことやってます! みたいなノリは時として痛さにも繋がるけれど、その痛さすらも楽しんで乗りこなしてる感じがいいなあと思いました。 リモート生活を楽しめる変なアイテムを作ったり、圧を身につけるために変なシャツを買ったり、とにかく何をしてても楽しそうです。 日常か非日常なんて自分次第で変えられるんだなあと改めて感じました。 こんなんやったら痛いかなとか滑るかな…なんて考えちゃう自分のほうが痛いんじゃないかと思わされました。楽しんで生きたほうが絶対にいい。 人生最大の失敗とは?人生最大の失敗 野原広子六文銭とあるサイトで紹介され、作家さんも、もともと自分がよく読んでいた作家さんだっただけに、興味がてら読みました。 特に、夫婦関係の機微というか、絶妙な空気感が読んでいて共感しかないので好きな作家さんの1人なんですよね。 全く読んだことなかった時は、表紙とかパッと見「ん?大丈夫か?」となりますが、ストーリーとか会話が不思議と入ってくるので、エッセイのような内容にピッタリの絵なんだと思う。 さて、本作は、エッセイ系によくある夫婦関係のいざこざで、ある日夫が浮気相手との電話で 「人生最大の失敗は、結婚だよ」 と言っている姿を目撃した主人公の話。 SNS上に溢れんばかりにこの手の話があるので、皆誰しも一度は思うことなんでしょう。 本作の主人公は、そんな夫に対して見切りをつけて、自分で生きていくことを決める。 子供が成長してからの離婚、まぁ熟年離婚ですね。 その後の生活のハードさや、その年で一人になった時の寂しさ、周囲との関係(主に同情めいたもの)が、とにかくリアル。 夫の文句を言いながらも、なんだかんだ自立の難しさや子供を言い訳に別れることができない友人の存在も良い対比になってます。 自分も我慢して結婚生活を続けたほうが良かったか?などの葛藤がよぎるが、どっちが良かったかなんて一概に言えない中で、彼女の決断や行動は色々学ぶことが多かったです。 どっちの決断だって頑張っていれば格好いいんだと思わされます。 内容が内容だけに湿った感情がうずまくのですが、不思議と読後感は悪くなくて(ここも、この作家さんのすごいところだと思う)、むしろ、1冊で色んな人間の価値観に触れられて刺激になりました。 この夫婦にとって、本当の意味での「人生最大の失敗」はなんだったのか? それはぜひ本作を読んで感じて欲しいです。痩せたいし唐揚げ食べたいしふっとりさん 痩せたいけど食べたーい! 成瀬瞳野愛マンバ通信で紹介されてたので読んでみました。 食事制限も運動も続かない、糖質オフのおやつやスムージーを食べて飲んで子どもが残したご飯を食べて、もちろん自分の分のご飯も食べちゃう。 痩せたいとは言いつつも幸せそうな作者さんに癒されます。 食べたいもの食べて、家族も友達もいて、毎日楽しかったらもうこれ以上何もいらないですよね。 世間ではボディポジティブとか言われてますが、難しく考えなくても唐揚げが美味しかったらそれだけで人生幸せなのかもしれません。 痩せたいしゴロゴロしたいし美味しいもの食べたいし宝くじ当てたいな〜、くらいの感覚で生きてていいんだなと思いました。節約はエンタメ低収入新婚夫婦の月12万円生活 いしいまき野愛こづかい万歳を読んでから、この手の漫画がグッと面白く感じられるようになってきた。 お金は少ないけど工夫しながら夫婦仲良く暮らしてます!こんなところも意外と節約できちゃうんです! みたいな漫画やエッセイや雑誌の特集は世の中に溢れているが「こんなに頑張れないしな〜」とあまり興味を持てなかった。 参考にする・しないの2択で判断していたのだと思う。こんなに節約頑張れないし、参考にならないし、読まなくていいやと。 しかしこづかい万歳を読んでからというもの、節約は趣味だと気づいた。節約はエンタメ。節約は競技。 その視点を持ってみると、この作品の旦那さんはプロの節約プレイヤーだ。 お刺身についてたシソを取っておいて翌日使うだなんてエンタメでしかない。お刺身と一緒に食べればいいのにな。 結婚指輪のエピソードは引いたけどこれもエンタメなのだ。思い出よりエンタメだ。 安い食材でもきちんと料理して美味しくするとか、お金の管理方法とか参考になる部分もたくさんあります。 私も低収入なので頑張ります。という気持ちはあります。
久しぶりにとてもいい恋愛漫画を読みました。人間同士がお互いの存在を最大限尊重して噛み砕いて認め合ってピースがかっちりはまっていく、みたいなストーリーでした。 というと重たそうめんどくさそうと思われるかもしれませんが、読み心地は非常にライトかつドライです。 人間味を感じられないほどに隙がないマイペースな完璧超人・ニシハラさんと、ちょっと変わり者な主人公・ハルコ。 いつのまにかお互いに好きで付き合うことは確定している(ハルコは確信している)ものの、距離が近づいているようで近づかない。そもそもどのタイミングで恋に落ちたのかもはっきりとはわからない。 わかりにくくて変わり者で掴めない2人。ヤキモキもハラハラドキドキもないのに、この2人をずっと見ていたくなるから不思議です。 わかりにくいけどわかりやすい、変だけどすごく真っ当な2人の恋愛、たくさんの大人に読んでほしい作品です。