マンガの金字塔の感想・レビュー223件<<34567>>愛を語るならば先ずはこれを読まれよ鉄門海上人伝 とみ新蔵かしこ愛と狂気は紙一重。ついそんなことを思ってしまいながら読み終わりました。村の荒くれ者がふとしたことで人を殺してしまい、惚れた女と泣く泣く別れ、仏門に入り、旅をする中で人々を助け、最後には即身仏になる…。なんとも激しい一生ですが、その昔に実在した人物なんですね。てっきりとみ新蔵先生の演出だと思っていた信じられない展開の数々が実話だとは。1970年に「週刊女性」で連載され、部数増加に貢献するほど人気だったということにも驚きましたが、当時の主婦の方々がハマった理由はなんとなく分かる気がします。まず劇画タッチで描かれる鉄門海上人が男らしくてカッコいい。あと惚れた男が僧侶になった女の心情を綺麗事ばかりじゃなく描いてるところがいい。私も「こんなのもらったってどうしようもないんじゃ!」と思いましたもんね。いやでも二人の愛は本物です。最後にはこんな成就の仕方があるのかと感動しました。初期のオットセイの形がアレだった!?やる気まんまん 横山まさみち 牛次郎名無し1977年から2003年まで日刊ゲンダイで連載されていた擬チン官能漫画。 ふと、これまで読んだことのなかった、単行本1巻から読んでみようと手にとって驚いたのだが、あのオットセイは、最初からあのコミカルな形ではなく、初期の頃は普通のオットセイとして描かれていたというのを、今更ながら知った。 やるまん復活を報じたゲンダイの記事に理由が書いてあったのだが、 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/info/275039 要は、当時の表現規制に対応するため、苦肉の策で男性器を動物に見立てることで生まれたアイデアだったらしい。 やるまん以前は少女マンガを数多く描かれてきた横山まさみち氏だったが、「エロは描かない」と言いつつも、結局、一番の長寿連載となってしまったというのは、何とも業の深さを感じさせる話だ。 ちなみに記事の中で「43年前の“幻の第1回”を発掘」とあるが、電子版「やる気まんまん」の1話「セックス・ファイト」に普通に収録されていたので、そこまで幻というわけでもなかった。時代劇にも通じる梶原ワールド斬殺者 梶原一騎 小島剛夕名無し非常に珍しい、原作:梶原一騎、画:小島剛夕というコンビの宮本武蔵を題材とした作品です。 小次郎を倒した武蔵を討つ事を命題とした主人公が、どんな方法であれそれを成し遂げようとする主軸の話とは別に、武蔵を取り巻く様々な人物も描いて物語の厚みを増しています。小説家志望であった梶原氏の原点が垣間見られる作品なのかも知れません。 圧倒的な力強い絵力を持つ小島剛夕氏の画だからこそ表現出来た梶原ワールドを堪能できます。劇画レンタル彼氏レンタル彼氏 倉科遼 東克美 花小路ゆみ名無し最近は何でもレンタルが出来る時代、レンタルおやじなんて言うのも有るのだからレンタル彼氏なんて当たり前。彼氏と言ってもレンタルした彼をどうやって使うかは本人次第。愚痴を聞いてもらうだけでも、見栄を張りたくてイケメン彼氏を連れて歩きたいだけでも、引っ越しの手伝いをしてもらっても、もちろんホテルに連れ込んでも、最低限のルールを守れば何でも出来る。それって結構面白いと思って読み始めたら、性的描写はあるもののかなり真面目なストーリーで驚いた。この作品はレンタル彼氏で人生が変わった人、それも良い方向に変わった人の物語で、読後感は悪くなかった。 戦後を舞台とした空手格闘漫画暴拳 みね武 東史朗名無し暴挙は戦後の日本を舞台としたサバイバル格闘空手漫画です。主人公は徒手空拳で空手を武器として立ち回り戦後の日本を生き抜きます。武に生きる主人公の誠実さとその苦悩がドラマチックに描かれています。 時代背景はかなり古く、ボクシングが拳闘と呼ばれていた時代で、現代ではあまり見れないとても硬派な漫画であり、アクションシーンが物凄く派手で読んでいてスカッとします。 空手の蹴りでボクサーを倒す拳士が最高にカッコよかったです。 タイトルの「暴拳」は「冒険」とかけているのかなと思って読んだのですが、主人公の「拳士」が沖縄空手を奮い、暴れまわる物語だとは思いませんでした。バス釣りの基本が学べますバス・ハンター渡【合冊版】 金井たつお 吉田幸二名無しブラックバスに魅了され腕前とともに人間としても成長していくストーリーです。確かに小さい頃はバスプロという存在にあこがれていました。タックルもなかなか高価ですし、ましてやボートなど高嶺の花でした。とにかくいろんなルアーの特徴やアクションの付け方など学べるマンガです。ただ、時代的にキャッチリリースが美徳として描かれていますが、現在は害魚としてのイメージが大きく、リリース禁止の地域が多いようですので、これからバス釣りをする人は注意が必要です。原作が小泉八雲!知ってる作品から知らない作品まで楽しめる。怪談 日野日出志 小泉八雲名無し怪談で有名な小泉八雲の名前は知っていたのでどんなストーリーなのかと興味を持ち読み始めました。 あの有名な耳なし芳一や、初めて読む茶碗などオムニバス形式で怪談話が描かれていて、ワクワクしながらサクサク読むことができました。 絵のタッチは何となくですが、小学校の頃に図書館にあった歴史漫画を彷彿とさせる感じで、懐かしいです。 しかし、さすがは小泉八雲原作というべきか、ゾッとするようなものが多く怖い話に興味のある人にはすすめたい。 江戸川乱歩原作なので間違いない盲獣 江戸川乱歩 久木田高明名無し※ネタバレを含むクチコミです。日常の不思議を丁寧に描いた作品想い出スタンプ 佐藤智一名無し父と娘の家の中の文通、図書室の本を通しての文通、紙ひこうきでの文通、野球少年の文通、伝書鳩での文通など、様々な人たちの「手紙」を通してのつながりを描いた短編集です。人物も背景も、絵が1コマ1コマとても丁寧に描かれています。ストーリーは、ほのぼのするところもあるし、登場人物のちょっと切ない心情が描かれていて、このまま短編ドラマにできそうな世界観があります。ありふれた日常の中で起きた、ちょっと不思議な心に残るさまざまな経験を、短い時間で味わえるので、人間ドラマが好きな人におすすめです。なんという世界観蜘蛛の糸 平口広美名無し率直に、すごいものを見たなという感じです。正直最初は、低俗なエログロ漫画だと思っていましたが、しばらくすると、ページをめくる手が止まらない自分がいました。単なるエログロではなく、何か得体のしれない真理(しんり)みたいなものが見え隠れするんですよね。作者の意図するところは結局最後まで分かりませんでしたが、読後は非常に爽快な気持ちです。 リアリティのある恋愛事情先輩のカノジョ 完全版 成田マナブ 神津しおん名無し「先輩の彼女」に当たるIT企業の受付嬢女性が、性行為をしている姿を敢えて後輩に見せつけることで、性欲を誘っている素振りには、思わず興奮してしまいました。大人の女性にある包容力の高さと職場の人間関係が複雑に絡み合うため、なかなか後輩が訊きにくいという事情も、現実的にありそうで、面白かったです。軽快で分かりやすい展開がgoodギャンブル王 マーチン角屋 バーミー双六名無し国民的ギャンブル漫画カイジと違って、非常にカジュアルかつ軽快でわかりやすい作風で、すらすらと読み進めることができます。主人公は、不幸になればなるほどギャンブルの才能を発揮できるタイプで、(周りが)これをうまく利用して稼いでいくって感じ。まあ、普通に面白いですよ。鎌倉末期から室町初期を俯瞰できます太平記 横山まさみち名無し源平合戦や戦国時代・明治維新などと比較すると『太平記』の時代は馴染みの薄い方が多いのではないかと思います。『太平記』では鎌倉末期~室町時代初期の歴史を俯瞰できます。歴史の教科書に記述されている「建武の新政」がどのようなものだったのか、なぜ失敗したのか等、詳細が書かれていて勉強になりました。足利尊氏兄弟や新田義貞・楠木正成など、名前は知っていても具体的なイメージがわきにくい人物についても、こちらの漫画でイメージがわくようになりました。合戦シーンの前には地図も描かれるため、具体的な場所が分かり良かったです。 セクシーシーンも魅力なハードボイルド漫画!野獣の都 みね武 西塔紅一名無し表紙がかっこよかったので読み始めました。 最初は、コネで途中入社したろくに仕事もしないだめな男で、そんな彼がどのように切り替わるのかわくわくしながら読みました。 彼の正体を探るスタイルの良い女性社員も出てきて、彼の真相に近づく、ちょっとエッチなおしおきをされるところ肉体を描き方が上手くてセクシーでした。 彼がなぜ銃を手にしたのか、そして彼の過去を回を追うごとに知っていくストーリー展開が熱いです。それといきなり悪いやつの頭を吹っ飛ばしたりするところも普段のダメ男とのギャップがあってかっこいいです。仲間で回し読みしていた当時を思い出しました夕やけ番長 梶原一騎 荘司としお名無しこの漫画が冒険王に連載されていた当時、小学生高学年だった私は単純に主人公赤城忠治の暴れっぷりが好きで読んでいたと思うが、今回、梶原一騎原作漫画として読み直しをさせて貰い、色々な発見が有りました。この作品以降の梶原作品に繋がる、例えば、橋の欄干を物語の流れに沿って使ったり、影の番長を登場させるなどのエピソードが面白く嬉しくなってしまいました。梶原作品を知る上で大切な作品だと考えます。単純に赤城忠治の豪快さ・爽快さだけでも楽しめる傑作だと思います。独特すぎるエロトラブルバスター七色小町ゴージャス派 花小路ゆみ 峰たかあき名無し汚い男とかを懲らしめる勧善懲悪ものなんだけど、トラブルや依頼の解決方法がすごい独特だったw 主人公のモットーが「華麗に派手に」なので あんなブッ飛んだソリューションになるんだろうな。 エッチっぽいストーリーで、お色気あり、笑いありのスカッとする漫画だ。 とにかく絵が美しい作品美女斬り麗三郎 鳴海丈 伊賀和洋名無し母親を死に追いやった仙台藩伊達家への敵討ちを果たすことだけに人生を賭けた卍屋麗三郎。吉原で秘具媚薬の店を商うのは仮の姿で、母親の死後預けられた吉原遊郭で幼い頃から教え込まれた性技を使い、伊達家へとじわじわと近づいていく姿には強い憎悪と執念を感じざるを得ません。ストーリー上、性的描写や残酷な格闘シーンも頻繁に登場するのですが、読んでいてそれらに目を背けたくなるよう嫌悪感をほとんど抱かないのは、絵がとても美しいからでしょう。丁寧で技巧的に優れた作画と、しっかりした筋書で、歴史漫画とも言えるような素晴らしい作品になっています。主人公の麗三郎の麗しさ、のちに恋人となる瑠璃の愛らしさも、この作品をより魅力的にしています。男性よりも女性から高評価を得そうな作品です。上流階級の世界にひたれるチャタレイ夫人の恋人 川崎三枝子 D・H・ロレンス名無し古典小説のコミカライズ版です。小説をさくっと漫画で理解したい人におすすめ。スコットランドの上流階級の家が舞台、主人公はお嬢様なので華やかな世界に浸れて楽しいです。夫のプライドの高さやコニィの満たされなさが、格調高い綺麗な絵で表現されている点が見所。社会人にはぜひ読んでほしい一冊大地のグラウンド【分冊版】 あや秀夫名無し「野球」をテーマにしているが、ただのスポーツ漫画の域で収まらず、ビジネスの場面でも応用できるような内容でした。主人公は、名門校の入団テストに不合格し、野球を諦めかけます。しかし、進学した高校で野球部のキャプテンと出会い、野球に対する考えを改めます。これは、現実の社会でもあることだと思います。憧れていた会社に入社できなかったり、希望していた配属先に就けなかったり、不遇や挫折は人生で訪れます。しかし、そこで「もう全てがどうなってもいい」と考えるか「今の現状、置かれたポジションでできる限りのことをしよう」と考えるかで、今後が変わってくるはずです。そんな、社会に対する、人生に対する思考を「野球」というテーマで分かりやすく表現してくれたのがこの漫画です。 昔読んだ少年たちの探偵団のようでわくわくです!大田舎中学校の大事件 こせきこうじ名無し少し古いタッチですがコンビニなどもあり現代風の設定の少年たちの冒険物語です。 警報の出ている天気の中、銀行強盗たちが逃げたと推測した廃校舎にいくシーンから始まり最初からわくわくして読みました。 犯人を捕らえることが目的の少年、強盗たちを捕まえたらもらえるお金が目当ての少年、そしてドキドキすることが大好きな少女の仲良し3人組という組み合わせも良いなと思います。 そしていきなり土砂崩れにより閉鎖された空間に閉じ込められる三人とその安否を心配する田舎の人々、ふんわりとした絵柄・雰囲気とドキドキのミステリー人情サスペンスを楽しめました。 他の同梱作品も魅力的で、自然があふれる街での野球のストーリーなどさまざまな作品が楽しめました。影丸譲也作品の隠れた傑作カミカゼ 影丸譲也名無し影丸譲也氏がこの「カミカゼ」の様な戦争を扱った作品を残していたとは知らなかったので、早速読ませて貰いました。安保闘争で機動隊と学生が一触即発状態の真っ只中に割って入った男(旧海軍戦闘機乗り牧飛曹長)の死に際の回想から、カミカゼ特攻の現場へ話は移ります。終戦までの特攻隊員の苦悩を描きながら、最期は宇垣纏海軍中将の行った、玉音放送後の特攻をモチーフにしたエピソードでカミカゼを締め括り、現代日本への警鐘を鳴らしながら一巻の終わりとなります。混乱していたあの頃の我が国全体に「カミカゼ」という言葉でもう一度原点に返れと促した様にも考えられる秀作です。暗殺漫画!ダークヒーロー好きにオススメ!夜の料理人 たがわ靖之名無し主人公が法で裁けないような悪人に対して「暗殺」という手段で世直しをしていく漫画です。見どころとしては、料理のテクニックを暗殺に活かしている場面もあるので料理が趣味の人にオススメです。ダークヒーロー者が好きな方は楽しめる作品だと思います。 ハードボイルドと孤独に生きる女性の悲哀銀猫 佐藤まさあき名無し劇画タッチで描かれる女殺し屋のお話です。 全編に渡りハードボイルドな展開がとても面白く一気に読み切ってしまいました。 生きる糧として殺しを生業にしている主人公の感情の揺れがとても人間くさくてよかったです。 冷徹な殺人マシーンになりきない女性の悲哀が見事に描写されています。 古き良き昭和の風俗が描かれているところも評価したいです。 背景に至るまで丁寧に描かれているので文化史的にも一読の価値があると思います。キャラ描写がしっかりできている地獄変 日野日出志名無しぱっと見ではB級ホラーものっぽい感じですが、よくよく読んでみると、結構しっかりできています。特にキャラ設定の部分。主人公の生い立ちみたいな部分が、割と深く掘り下げられていて、妙に心を揺さぶられたりします。個人的には絵がもう少し生々しい(グロイ)感じだったら、よかったのになあ、なんて思うも、とても楽しめる作品です。<<34567>>
愛と狂気は紙一重。ついそんなことを思ってしまいながら読み終わりました。村の荒くれ者がふとしたことで人を殺してしまい、惚れた女と泣く泣く別れ、仏門に入り、旅をする中で人々を助け、最後には即身仏になる…。なんとも激しい一生ですが、その昔に実在した人物なんですね。てっきりとみ新蔵先生の演出だと思っていた信じられない展開の数々が実話だとは。1970年に「週刊女性」で連載され、部数増加に貢献するほど人気だったということにも驚きましたが、当時の主婦の方々がハマった理由はなんとなく分かる気がします。まず劇画タッチで描かれる鉄門海上人が男らしくてカッコいい。あと惚れた男が僧侶になった女の心情を綺麗事ばかりじゃなく描いてるところがいい。私も「こんなのもらったってどうしようもないんじゃ!」と思いましたもんね。いやでも二人の愛は本物です。最後にはこんな成就の仕方があるのかと感動しました。