娘に疎まれ、妻には責め立てられながらも中年サラリーマン・岩下は抑圧された日々を「父として」「夫として」慎ましく生きていた。少なくとも、ある日彼の目前に突如現れたパパ活少女・シイナと出会うまでは――。自分の価値を探し求める15歳の少女と、理性と欲望の狭間でもがく40歳中年男の痛々しくも眩い、小さな逃避行の物語。【※この作品は話売り「私が15歳ではなくなっても。」の単行本版です】 【収録内容】 「私が15歳ではなくなっても。」第1話~第8話 「私が15歳ではなくなっても。」単行本新規描き下ろし 6ページ
「おい、出てけ」横暴な父親に家を追い出された少女、サチ。行くあてと言えば、かつてサチを捨てた母の家しかなかった。しかしそこで出会ったのは母ではなく、水商売をしている母の客・コジローだった。二人は、母が金庫に貯め込んでいた数百万の大金を発見する。――このお金があれば、大好きなおじいちゃんのところまで行ける…――そう考えたサチは、コジローに懇願する。「このお金は全部あげる。私を長野まで連れて逃げて!」 【※この作品は話売り「サチある道々~私をいらない両親へ」の電子単行本版です】 【収録内容】 「サチある道々~私をいらない両親へ」第1話~第5話
「僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた」――マスクで口元を隠すことが当たり前の日常となった近未来。世界流行<パンデミック>前の時代に思いを馳せる夏木とクラスメイトの秦は、ふとしたことから小さな秘密を共有する仲になり……。「新しい日常」の世界を生きる二人の「新しい非日常」の物語が、動き出す! 【※この作品は話売り「ニューノーマル」の単行本版です】 【収録内容】 「ニューノーマル」第1話~第7話 「ニューノーマル」第0.5話 (単行本新規描き下ろし 8ページ)
芦野正樹(あしの・まさき)、遠野誠也(とおの・せいや)、成瀬二葉(なるせ・ふたば)は仲良し3人組。眩しく甘酸っぱい高校生活を送っていた。大学受験をしたくない正樹は、学校推薦を得るために頭を抱えていると、二葉からある計画を提案される。それは、万引き犯を捕まえ表彰されることだった。ただ捕まえるはずが、事件は思わぬ方向に動いていく。それをきっかけに死体解体・薬物・殺人など3人は闇組織に飲まれていきーーー!?
滝本秀実(たきもとひでみ)70歳。去年妻に先立たれ、長年勤めた仕事も先月退職。これからは何にも縛られず、独り自由に暮らしていこうと思っていたのだが――「何もやりたいことがない…?」 そんな時、孫だと名乗る謎の男・凛音(りお)がやってきて… 突然始まった孫との二人暮らし。しかも、その正体は…メンズ地下アイドル!? 自分の常識とは違う生き方をする凛音に戸惑うばかりの秀実。孤独な老人と、夢に向かうアイドルの卵の共同生活はいかに…! 70歳、奇想天外なセカンドライフが始まる――!
「クズ生徒による虐め」「被害者の自殺」「教員の退職」現代日本の教育制度はまさに崩壊寸前…!! そんな学校教育を立て直す為、日本政府は『特別なライセンス』を発行。クズどもへの制裁行為が許される特別な教員を誕生させた。物語の舞台は、問題児が通う私立高校。教員・朝賀伊吹(あさかいぶき)は、赴任した初日からクズ生徒から手厚い洗礼を受ける。好き勝手に暴れるクズたちに、朝賀は “制裁” という名の正義の鉄槌を振り下ろす―――!!
モニターツアーに誘われ、片田舎の村にやって来た女子大学生のあい、麗華、良子。そこは「女和村(オンナムラ)」と呼ばれ、はるか昔からある“商品”の売買で繁栄した恐ろしい村だった。旅行の最終日に催される祭儀が近づくにつれ、あいは村の異常性に気付いていく。「オンナ…オンナ…オンナ」あいたちは不気味な村人たちから逃げられるのか…!
桂城惣二郎(享年38)、病死したはずが異世界へ!? 根っからの不幸体質、おまけに女性経験ナシの惣二郎に同情した女神様が、転生前に加護を授けてくれることに。「特別な力はいらないから健康な体が欲しい」と望んだところ、授かったのは2つの加護【不死】と【強靭な顎】。えっ? それってチート能力ですよね? 天災級のモンスターに襲われたり、ギルドで輩に絡まれたり...とにかく不運、だけどチートなおっさんの冒険が始まるーー!!
生贄の村
「神社に近づいてはいけません! 無事にこの村から出たければ…!」――守矢灯(もりや・とう)は幸せの絶頂だった。恋人のかすみがプロポーズを受け入れてくれたのだ。しかしその日を境に、かすみは姿を消した…「実家の叔母と姉に承諾をもらってくる」と言い残して。かすみの行方を追い、灯は乙裁村(おとたちむら)を訪れる。そこは、古くから領主一族が支配する閉鎖的な村だった。灯に不審な目を向ける村人たち、物憂げな表情を浮かべるかすみの姉・椿、得体のしれないモノを祀る神社。この村は何かを隠している…? 25年に一度の祭りを間近に控えた朝、ある村人の変死体が発見されて――!
復讐の魔女
「私は逃げたりなんかしない。奴らにあの時の復讐をする――!」あの日、突然家族の平和が壊された。獣のような男たちによって…。娘の目の前で父が殺され、母は自我を失った。それから12年後――復讐を誓った娘は【村国涼子】と名前を変え、人を殺す術を身につけて、再び男たちの前に現れる。かつて自分から両親を奪った奴らを地獄へ送るために…!!
北海道へ旅行にやって来た大学生7人組。主人公の森下登(もりしたのぼる)は、グループの中で陰湿ないじめを受けていた。だんだんエスカレートしていく暴力。登が限界を感じたその時、冬眠から目覚めた巨大ヒグマが現れた……!! 恐怖のどん底に突き落とされるいじめっ子たち。狙われたら最後、怒り荒ぶるヒグマからは誰一人逃れられない!! 自然界から罰を下す爽快パニックホラー!!
「彼とお母さんを二人きりにしちゃだめだ…」―――大学生の上村リオは、過保護な愛情を向けてくる母親に洗脳されて育ってきた。母が正しく、自分は間違っている。そう思っていたリオにある日、彼氏ができる。母に言われるがまま、彼氏を家に連れて来ることになったリオ。すると普段から美しい母が、いつもより入念にメイクし、胸元の開いた服を着ていて……!? 歪んだ母性が徐々に日常を崩壊させてゆくサイコ・サスペンス!!
今とても熱いレーベルのひとつであるコミックアウルから、新進気鋭の才能により放たれた鋭利なる一撃。 「これが令和の『罪と罰』だ!!!」と帯に銘打たれていますが、読んでいる時の常在的な息苦しさはまさにドストエフスキー作品を読んでいる時のそれです。 「中年になっても性欲はみじめに残る 俺は生きているだけで害悪だろうか」 と吐露する40歳中年男性がこの物語の主人公です。幼い頃は「お父さんみたいな人と結婚したい」と自分を慕ってくれた娘が思春期になると自分を汚物のように嫌悪してくるようになり、奔放に浪費する妻を尻目に辛い労働に勤しむ日々。 ぱっと見は普通の中年男性なのですが、娘のブラジャーを見て劣情を催したり、醜く毛が突き出た自分の手指を見て「俺 指も汚な…」と自己嫌悪を深めるシーンなどディティールの積み重ねによる絶望感が利いてきます。 父としても夫としても自分の存在意義に悩む主人公は、ある日15歳の訳ありパパ活少女と遭遇します。彼女もまた、とある事件とそれに起因する鬱屈した日常を送る人間でした。若い身体に価値がある内に小銭を稼いで海の見える遠い町で花屋を営み穏やかに生きて死にたい、と願う少女。二人の歪みが重なり合うことで生じる奇矯な関係性から、物語は駆動していきます。 とにかく本作はさまざまなシーンでの表現力と迫力が見どころです。全力の嫌悪感や全力の絶望感、背徳感と欲求との鬩ぎ合いが、叩き付けるような描写によって暴力的に繰り出され続けていきます。ひたすら辛いのに、ある種の疾走感すら覚えるほどです。 表紙のかわいい女の子からは想像しにくいかもしれませんが、読感としてはビーム系の作品に近いです。かわいい女の子を描けるからこそのギャップが非常に活きていると言えるでしょう。 闇の深い物語を好きな方には強く推します。