手塚治虫アシスタントの食卓

漫画の神様のアシスタント記!!

手塚治虫アシスタントの食卓 堀田あきお&かよ
nyae
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タイトルからするに、アシスタントたちの食事情を記したグルメ漫画っぽい内容なのかと思いきや、手塚プロダクションで働く人々を(たぶん)リアルに書き記した読み応えのあるものでした。 早番と遅番が分かれていたりと会社らしい仕組みがありながら、やはり何本も連載を抱える手塚先生ですので、昼も夜もないことはザラで、いつでも原稿待ちの担当編集者が待っている状態。みんな、つらいけど楽しい。ある意味部活動みたいな空気を感じてグッときます。そんななかでやはり誰もが楽しみにしているのが「食事」なわけです。とくに会社からお金が出る夜食など、栄養補助食品を片手に机に向かい続けるのではなく、みんなで一緒にお決まりのお店に食べに行く描写が楽しい。 なにより驚いたのが、この漫画の作者は漫画制作未経験にも関わらず手塚プロダクションに採用されています。採用基準としては「伸びしろがあること」というものがあるそうですが、そういう"未来の漫画家を育てよう"という会社の方針があるんですかね。実際に、漫画家として羽ばたいていったOBたちが手伝いに来てくれることがよくあるみたいです。 手塚先生がアニメーション制作も漫画と同時進行し始めたはなしは読めば読むほど強烈で、人間離れしてます。まさに神の所業。アシスタントたちは当時いろいろ思うところはあったと思いますが、そんな人のもとで働いていたという経験は何よりも代えがたいですよね。 これで完結してるかと思いきやまだ続きがあるそうで、はやく2巻も読みたいです(紙の単行本ではもう出ているっぽい)(余談ですけど絵柄が中川いさみっぽいですよね)。

午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】

「好き」を大切にする、食の短編集

午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】 木村いこ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

【「ごはん日和」作品ピックアップ③】 例えば目玉焼きに醤油をかけるかソースをかけるか、という話題になった時に、少数派だったソース派の人が明日から醤油にしよう、と思ってもなかなかそうはいかないですよね。昨日まで好きだったソース味を今日から味わえない違和感、物足りなさに耐えられなくなって、翌日にはまた、ソースに手を伸ばすのではないでしょうか。 人の好みとか、習慣というのは簡単には変えられない。それはその人の歴史とDNAに刻まれたものだから、どうしようも無いものです。しかし人は、そんな他人の趣味嗜好を、割と簡単に断罪してしまいがちです。 私への配慮に欠ける外部から、いかに私の日常を、好きという気持ちを、大切に守るか。そんな営みを、食を通じて綴った短編集がこの『午前4時の白パン』です。 物凄く凝ったメニューとかではなく、ごく身近な「食」に関するルーティン、毎日の活力の素、止められない変わった食べ方、人に内緒の行きつけのお店などが描かれ、共感ポイントが多いです。 さらには自分だけの大事な時間、好きな誰かと共にある喜び、大切な人の好みや故郷を共有するなど……自分を大切にし、他人に心を寄せる優しい物語が綴られ、地味だけれどじんわりと心に染みます。 イラストレーターでもある著者の木村いこ先生の、朴訥な絵柄も物語の優しさを増幅。出てくるお店の庶民的な感じも絵柄によって質感が出ていて、小洒落たお店を探すのに疲れた人、自分だけの隠れ家を探したい人などは、この作品を読むとホッとするでしょう。 ----- 【「ごはん日和」作品ピックアップ】として、以下の作品を取り上げています。 ①14歳の里山レシピ 東吉野で、いただきます。 ② 笑とお兄ちゃんのなりゆきごはん ③ 午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】

笑とお兄ちゃんのなりゆきごはん

子供が切り盛りする食卓は失敗も楽しい!

笑とお兄ちゃんのなりゆきごはん 池田さとみ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

【「ごはん日和」作品ピックアップ②】 例えば『舞妓さんちのまかないさん』や『茄子』のロケカレー飯などの食卓を切り盛りする漫画、ワクワクします。その時の条件から食べる人の気持ちまで考えて献立→調達→調理をこなす手際に、見惚れてしまいます。 そんな切り盛りも毎日になれば、色々失敗や、イレギュラーもありますよね?『笑とお兄ちゃんのなりゆきごはん』は、家族の食卓を切り盛りする子供達が、日々起こる様々な不測の事態を「なりゆきで」やりくりしていく、愉快で温かなコメディです。 ※※※※※ よくもまあ、こんなにイレギュラーが起こるもんだ……でも割とこんなもんですよね? 例えば漬かり過ぎたぬか漬け大量発見!とか、買い物間違え、大量の煮物が集まってくる、など……確かにあるあるですが、それを何とかするのは、中学生の兄と小学生の妹。 実は母親を数年前に亡くしているのですが、彼らは母の残したレシピを基に、様々なアレンジで日々の出来事に対処します。でも彼らはいつも楽しげで、悲壮感はありません。 凄く美味しそう、というメニューばかりではないけれども、これあり?……ありかも!という発見があちこちに。代替レシピや保存食など、実際に使えそうなネタも多い。 中学生離れした兄の料理知識の上で、妹が打率三割位の素っ頓狂なアレンジをかましてくるのも微笑ましいです。 上手くいったら美味さを堪能し、失敗してもこりゃ駄目だ、と笑い話にする明るさにホッとします。日々の食卓を切り盛りする方の、心を軽くしてくれる一冊ではないでしょうか? ----- 【「ごはん日和」作品ピックアップ】として、以下の作品を取り上げています。 ①14歳の里山レシピ 東吉野で、いただきます。 ② 笑とお兄ちゃんのなりゆきごはん ③ 午前4時の白パン 【描き下ろし漫画付】