痩せたいさんと失恋ちゃん

百合好きならこの作者の組み合わせ、ピンときますよね?

痩せたいさんと失恋ちゃん 安田剛助 文尾文
sogor25
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「私と彼女のお泊まり映画」「草薙先生は試されている。」等、百合に限りなく近い女性同士の関係性を多数描いてきた安田剛助さんが原作、「私は君を泣かせたい」で笑顔あり涙ありの様々な表情を見せる百合作品を描いた文尾文さんが作画というコンビで生み出されたこの作品。 主人公の凛子が初恋の相手である詩織先生と偶然再会するところから、中盤ある理由で詩織先生の家に行くことになるまでの展開の自然さに唸らされる。そして詩織先生が凛子の恋心を意識した辺りから終盤への展開、百合作品でこんな結末されたら悶えてしまう。 原作の安田剛助さんは「じけんじゃけん!」等のコメディの印象のほうが強かったけど、今作はコメディ要素も見せつつ直球の百合ではないドラマ性の高いストーリーを見せてくれる。作画の文尾文さんは相変わらず表情の描き方が上手いし、太ってるという印象を与えてダイエットしてるという設定に説得力をもたせつつちゃんと愛され感のある詩織先生のビジュアルが見事。 その後の物語やサイドストーリーも見てみたいという気にさせつつ、全1巻で綺麗に完結して「いい百合作品を読んだ」と思わせてくれる作品。

ボクらは魔法少年

尊過ぎて俺にはこれしか語れない

ボクらは魔法少年 福島鉄平
マンゴープリン
マンゴープリン

この作品は、連載雑誌のヤングジャンプでも紹介されておりますが、『サムライうさぎ』、『福島鉄平短編集 アマリリス』など、有名な物語を描いておられる福島鉄平先生です。なので期待値も高く、その上、しっかりと期待通りの、否、それ以上の活躍をしております。 福島鉄平先生は、今まで、様々な『愛』をテーマにした作品を描いています。『ボクらは魔法少年』では、『自己愛』がテーマです。人間にとって、親や、他者を愛することも重要ですが、己を愛することもまたとても重要であります。それをもっと、沢山の方々に届けたい、私はそう思い、筆を執りました。 『ボクらは魔法少年』は、近年における、『かわいい』の新たな波動にとてもよく似合っており、見る者の心をぐっと掴めること間違い無しだと、私は強く、信じております。実は私 は、福島鉄平先生を、『ボクらは魔法少年』という作品で初めて知りました。『サムライうさぎ』や、『 福島鉄平短編集 アマリリス』もこの作品を知ってから学びました。そんな私が、今この作品を見ても、心の底から素晴らしいと感じているのです。福島鉄平先生と厚い信頼がある訳でもなく、今までの作品を読んできた訳でもなく、追っかけでもありません。まあ、これを証明する方法はありませんが。それでも、私は、今この作品を心の底から信じて、敬愛しております。 『ボクらは魔法少年』は、現在、多くの方々に支持されております。私もそうです。因みに、私の友達にこの作品の事を聞いたら、皆、もう読んでおり、私はかなり驚きました。話を戻します。この作品を支持しているのは、読者だけではありません。それは、担当編集の方もです。私は、担当編集さんまでもが支持しておられる作品なんて初めて知りました。担当編集様も、かなり感動しており、いつも、そのコメントを見る度に、私の期待値はどんどん増えていきます。そして、その期待はしっかりと、作品が受け止めてくれて、私もとても感動してしまいます。 以上を持ちまして、私は、重ねて、推薦させて頂きます。 最後まだお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

終末のハーレム ファンタジア セミカラー版

本家より上品でまとまった仕上がりだが、終末……?

終末のハーレム ファンタジア セミカラー版 LINK SAVAN
mampuku
mampuku

 Web連載の人気お色気SF作品「終末のハーレム」のスピンオフ、というか今のところ(2巻現在)どの辺が終末なのか…… 普通のファンタジー作品にしか見えませんw ただ、さすが紙で連載してるだけあって絵やストーリーは上質です。  本家のほうは作画が女性ということもあり、ディテールに凝っていてキラキラ(むしろギラギラ)している印象の絵柄ですが、「ファンタジア」の方はもう少し落ち着いていて、デッサンがしっかりしているのでとても読みやすいです。(ざっくり乱暴な言い方をすれば男性的な絵。)  本家のほうはそれこそ成人向け業界仕込みの筆力でこれでもかとエロティシズムをぶっこんで来ますが、いかんせん全年齢向けとしてリリースしている以上、いくら細かく描きこんだところで画竜点睛を欠くというか、実用性においても中途半端であることは否めません。逆にファンタジアくらい身体の骨格や筋肉がちゃんと描写できているほうが、全年齢では強い気がします。「ToLOVEるダークネス」や「なんでここに先生が」もそうですし、エロに限らず主要な少年誌で連載されてるラブコメってみんな人体上手いですよね。  一応内容にも触れておくと、個人的に騎士のセリーヌが好みで、普通であれば主人公の幼馴染であるアウレリアに主人公を持っていかれるであろう「負けヒロイン」のオーラが濃い彼女ですが、タイトルからして「ハーレムエンド」が約束されているのでそこはひとまず安心か……

CLOTH ROAD

「キルラキル」が好きな方におすすめです

CLOTH ROAD 倉田英之 okama
兎来栄寿
兎来栄寿

最初に出会った時は、その圧倒的なデザインセンス・線の美しさに惚れ込みました。 作画を担当しているOKAMAさんは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』で使徒やセントラルドグマなどのデザインもされている方。 その緻密な筆致により描かれる服飾や背景美術が、唯一無二の世界観を生み出しています。 独特のアーティスティックなセンスが一コマ一コマに行き届いて、画集のような楽しみ方もできる漫画です。個人的には、背景を眺めているだけでも十分に楽しい作品。 きっとこの世界が好きだけれど未読という人は、まだ世の中に一杯いる筈! 是非ともそういった人に届いて欲しいと願います。 又、キャラクターもとても魅力的。 元々女の子の可愛さに定評のある方で、事実可愛いのです。 でも、それだけではありません。格好良いおっさんだって沢山出て来ます。 感情が迸ってくるようなキャラの表情も良いですし、躍動感溢れる構図は画面の外まで突き抜けて来るかのよう。 そして、ビジュアル面のみならず物語自体も実に面白いです! 脚本を担当するのは、今季では『東京レイヴンズ』『サムライフラメンコ』に携わっていた倉田英之さん。 『R.O.D』で紙を用いて戦う少女を描いていましたが、今作では服で戦う少女を巧みに熱く描きます。 ここで、ちょっとばかりその独特な作品世界を説明しましょう。 ナノテクノロジーが極限まで進化し、産業革命ならぬ「繊」業革命が起きた時代。 ケーブルは繊維に、基板は布になり、コンピューターは服と一体化。 世間では服を作る「デザイナー」と、服を着こなす「モデル」が脚光を浴びる中、生まれてすぐ捨てられた双子、デザイナーの少年ファーガスとモデルの少女ジェニファーを中心に物語は進みます。 この世界のモデルは、デザイナーの作った服の驚くような機能を駆使してバトルを行う存在でもあります。モデル同士のバトルは人気の競技であり娯楽。 生き別れの双子が再会し、ファーガスが作った服をジェニファーが纏って戦っていくという大筋です。 そして、物語が進むにつれ話はどんどんスケールアップ。 それこそキルラキルばりに、星をも巻き込む物語になって行きます。 ユニークな要素が沢山詰まった作品ですが、大筋を辿れば実は正統派ビルドゥングスロマン。 少年と少女の成長、人と人との暖かい絆、熱い絆を感じられるようになっています。 この部分がしっかり創られているからこそ、私としても多くの人に呼んで貰いたいと思うのです。 『クロスロオド』が素晴らしいのは、全11巻で11巻が一番面白いということ。 序盤はもしかしたら乗り切れないものを感じるかもしれません。 が、尻上がりに面白くなっていきますので安心して下さい。 とりあえず、まずは4巻まで読んでみるのが良いでしょう。 最初は三流・二流モデル達がメインですが、トップモデルやトップデザイナー達のキャラ立ちぶりは凄まじいです。 中でもメイ様と呼ばれるモデルは非常にカリスマ性が高く、格好良いです。 『クロスロオド』自体名言が頻出する作品ですが、特にメイ様は名言製造機と呼んでも良いほど。 少々引用すると…… > どこで咲こうと花の美しさは変わらないよ   > シャクナゲの花言葉は『威厳』『荘厳』君たちにはないものだ  > そしてもう一つは『危険』 君たちが今味わっているものだ   > 隣で世界が滅亡しても気づかない鬼の集中モードにいつでも入れるように   > 風まかせかい? ……違うね  > 勝利の風は自分で吹かせるものだっ! ああ、メイ様格好良いィッ! ちなみに、一番好きな名言はここでは伏せておくので、是非実際に読んで昂って下さい。 一部キャラの激しい狂気や、ページを捲った次の瞬間に起きる衝撃という意味では『HUNTER×HUNTER』を思い出す位の内容です。 ジェットコースター的な展開が好きな方にもとてもお薦めです。 『クロスロオド』の華やかな世界と凄絶なバトルシーンも、アニメで観てみたいなぁ…… この精緻さを動画でやるのは非常に大変だと思いますが、その分創り上げてしまえばアニメ史に刻まれる作品になると思うので、こっそり期待しています。

恋は光

改めて読んでも面白かった恋愛論理漫画

恋は光 秋★枝
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

改めて読み直してみたんですがやっぱり面白いなー、と思うのは「センセ」こと西条の理屈っぽさもだいぶ魅力ですが、四角関係の各人のキャラと思考がしっかり立っているのがいいんですよねー。 恋をしている人がキラキラ光って見えるというのはあくまで通常であれば比喩の一種ですが、理屈っぽい非モテ系男子大学生の西条は実際にその光が現象として見えてしまうという。 「恋を知りたい」という東雲さんに恋に落ち、小中高から大学まで一緒の北代さんに相談し、他人の彼氏を寝取って優越感に浸る宿木さんが迫りくる、この3人をヒロインに据え、交換日記で恋と光について論議しつつ恋が、青春が進行していくんですね。 最初に書いた非常に理屈っぽいといのは、全員がしっかりと論理的に各人が思い描く恋について掘り下げていき考察するんですが、ここまで恋という現象を言語化しているマンガはまあ見ません。 光についても家庭環境や育ちに起因しているのでは、というFBIの心理捜査さながらの分析をしていくのが、少年漫画などで能力を手に入れた者がトライ&エラーで能力の特性と限界を探っていく作業に近いんです。 なので、非モテがゆえの鈍感な主人公と潔くかっこいい女性たちとの単純な恋愛模様の面白さに論理的考察、能力分析のワクワク感あいまってとてもいいマンガです。 そして絵もかわいい。