冷蔵庫のアレ、いつ使うの?
自宅の冷蔵庫の中を思わず考えてしまう
冷蔵庫のアレ、いつ使うの? 山本あり
ゆゆゆ
ゆゆゆ
冷蔵庫に居座る、期限が長い調味料やらなんやらを使い切る、ゆるいお料理エッセイ漫画です。 冷蔵庫から発掘される、我が家でも心当たりのある調味料の数々。 「その食べ方は美味しそう」と、見ているとお腹が減ってきます。 DINKS&酒飲みのご夫婦のようなので、ちょっと濃い目でも「酒に合う〜」と、おいしく召し上がっているので、さらに羨ましくなってきます。 ちなみに、読む前は表紙イラストがいったいどういう状況かわからなかったのですが、読んだ今なら推測できます。 冷蔵庫に居座る何かをなんとかしたい、ミニマリスト気質&お掃除担当の旦那さんと、ビールを大変おいしく飲んでいるお料理担当の山本ありさんです。 裏読み不要、そのままなイラストでした。 さて、私も久々に鶏ハムを作ろうかな。 ストレス発散がてら鶏肉を綿棒で叩き潰して、美味しく食べたい。 ちなみに作中に出てくる困った調味料のひとつ「柚子胡椒」は、唐揚げの漬けタレにしても美味しいです。 「ナンプラー」は意外と万能に使えるようで、平野レミさんのお料理各種や、ツジメシさんのナンプラー鶏肉そうめんもオススメです。
今夜も割りカンで
割り切るのは勘定なのか感情なのか
今夜も割りカンで 高田靖彦
名無し
共に食事をする男女の関係にも色々ある。 だが勘定が「割りカンで」ということであれば それはおおむね、相手と貸し借りを作りたくない、 距離を保ちたい、という関係の場合が多いと思う。 割りカンならすべてそうだとまでは思わないが、 積極的に相手との距離を縮めたいと望む関係ならば、 あまり割りカンにはしないだろう。 なのでこの漫画のタイトルに「割りカン」とあり、 それでいていかにもカップルっぽい男女の絵が 描かれているのを見たときには、 「ああ、常に割りカンという割り切ったカップルと見せかけて  実はそれでいて超親密とか、相思相愛とか、  ツンデレゆえに割りカンをする、とかいう感じのカップルの  ひと捻りしたラブコメ話の漫画なんだろうな。」 と推測した。 まだ全2巻のうちの第1巻しか読んでいないので、 その考えが間違っていたと結論づける段階ではない。 だがいまのところ、推測していたのとは違って、 結構そのまんま距離を保った男女のまま話は進んでいる。 まあ少しづつ、以前よりも互いを理解しつつあるし、 仲は良くなっていっているとは思うけれども。 今のところ普通の意味で「健全な大人の男女の飲食話」。 健全過ぎてエロ要素とか皆無なので、下衆な意味で 「とっとと喰っちゃえよ!」 と思ってしまう部分もあったりするが(笑)。 それと勘定がどうこうという話ではあっても、 どっちかがとか誰かが金持ちだとか貧乏だとか、 そういう金銭的なリアルさを感じさせるシーンも少ないですね。 ようするに無駄にドラマチックな展開とか、 意表を突くような展開とかは殆どありません。 少し不器用な関係と生き方をしている男女の生活を舞台に、 悩んだり、ホッとしたりとした感情の機微を中心に 話が進んでいる感じです。 それだけに最終回までにこの男女が、 この男女の日常ドラマがどう変わるのか、 それとも変わらないのか、 興味は沸きました。 これからもずっと割りカンで、と終るのか、 それともこれからは、で終わるのか。 (添付画像は第1巻からです)
堤鯛之進 包丁録
食べて、働いて、生きる。古来から変わらぬ人の営み
堤鯛之進 包丁録 崗田屋愉一
兎来栄寿
兎来栄寿
歴史サスペンスハートフル疑似家族グルメマンガ。一冊の中に色々な要素が詰まっていますが、冒頭で梅干しと鰹節を煮て煎酒を作るシーンに象徴されるように江戸を舞台に非常にシズル感の高い食のシーンにフィーチャーした作品です。 実際に17,8世紀に記された『料理山海郷』等の本の記述にあるレシピを元に、服より食に財を注ぐ主人公が料理の腕を振るっていきます。鰯を煮詰めたり、柿の美味しい調理法を語ったりする時の生き生きとした雰囲気に、読んでいる方もワクワクしつつお腹が鳴ってきます。崗田屋愉一さんの高い画力と語り口のハイブリッドによりあまりにも美味しそうで、メシテロ的な意味で暴力的とすら思います。 そして何より 「ごちそうさまでした これで今日も生きられます」 と、主人公が味を隅々まで堪能した後に食べた命に手を合わせて感謝をする姿に心が洗われました。ああ、良いマンガだな、と。 中盤で事件が発生し子供を預かることになるのですが、躾の様子も微笑ましく、頷く所もあり、子を育てるという営為も加わってより「人が生きる」姿とその良さをありありと描いた作品であるなと感じられました。 『極楽長屋』と同じ舞台で同じキャラも登場しますが、こちらから単独で読み始めても一切問題ありません。癖はありながらも、皆気立ては良い長屋の人々も魅力的です。 全1巻なのが勿体なくもっと長く読んでいたくなる良いマンガです。