手塚治虫アシスタントの食卓

漫画の神様のアシスタント記!!

手塚治虫アシスタントの食卓 堀田あきお&かよ
nyae
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タイトルからするに、アシスタントたちの食事情を記したグルメ漫画っぽい内容なのかと思いきや、手塚プロダクションで働く人々を(たぶん)リアルに書き記した読み応えのあるものでした。 早番と遅番が分かれていたりと会社らしい仕組みがありながら、やはり何本も連載を抱える手塚先生ですので、昼も夜もないことはザラで、いつでも原稿待ちの担当編集者が待っている状態。みんな、つらいけど楽しい。ある意味部活動みたいな空気を感じてグッときます。そんななかでやはり誰もが楽しみにしているのが「食事」なわけです。とくに会社からお金が出る夜食など、栄養補助食品を片手に机に向かい続けるのではなく、みんなで一緒にお決まりのお店に食べに行く描写が楽しい。 なにより驚いたのが、この漫画の作者は漫画制作未経験にも関わらず手塚プロダクションに採用されています。採用基準としては「伸びしろがあること」というものがあるそうですが、そういう"未来の漫画家を育てよう"という会社の方針があるんですかね。実際に、漫画家として羽ばたいていったOBたちが手伝いに来てくれることがよくあるみたいです。 手塚先生がアニメーション制作も漫画と同時進行し始めたはなしは読めば読むほど強烈で、人間離れしてます。まさに神の所業。アシスタントたちは当時いろいろ思うところはあったと思いますが、そんな人のもとで働いていたという経験は何よりも代えがたいですよね。 これで完結してるかと思いきやまだ続きがあるそうで、はやく2巻も読みたいです(紙の単行本ではもう出ているっぽい)(余談ですけど絵柄が中川いさみっぽいですよね)。

武士スタント逢坂くん!

夢絶たれた春画絵師が現代で漫画アシに…!!

武士スタント逢坂くん! ヨコヤマノブオ
名無し

最高の新連載がスピリッツで始まってしまった…!! カラー表紙のケバケバしい色使いが格好いい!絵がめちゃくちゃ上手い!!絵柄や線の味が江戸を描くのに合ってるし、描き込みに迫力がある。そして作中の絵も絵図や春画も、すごく見応えがあって面白い…! https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,h_365,q_80,w_255/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/board/thumbnail/112360/5f9844fe-c214-4917-aa52-b491ddab1065.png 主人公の逢坂は江戸の春画絵師。幼い頃に見た「龍と女人」の絵に衝撃を受け、それを超える作品を描きたいと思っているが、なぜか春画(しかも似たような作品)しか描けなくなってしまう。ともかく今の自分にできることを頑張ろうと制作に励むが、お上にバレて死罪となってしまう。まさに首が刎ねられようとしたその時、逢坂の体は現代の漫画家の作業場に居て…というあらすじ。 逢坂がタイムスリップすることでシリアスな笑いになってるのが最高。そもそも江戸時代の逢坂のモノローグがシグルイっぽくてめちゃくちゃ好きwww これから逢坂がどんなふうに現代で活躍するのか楽しみ…!! 【週刊ビッグコミックスピリッツ公式】 https://bigcomicbros.net/comic/bushistunt_aisakakun/

薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―

少女漫画はこうして作られる!超貴重なアシスタント目線のエッセイ

薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記― 笹生那実
まるまる
まるまる

日本の少女漫画文化の礎を築いた名だたる作家たちのアシスタントをつとめ、数々の「シュラバ」を経験した著者から見た、知られざる少女漫画制作の裏側。 その裏側には、薔薇が舞いアハハ..ウフフ...と笑顔が輝く少女漫画(例えが薄っぺらくて申し訳ない)イメージとは正反対の、寝食を限界まで犠牲にする作家とアシスタントたちの姿がありました。 ただ本書で描かれるのは、そのシュラバが如何に地獄だったかとかそういう話ではなく、いまやレジェンドと呼ばれる作家たちの名作誕生秘話や、それぞれの人柄がよくわかるエピソードなどです。 大変なこともたくさんあるけど、何よりみんな漫画が好きで描くのが楽しくてしょうがないというのが伝わってきます。 衝撃的だったのは、萩尾望都先生自ら作詞、作曲、歌、ナレーションをこなしたアルバム「エトランゼ」に収録された「アシスト・ネコ」の歌詞。シュラバの混沌をそのまま歌詞にした内容(のよう)です。聞いてみたい…。 あとは美内すずえ先生に、著者が新人の頃に犯した失敗を7年越しにお詫びしたときに放たれた言葉。これには本っっっ当に痺れました…!!! どんな言葉だったかはぜひ本編で確かめてください。