海外(BD・アメコミなど)マンガの感想・レビュー59件ムチャチョ―ある少年の革命―の感想 #推しを3行で推すムチャチョ―ある少年の革命― 大西愛子 エマニュエル・ルパージュstarstarstarstarstarleon・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ ニカラグアというよく知られていない国での革命、同性愛、ガブリエルの 成長といった様々なテーマを高レベルでまとめられていると思った。 ・特に好きなところは? ガブリエルの成長と彼の心情に合わせて色彩が変わっていくところ。 エマニュエル・ルパージュは絵の上手さだけでなく色彩の使い方にも 長けているなと感心した。 ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! ストーリーもそれほど難しくないのでバンドデシネ入門として 読む価値は充分にある。同作者の「チェルノブイリの春」もおススメ。迷走する私とフィギュアスケートスピン ティリー・ウォルデン 有澤真庭あうしぃ@カワイイマンガフィギュアスケートを惰性で続けている少女の物語。なまじ出来てしまうことに加えて、ある理由でフィギュアスケートに固執している主人公。やりたくはない、けれどもやめられない、という苛立ち・うんざり感……一冊を通じて、鬱々とした気持ちに支配される。 周囲が全てクソという認識。生きづらさ、世界に受け入れられない絶望感。解決策が無く、無力感を共有することになる。 しかし、ぐいぐいと読めてしまう。そこにある無力感は、過去の私も持っていたものに似ているから。 学校でも、リンクでも、うまくいかない主人公。彼女を支えるのは、それぞれの場所で彼女を受け入れる女性たち。おかげでぎりぎり立っていられる主人公に感情移入する。 過剰に女性の支えを求める理由の中には、彼女の同性愛もある(作中ではゲイと表現)。そこにはときめきがあるものの、決して受け入れられないだろうという諦めが彼女をいっそう荒ませるのが辛い。 幼少期から思春期にかけての迷走は歯痒いし、自分と照らし合わせるのも辛い部分がある。一方で心の奥底で同調し、その辛さがどう癒されるのかを追いたくもなる。 起こる出来事に一貫性が無く、突然なのがリアルに感じる。作者の自伝として、恐らく自分の感情に向き合って、歯を喰いしばって描いたのだろう生々しい描写に触れて、ひどく動揺している私がいた。「大正ロマン in 台湾」なファンタジー北城百畫帖(カフェーヒャッガドウ) AKRUぺそ※ネタバレを含むクチコミです。Lost Childrenの感想 #推しを3行で推すLost Children 隅山巴文starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 連載中も読んでいたがほとんど理解していなかったので今回全部読んだ。 身分制と民族差別が支配する国家での二人の少年が主人公で各パートごとに物語が進んでいく。最終的には色々要因を回収して終わったとは思う。巻頭か巻末に各用語の説明をもう少し入れてほしかった。 ・特に好きなところは? 7巻以降かな。色々一気に話が進む ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 読み込めば読み込むほど面白くなるマンガとは思うが、マンガ内の舞台や風習や用語などが多く今回もなんとなく読み切ったという感じになってしまった。 近いうちにもう一回読み返してみようとは思う 体は人間、アタマは犬の新感覚ニューヒーロー!!ドッグマン 中井はるの デイブ・ピルキー書肆喫茶mori店主※ネタバレを含むクチコミです。これを描いた小学生のマンガに対する理解度の高さよドッグマン 中井はるの デイブ・ピルキー名無し※ネタバレを含むクチコミです。自分探しの旅・・エロイーズ 本当のワタシを探して 関澄かおる ペネロープ・バジュー ブレstarstarstarstar_borderstar_borderママ子ジョゼフィーヌ!で話題になった、ペネロープ・バジュ―さんの作品で 記憶を失った女性が「自分が何者なのか」自分探しをしていくお話。 自分が記憶をなくしたことに気づいたら、エロイーズのように自分探しをしようと 考えるだろうか・・。ひたすらパニックになってそう。パリの女性は精神が強いのかしら 個人的にはジョゼフィーヌ! の方が好みかも。 共感でしかない!!ジョゼフィーヌ! アラサーフレンチガールのさえない毎日 関澄かおる ペネロープ・バジューstarstarstarstarstarママ子※ネタバレを含むクチコミです。「さえない毎日」を生きる喜びがあるジョゼフィーヌ! アラサーフレンチガールのさえない毎日 関澄かおる ペネロープ・バジュー名無しフランスではブログで連載するスタイルのマンガが一定の人気を博していて、著者のペネロープ・バジューは本作の前にそうしたブログ連載のマンガでヒットを飛ばしています。『ジョゼフィーヌ』もブログのようになんでもない生活の一場面を切り抜いたような作品です。各話は基本的に1ページで完結するので、読み味としてはコボちゃんとかに近いかもしれませんね。 主人公のアラサーOLジョゼフィーヌの暮らしにはわかりやすい幸せも人生大逆転も起きるものではないですが、ポップな色合いと軽妙なキャラクターのやり取りを見ているとなんだか元気が湧いてきます。 自分が一番いいな、と思うのは愚痴を言って励まし合う友だちが沢山いること。出会いがないことに文句ばかりのジョゼフィーヌですが、いい人たちに恵まれてるじゃん!と思いました。 飼い猫の名前がブラッド・ピットなのも好きです。革命を生き、大人になる少年の物語ムチャチョ―ある少年の革命― 大西愛子 エマニュエル・ルパージュ名無し舞台は1970年代のニカラグア。宗教画を描く修道士ガブリエルはゲリラに同行し、彼らとともにジャングルを行軍することになります。「ムチャチョ」とは「坊や」の意味。ゲリラとともに行動する中で愛や政治、芸術などさまざまな面でガブリエルが「ムチャチョ」から大人の男になっていくことが描かれます。 ストーリーは歴史的な理解が必要なことも多く難解な部分もありますが、水彩で印象的に描かれたニカラグアのジャングルの草木や土の色と光に満ちた画面を見るだけでも十分楽しめます。少し邪道かもしれませんが作者のインタビューを収録したあとがきを読んでから読むと話に入りやすいかもしれません。 物語の始まりのシーンが好きエロイーズ 本当のワタシを探して 関澄かおる ペネロープ・バジュー ブレANAGUMA本作、ベンチに座っていたエロイーズがふと記憶喪失になっていたことに気付くシーンから始まるのですが、その自然さがなんだか巧みで、ピンク色のカラートーンとともに強く印象に残っています。 メインとなるストーリーラインはサブタイトルにもある「本当のワタシ」探し。 少ない手がかりを元に記憶を失う前の自分がどんな人間だったのかを調べていく…と書くと壮大なミステリーやサスペンスのようでもありますが、そうそう大変なことが起こるわけでもないのが人生というものかもしれません。 どこにでも居る女性だった(と思われる)エロイーズ・パンソンの身の回りも、世の人のご多分に漏れずありふれた出来事ばかりだったようで、一生懸命過去の自分の身辺調査を行うほどに些細でちっぽけなことばかりが判明していきます。そのようすは親近感やおかしみと同時に、どこか空虚さというか、切なさも感じさせたり…。 「記憶を失う前の自分ってどんな人間だった?」というのを入り口に「そもそも根本的に自分ってどんな人間なんだろう?」という二重の意味で「本当のワタシ」を探すことになるのが妙味です。 そんな深いテーマもありつつ、バンドデシネとしてはかなり読みやすい部類に入ると思います。エロイーズのちょっとした仕草がどれもかわいかったり、普段縁遠いフランスでの「フツーの」暮らしが垣間見えるだけでも面白いので、読む機会があれば気軽に手に取ってみてほしい一作です。Transition Gameの感想トランジションゲーム クリストファー・ロペス TATSUZ Halcyon1142名無し※ネタバレを含むクチコミです。とある出版人の戦後台湾史 #1巻応援 台湾の少年 游珮芸 周見信 倉本知明あうしぃ@カワイイマンガ本作は台湾で伝説的児童雑誌『王子』を創刊した、蔡焜霖さんの人生を描いたノンフィクション。戦前の日本統治時代から白色テロ時代、そして現代の民主化した台湾までを通して描く作品は、おそらく今までにないのではないか、と『綺譚花物語』翻訳者の黒木夏兒さんはおっしゃっていました。 全四巻のうち1巻と2巻が同時発売。両方を通して読んでみると、この二冊が同時発売された意味が分かる気がします。 1巻は戦前。台湾語を喋りながら日本語を学ばされる時代を、それでも大家族の中でおっとりと優しく育つ焜霖さんの少年時代は、穏やかなタッチで描かれます。 しかし1巻末、世界は暗転します。 2巻では、謂れのない罪を着せられた、政治犯としての過酷な10年が、暗く・痛々しいタッチで描かれます。 登場する人物も皆、焜霖さんが出会った実在の人物。さまざまな出会いも、大切な人も、容易に奪われてゆく。その悲しみ……とりわけ彼らを失ったのは自分のせいかもしれない、という焜霖さんの苦しみは、巻末の一人ひとりの解説を読むと、いっそう強く伝わるのです。 失われた者や時への焜霖さんの思いが、3巻以降、どのような形になるのか……続きを待ちたいと思います。 帯の近藤よう子さんの言葉を見て購入。…大邱の夜、ソウルの夜 ソン アラム 吉良佳奈江ymzkrm帯の近藤よう子さんの言葉を見て購入。 共感する葛藤や呪いがたくさんあった。 マンガ家にファンが多い(気がする)海外マンガブラックサッド 大西愛子 ファン・ディアス・カナレス フアンホ・ガルニドANAGUMAメビウスとかマイク・ミニョーラみたいになんとなく「日本のマンガ家のあいだで名前が通っている海外マンガ(家)」ってのがあると勝手に思ってるんですけど『ブラックサッド』はその中ではまだまだ知られていないとさらに勝手に思っています。なので今日このクチコミを読んで知ってほしい。 マンガ家に人気の理由の一端はページを開いてすぐわかるんですけど、作者は元ディズニーのアニメーターでとにかくべらぼうに絵がうまいです。 その絵のうまさも、正確な形を描き出すデッサン力、演出に合わせた色彩感覚、決まりまくった画面構成(レイアウト)…と、もう絵を描く人だったら喉から手が出るくらい欲しい物が全部網羅されています。 まず動物擬人化ものって技術がないとどうしてもコミカルにやりがちというか、生き物の構造を無視した描き方に逃げちゃうことが多いというか…写実とデフォルメのバランスが難しいジャンルだと思うのですが、本作の場合は動物がきちんと描けるひとなんだなというのが一瞬で理解できます。 海外マンガに慣れてない人が敬遠しがちなフルカラーも色合いが水彩ぽくてソフトですし、各場面に合わせた演出としてコントロールされているので違和感なく読めるんじゃないかなと思います。「マンガを読む」という行為を邪魔しない、むしろ上手に手助けするような色使いがされています。 色合いとダブルで効いているのがパキパキとしたカメラアングル。作品のハードボイルドなテイストにすごく合っていて、この辺りも映像畑出身の方の上手さだな…と舌を巻いてしまいます。 …とダラダラと書いてきましたがひとまず試し読みで見てほしい作品です。海外マンガ、「百聞は一見にしかず」タイプの作品が多いですが、そのなかでも『ブラックサッド』は特に「見たらわかる!」度が高いマンガだと思うので…。女の子が超カワイイしカッコいい!近未来SFアクション!!BABY. 常勝書肆喫茶mori店主台湾の2011年第二回金漫賞(ゴールデンコミック賞)受賞作。 近未来SFアクション作品!! めちゃくちゃ面白いです! 感染すると「機人」化し人を襲う謎の生命体「BABY」によって人類が絶滅しかけた近未来。 機人化をまぬがれた主人公エレットラ。 謎の少女アリス。 果たしてBABYとは何なのか…?! メカメカしい近未来ものや美少女アクションが好きなら絶対ハマります! とりあえず女の子がカワイイしカッコいい!(正義!!) 全5巻のようですがプロローグ的な1巻しか翻訳されていない模様…。 続刊を翻訳してほしい作品! それにしても謎の生命体「BABY」。 弐瓶勉の『人形の国』に出てきそうな造形…。 密告からの出会いと別れ #完結応援赤いベレー帽の女 ジャン=ピエール・ジブラ 大西愛子名無し※ネタバレを含むクチコミです。ザ・ボーイズ #推しを3行で推すザ・ボーイズ ガース・エニス ダリック・ロバートソン 上田香子 椎名ゆかりANAGUMAドラマが大人気のポスト・スーパーヒーローコミック『ザ・ボーイズ』、この度めでたく電子書籍で最後まで邦訳が読めるようになりました! 流石のAmazonプライムでもお見せできないようなシーンも堪能できちゃうのが原作のキレているところ。 数あるアメコミの中でも特に映像化のアレンジが凝っているシリーズだと思うので、ぜひともドラマ版と比べてみてほしいです!戦争中の国のリアリティ軍バリ! 韓国兵役実戦部隊 イ・ヒョンソク イ・ユジョンhysysk韓国人の友人に話の流れで徴兵制について聞いてみたことがある。 「ああ、韓国人男性が飲み会で絶対盛り上がる話で、韓国人女性が一番聞きたくない話ですね」 宿舎の寝室が寒く、新人は特に寒い入口付近で寝て階級が上がると奥の方で寝られるとか、軍楽隊の楽器で殴られたとか、やはり武勇伝的というか体育会系的な話で、確かに盛り上がる人とうんざりする人に分かれそう。 この漫画はフィクションだけど、北朝鮮の潜水艦が座礁して、特殊工作員が韓国に上陸したというのは実際にあったことだ(漫画よりも凄惨)。日本の戦争漫画は自分が生まれる前に起きたことなので、完全に切り離して読めてしまうけど、アニメを観てゲームで遊んでいる自分と同じようなタイプの人が、一転して生きるか死ぬかの瀬戸際に追い込まれる様子には背筋が凍る。 原作者は日本への留学経験もあり、宮台真司のゼミに所属していたそうだ。宮台が徴兵制の是非について言及するようになったのも彼との出会いがきっかけらしい。電子版には対談が掲載されていないので、読みたい人は紙(1巻しか出てない)を手に入れよう。 電子書籍版で買うか迷うわかめとなみとむげんのものがたり リトルサンダー名無し電子版の購入を検討している人向けのクチコミ。 電子版を試し読みした時に、画面がモアレだらけに感じたのだが、紙版の書籍を読んだところ、紙でも同じ柄で表現されていた。 つまりトーンがそのまま再現されていただけで勘違いしていたのだが、電子版だけで判断すると勘違いする可能性があるな、と思った。他サイトのレビューでは、「文字が潰れている」との指摘(ちなみに☆1つ)を見かけたが、自分の環境/ebookjapanビューアではそのような現象は確認できなかったことを付け加えておく。 電子版の購入を検討している方は、とりあえず購入先のストアで試し読みをして確認すると良いと思う。 ただ、特別の理由がなければ、電子版より紙版を選択した方が良いかもしれない。 紙版については、サイズもデカくて重い(本棚の収納問題もある)のだが、紙でなければ体感できないような仕掛けがこの本にはある。松本から地下鉄へ…MATSUMOTO 原正人 LF・ボレ フィリップ・ニクルー名無し※ネタバレを含むクチコミです。身分の異なる2人の友情、決別、そして未来の物語 #1巻応援Lost Children 隅山巴文sogor25舞台となるのは厳格な身分制度が残るシャルダオ連邦王国。 その身分制度の最下層ガティヤに属する少年ランは、乾物屋の店主に難癖をつけられているところを通りがかりの女性カヤに助けられ、そこで彼女の息子・ユリと出会います。 富裕層の子供でありながら学校でいじめられているユリは最下層に見ながら一生懸命に生きるランと意気投合し親交を深めていきます。 そんな身分の違う2人の友情を描いた作品です。 と、ここまで紹介したあらすじなんですが、実はこちらは本編第3話からの内容になっています。 というのも第1~2話はこの2人の出会いから6年後を描いており、ランは革命軍の一員として政府と戦っており、一方のユリは山岳地帯の村というランとは離れた場所でひっそりと暮らしています。 なぜこの2人が袂を分かつことになったのか、そして今後2人の運命がどのような道を進んでいくことになるのか、過去から現在そして未来へ向かう繋がりから目が離せない作品です。 この作品は日本国内の作家さんが書かれているのですが、最初は単行本として書き下ろされフランスで発売されており、現在は秋田書店の別冊少年チャンピオンで連載中のようです。 そういう経緯もあって、今後も応援していきたい作品です。 2巻まで読了 2人の「台湾茶の父」による台湾烏龍茶の誕生物語!異人茶跡 張季雅たか※ネタバレを含むクチコミです。フランスから凄いレジスタンス漫画がやって来たLost Children 隅山巴文チャンピオンスキー物語は、厳格な身分制度で圧政を敷く<シャルダオ連邦王国>に対し、反旗を翻すレジスタンス達の戦いから始まる。 革命軍 vs 政府軍という現代にも通じるテーマなのだが、レジスタンスの組織を中心に、戦いのカッコ良さが光る作品。 セリフ、アクション、見開き、どこを取ってもカッコイイ。 まだ組織の一戦闘員に過ぎない主人公に、この先どんな運命が待ち受けているのか…気になって仕方ない。 この作品は2018年にフランスで単行本用に描き下ろされたものらしく、日本語版に改編して別冊少年チャンピオンに掲載されているとのこと。作者の隅山巴文さんは日本の方の名前と思われるし、事情はわからないが先にフランスで出版をされた、ということなのだろうか。 そういえば、抵抗を意味する「レジスタンス」はフランス発祥だったか。 これはぜひ日本語版の単行本を期待したいところだ。 <<123>>
・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ ニカラグアというよく知られていない国での革命、同性愛、ガブリエルの 成長といった様々なテーマを高レベルでまとめられていると思った。 ・特に好きなところは? ガブリエルの成長と彼の心情に合わせて色彩が変わっていくところ。 エマニュエル・ルパージュは絵の上手さだけでなく色彩の使い方にも 長けているなと感心した。 ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! ストーリーもそれほど難しくないのでバンドデシネ入門として 読む価値は充分にある。同作者の「チェルノブイリの春」もおススメ。