完結したマンガの感想・レビュー16108件<<224225226227228>>少年達は時を超え野を駆ける夢の碑 風恋記 木原敏江あうしぃ@カワイイマンガ幼い頃に出会った二人の少年のあまりに強い友情譚と、二人に宿る不思議な力を巡るサイキックSF、それらが絡み合い高まり合い、鎌倉時代を大きくうねる壮大な絵巻物。久々に、読まない間もつい思い出してしまう、という経験をした。 生母を失い継母に虐められる、秋葉介の長男・融明(とおるあき)と、融明の遠縁で父が失踪した露近(つゆちか)。二人は気質は違うが意気投合する。苦しみから逃れるようにして、兄弟のように仲良く過ごす二人の様子が夢の様に美しい。 どこまでも遠くへ駆けて行きたい……しかし二人は引き裂かれ、露近は京で後鳥羽院に飼われ、融明は鎌倉で将軍実朝の側に仕える。 二人を繋ぐ不思議な力は、時に互いを救い、互いの存在を感じさせる。天紋・地紋、鬼としての妖力、融明の力強さと露近の妖艶さ。その魅力で沢山の人を惹きつけ、関係を持ちながら彼らはいつも、共に野を駆けた時代を懐かしみ、遠い目をしている。そんな二人の切なさに感情移入してしまう。 二人に与えられた天命、あまりに強大な力を彼らはどうするのか……そこにはただ見送ってやるしかない、という無力感もありつつ、籠の鳥の自由を喜ぶ感覚もあって、見開き絵の美しさと共に強い感慨を私の胸に残した。「孤高の人」読んでみた孤高の人 坂本眞一 鍋田吉郎 高野洋 新田次郎かしこ登山マンガです。最初の高校生編の面白さは後に比べるとそれほどでもないのですが、常に孤独であろうとする主人公に対して「山は一人では登れない!」と教えようとしてくれた懐が深くて優しい先生が、雪山で遭難した主人公の捜索中に亡くなるんですね…。主要人物の死によって読者としても山の危険性に身が凍ってよりリアルに感情移入していき、そこからは登る山のレベルが上がるほど没入感がハンパなくなっていきます。 荒れ狂う雪山の描写はもちろんですが、仲間を看取るシーンでの死に際の表情なんかはマジで鬼気迫ってて脳にこびり付いてます。こういった命の駆け引きのようなところが、後のイノサンのテーマにも繋がっていったのでしょうか。 孤独だった主人公が結婚して子供が産まれてようやく幸せを掴んだのに、それでもK2を登ることになった時は妻目線になって「終わった…」と思いましたが、タイトルの『孤高の人』の意味そのままのベストなラストでした。 登れたのか生きて帰れたのか…それは最後まで読んで自分で確認したほうがいいと思う。このマンガ好きな人あつまれ孤高の人 坂本眞一 鍋田吉郎 高野洋 新田次郎まっくす周りにいないからずっと誰かと話してみたい作品なんだよねえギャグとミステリー、2段階楽しめるコミュ障お嬢様と漫画家マンション 蒼木雅彦野愛学園の生徒会長を務める才色兼備のお嬢様なのに、コミュ障で漫画オタクの神楽坂桜。 そんな彼女が一人暮らしをするマンションは、漫画家ばかりが住む夢のような空間だったのです。 震えすぎて発光して見えたり、声が小さすぎて脳に直接語りかけたり、謎の奇声を発したり……桜のコミュ障レベルが凄すぎます。 些細な情報から住人たちの正体を特定していくのもオタクならではです。コミュ障もオタクも本物すぎて面白いです。 という感じでギャグ漫画として楽しめるのが前半戦。 後半戦はマンションに隠された秘密を暴いていくミステリー漫画に変化していきます。 ギャグ要素とテンポの良さはそのままに新たな面白さが加わるので、一度で二度美味しい作品です。 ギャグ漫画が好きな人にもミステリー漫画が好きな人にもぜひ読んでほしい作品です。 いたって普通の作品ルックバック 藤本タツキ名無しファイアパンチ、チェンソーマンより先にこの作品が出ていたら、話題になったのか正直疑問です。別世界線登場から始まっていいほど起伏がなかったのですが、あっさり終わって呆気なく、思いの外良くも悪くも普通の読み切りでした。 噂される現実事件との関連はなんとも言えない思いになりました。ですから単行本での切り離し修正は肯定的に受け止めたいです。 絵のコマ割りが凄いやらの声は理解に苦しみ、画力が高いとは言えませんが、連載作品よりも安定してたのは良かったと思います。 姫と奴隷の信頼と恋は…女王の花 和泉かねよしあうしぃ@カワイイマンガ舞台は架空の中国の王朝。王子が産まれたため冷遇される王家の姫と、異人で疎まれる奴隷の少年は8歳の時に出会い、主従として、そして無二の友として絆を深める。私はこの物語を何度読んでも、随所で泣きそうになる。 泣きそうになるのはほぼ同じポイントだ。それは「二人で何処かへ行きたい」と願う時。 第二王妃に国を追い出される姫は、彼女に復讐を誓うが金も味方も無く、絶望的に孤立無縁。尊厳を常に奪われる彼女を支えるのは、ともに苦労を重ね、同じ師の元で研鑽を積む奴隷の少年。互いへの信頼は否応なく恋へと変わってゆく……あらゆる点で強まる二人の絆を、美しいと感じる。 しかし事は単純ではない。情勢に翻弄される姫はやがて、祖国の王となる道を選ぶが、王となるには相手と離れる必要に迫られる。互いのため、離れる覚悟をする二人。しかし別れ難く苦悩を深め、行動に迷う。 そして苦悩極まった時、二人は全てを捨て、放浪する夢を見る。 「千年の花」という呪文……千年に一度咲き、あらゆる願いを叶える花を思いながら、二人はただ、二人で生きることだけを夢想するのだ。 敵対する恐ろしい第二王妃の「成長譚」も対置させた物語はそれも含めて、人の不自由さや、人の幸せとは何なのかを切なく考えさせる。権力欲の巣窟で育む愛とは薔薇王の葬列 菅野文あうしぃ@カワイイマンガイングランド王国の覇権を争う薔薇戦争。両性具有で産まれたヨーク家の三男・リチャードが王位を目指す物語だがそこには、執着から起こる裏切りに次ぐ裏切りがこれでもかと詰め込まれ、恐ろしい。 男も女も欲に狂ってゆく。権力に連なる欲の形は様々だが、狂ってゆく表情は歪み、神や悪魔といった文言と相まって恐怖を増す。 リチャードは母に蔑まれ、自分の体を愛せず、誰も寄せ付けない。ついに女性を信じられなかった彼は、男性と様々に親愛の情を交わす。 その交わす情も、父への過剰な親愛、年上の友と穏やかに育む性無き愛、そして身を焦がす様な体も心も許す愛と様々だが、それはほんの僅かな夢の時。 彼の結末は、史実通りならあまりにも悲劇的で切ない。産まれて来ただけで悪魔と罵られた彼の幸福は、果たしてどこにあったのだろうか……。 久しぶりに読んだがやっぱりいいな影狩り さいとう・たかをstarstarstarstarstarマンガトリツカレ男"影"がいろんな手段で藩の取りつぶしを企てて、それを"影狩り"で十兵衛、日光、月光の三人で防ぐというのが基本の流れだが、毎回違う感じで話が進むので飽きない。冷凍人間の回やレオナルド・ダ・ビンチのメモを解読して空をコウモリのように飛んで戦う忍者などバラエティに富んでいる。 長期連載でかついろんな雑誌で掲載されているようで単行本で続けて読むと話の順番が前後していたりや日光の顔や性格が変わったりするが昔の時代劇の「三匹が斬る!」とか好きな人には是非おすすめたい。 ちなみに一番好きな回は"影"が巨大な猿で登場し猿を操る回。内容も面白いが説明にある「最後の忍者」藤田西湖が一声かければ町中の犬を集められる話がすごい好き。 ぺるぺるぺるダンナの童貞もらいます 神山とくナナシタイトルだけ見ると、どうかなと思っていたが 2人の葛藤がユーモアに描かれていて面白かった 元カレが出てきたり、これから話がどんどん広がっていくのかなと思うと楽しみ! ほんでポメちゃんがかわいすぎる裏稼業だが、応援したくなる!!外道の歌 渡邊ダイスケstarstarstarstarstar干し芋今まで、この手の作品(出血、暴力シーンが多い)は好みに合わずに読んでいませんでした。 が、『園田の歌』を読んでハマってしまった。 復讐にも道理が通っているし、痛快!! 園田くんとか朝食会とかスピンオフ作品もあり、キャラクターそれぞれの性格がどうやって築かれたのかそちらも興味をそそる。 消えたいと思うほど心が苦しくなったら自分はどうするかな透明人間灰田 久谷碧Pom #1巻応援 何何、この物語は続きが気になって仕方がない。 面白いし興味深い作品だ。 消えたいと思う少女と、彼女の身体に入り込んだ灰田、二人の物語。少女は透明人間になってしまった。 色々な事情がありそうだし、絡んでいそう。 白蛾先生は、何で透明人間になったゆずが見えるのか。 1巻でも伏線がたくさん散りばめられているので、2巻以降が楽しみな作品。“元”無敵のラグビーチームが弱体化から再び王者を目指す!インビンシブル 瀬下猛名無しハーンの瀬下猛先生の新連載。第1話は主人公で小倉ホワイツの大ファンだという原田スコット春介が、後半残り8分37点ビハインドという場面で途中出場したところで終わり。 高校時代に自分の持ち物を全部小倉ホワイツのチームカラーの白に塗りつぶしたり、選手交代時にジャンプしてコートに入ったり…原田は相当な変わりもんの予感がする。 初戦がどんな結果に終わるのか期待。 【公式ページ】 https://morning.kodansha.co.jp/c/invincible.html昭和っぽい話が好きな人におすすめJIRO 掌の調べ~すきやばし次郎物語~ 杉田明マンガトリツカレ男すきやばし次郎の主人でる小野二郎の自伝漫画。 色々マンガを読んできたが実在の料理人をベースにしているのはこれ以外だと周富徳と神田川俊郎ぐらいしか思いつかないな。道場六三郎もあったような気がするが手元にないので不明 内容は修業時代から始まり美味しい寿司を追求する姿勢を一貫して描いている。現代にはあっていないと思うがこの人の仕事に対する姿勢は凄いね 淡々と生きていくことって難しい。よろこびのうた ウチヤマユージstarstarstarstarstar干し芋人生の最後をどうやって迎えるか。 人間誰しも、死んでしまうのだから、その最後くらい自分で決められるものなら決めたい。 が、なかなかそうはいかないのが、現実である。 限界集落で起きた老夫婦の心中。 生まれた土地で、育ち、死んだら灰になって土に還る。 ふたりが亡くなるまでの、準備段階のなんと楽しそうなことか。 最後まで笑顔で、亡くなった、二人の秘密はずっと守られていく。大和和紀先生に自伝を漫画化してもらえるってすごい紅匂ふ 大和和紀 岩崎峰子starstarstarstarstar_borderかしこ原作が伝説の芸妓と呼ばれた方の手記なんですが、その方が勝新太郎と交際されていたことがあるらしく(作中に名前は出てこないのですがWikipediaを読んでたら知ってしまった。有名なのかも…?)、読み始めたきっかけは「大和和紀先生の美しい絵で舞妓さんの話が読めるなんて最高じゃん!」だったのですが「なかなか別れてくれない奥さんって…そういうこと?!」など、違うところで夢中になってしまう場面もありました(笑)。 とはいえ舞妓さんや芸妓さんの日常からお座敷でのプロフェッショナルな仕事ぶり、そして彼女たちを支えている裏方の人々のエピソードまで盛りだくさんで、一般人には敷居の高い祇園の世界を知ることが出来て勉強になりました。フラれた男のささやかな成長物語創太郎の出張ぼっちめし マキヒロチ野愛いつかティファニーで朝食をで麻里ちゃんにフラれた男・創太郎が出張先でご当地グルメを食べるお話。 グルメや景色ももちろんなんですが、創太郎の成長を見守るのが楽しいです。 デリカシーない、だらしない、失敗したら嫌だから出張先でもチェーン店で食事する……そんな創太郎が麻里ちゃんにフラれ、後輩にケツを叩かれ、仕事でも食事でもプライベートでも意欲的になっていくのが微笑ましいです。 麻里ちゃんにフラれたのも麻里ちゃんが好きになったのもわかる。見ていてイラっとするとこもあるけどかわいいとこもあるんですよね。 いつかティファニーで朝食を読んでなくても、旅グルメ漫画として十分楽しめると思います! カレー×小学生のスパイス多種多様 #1巻応援すぱいしーでいず! 蒼山サグ きんつばあうしぃ@カワイイマンガ舞台は伊豆大島。引っ越してきた小学五年生女子を待っていたのは、カレー屋を始めたい同級生たち……という事ですが、とにかく要素が多い! スパイスカレーのレシピ、伊豆大島、お嬢様、温泉、制服、宝探し、アニメ……こうして並べると一見ガチャガチャ。それぞれ体験しながら仲を深める構図ですが、みんなそれぞれ、少しずつ苦手や引っ込み思案があって、互いに補い合いながらいつの間にか打ち解けているのが良い。 愛らしいキャラクター達がドタバタと、未知の場所を探検し、新しい事に挑戦する……何とも楽しそうです。 これなら、覚えきれないほど沢山の要素も、今後の楽しみにしかならない!どのように掛け合わせるかで新たな味と深みを得る、スパイスのような作品になる予感。末長く応援したいです。優しい気持ちになれます。新ぽっかぽか 深見じゅんstarstarstarstarstar干し芋素直になることは、簡単なのに難しい。 素直になることは、恥ずかしい事じゃない。 素直になることは、きちんと人と向き合うこと。 素直になることは、大好きな人に大好きって言えること。 素直になることは、本当に大切。 読んでいて、心が洗われました。 日々の生活で、ギスギスした気持ちは、考え方ひとつで変えることができる。それを、気づかせてくれた本です。このイカれた漫画をみんなで語ろうぜ築地最強寿司伝説 仁義理の海太郎 川端浩典名無し団扇の代わりに特攻隊の旗を使うの元寿司職人の発想とは思えない… 言葉の重み、伝えることの大切さ心が叫びたがってるんだ。 超平和バスターズ 阿久井真Pom あることがきっかけで声が出せなくなった成瀬さん。 と、その仲間たちの話。 成瀬さんがミュージカルなら声を出せるとのことで、力になる坂上くんたち。 成瀬さんの声が出なくなった原因も、辛い。。 殻に閉じこもってしまうよって思う。 だから尚更、最後のミュージカルのシーンはとても心に響いた。良かった。 言葉って大事だ。優しくて懐かしい家族のお話コトブキ荘の食卓 魚乃目三太野愛訳ありの人たちが暮らす昔ながらのシェアハウス・コトブキ荘。 現代のお話なのにどこか懐かしく、優しい気持ちになる作品です。 お肉屋さんのコロッケにキャベツだけの炒めもの、卵を落としたみそ汁。第一話に登場するご飯に心を掴まれました。 手が込んでるわけではないけど、お家ご飯らしいあたたかさに溢れた献立。なぎささんが思わず泣いちゃう気持ちがわかります。 年齢も性別も境遇も違うけれど、コトブキ荘のみんなは家族なんですね。 干渉し合わないのが美徳とされる世の中になってきましたが、人と人との繋がりが強い関係性も素敵だなあと思いました。天涯孤独の子猫、新選組の斉藤一を父親と勘違いする #1巻応援壬生の狼、猫を飼う~新選組と京ことば猫~ 篠原知宏sogor25舞台は幕末の京都、両親を亡くし天涯孤独になった子猫・ぼうやが彷徨っていると、父親と同じ目をした人間を見つけ、両親の死を理解できていなかったぼうやは父親だと思いこんでしまいます。 しかしその相手とは京都の民に恐れられる組織「新選組」の三番隊隊長・斉藤一だったのです。 このような出会いから、新選組の屯所に棲み着き始めたぼうやと、斉藤一や新選組の面々を描いてゆく作品です ぼうやと斉藤、それぞれの視点で物語が語られるのですが、互いに言葉が通じているわけではありません。そのため、ぼうやは斉藤のことを父親だと思い込み、一方の斉藤もそんなぼうやの世話をすることにまんざらでもない様子。 そんな穏やかな日常を描いていく作品かと思いきや、物語のところどころに「新選組」の史実に沿った残酷な一面も垣間見えます。 ほのぼのとした猫マンガの要素と新選組の中に渦巻く人間ドラマ、その両方がうまく融合した作品です。 1巻まで読了 悪党(ゴミ)収集員が街の悪しき汚れを消し去る!悪党収集員-西園寺の流儀- 佐藤啓名無しこれ最高に面白いんで連載しないと駄目なやつ! 絵もめちゃくちゃうまいし何者なんだと思ったら最近モーニングで読み切り描いてた人かー!!!! 生活ゴミのゴミ汁(ゴミ汁って何だ?)がかかってもニッコリなのに悪党のゴミ汁がかかるとブチ切れるのがいい。ボクは影だ黒子のバスケ モノクロ版 藤巻忠俊starstarstarstarstarNano帝光中学校バスケットボール部。 全中三連覇を誇る超強豪校。 その輝かしき歴史の中で特に最強と呼ばれ無敗を誇った、10年に一人の天才が5人同時にいた世代は「キセキの世代」と呼ばれている。 が、「キセキの世代」には奇妙な噂があった。 誰も知らない試合記録もないにも拘らず、天才5人が一目置いていた選手がもう一人、幻の6人目がいたと。 黒バスアニメ10周年おめでと~~~! あれから10年経ってるのびびりますね。 はじめてまともに触れたスポーツ漫画かもしれん。 初めての人でも読みやすくて熱い漫画だと思います。 キャラクターも一人一人個性があってかっこいいんですよね。 あと名言も多い。 悩むけど「みんなの夢の邪魔をするな」が一番好きかも…。 どの試合もめちゃくちゃに熱くてすんごく面白くて、今からでも遅くないのでぜひ読んでくれ~~~<<224225226227228>>
幼い頃に出会った二人の少年のあまりに強い友情譚と、二人に宿る不思議な力を巡るサイキックSF、それらが絡み合い高まり合い、鎌倉時代を大きくうねる壮大な絵巻物。久々に、読まない間もつい思い出してしまう、という経験をした。 生母を失い継母に虐められる、秋葉介の長男・融明(とおるあき)と、融明の遠縁で父が失踪した露近(つゆちか)。二人は気質は違うが意気投合する。苦しみから逃れるようにして、兄弟のように仲良く過ごす二人の様子が夢の様に美しい。 どこまでも遠くへ駆けて行きたい……しかし二人は引き裂かれ、露近は京で後鳥羽院に飼われ、融明は鎌倉で将軍実朝の側に仕える。 二人を繋ぐ不思議な力は、時に互いを救い、互いの存在を感じさせる。天紋・地紋、鬼としての妖力、融明の力強さと露近の妖艶さ。その魅力で沢山の人を惹きつけ、関係を持ちながら彼らはいつも、共に野を駆けた時代を懐かしみ、遠い目をしている。そんな二人の切なさに感情移入してしまう。 二人に与えられた天命、あまりに強大な力を彼らはどうするのか……そこにはただ見送ってやるしかない、という無力感もありつつ、籠の鳥の自由を喜ぶ感覚もあって、見開き絵の美しさと共に強い感慨を私の胸に残した。