私の息子が異世界転生したっぽい フルver.

ありそうでなかった「異世界転生」の新しい切り口

私の息子が異世界転生したっぽい フルver. シバタヒカリ かねもと
六文銭
六文銭

ストレートに言って凄く好きです。 『私の神様』のコメントでも記載したのですが、私かねてから異世界転生モノは「別れの話」だと思っていたんです。 ※以下引用です https://manba.co.jp/topics/21259 === ループものは、繰り返しの終わりを 異世界からきたものは、自分の世界にどうやって戻るかを こんな感じで、最後に必ず別れを描く必要がある。 === そしたら、まさかここまでストレートな作品がでてくるとは! タイトルとあらすじから、うわーーーーっと震えながら読みました。 さてその内容ですが、 息子が交通事故にあい、息子が好きだったラノベを読み耽るうちに転生したのでは?と考えるようになって、かつての同級生でオタクな主人公・堂原の元にやってきた母・美央。 堂原はラノベに詳しいこともあり、二人で、転生する方法ないしは息子を転生先から連れ戻す方法を探す、という流れ。 正直、もうこの時点でちょっと悲しい。 交通事故で異世界に転生とかそんなわけないだろ と そう思いたくなる気持ちもわからんでもない と、その狭間で揺れます。 突然すぎる理不尽な死は、簡単には受け入れられないですよね。 子供の死ならなおのこと。 そして、久しぶりの再会で、転生方法を探しながら会話を重ねていくうちに少しづつ明らかになる美央の内情。 高校時代の美央は、オタクな主人公とは真逆で、陽キャというかギャルというか、クラスの中心的な存在にみえていた。 が、実際は家庭環境には恵まれていなくて、両親は息子の葬式にも出なかったという。 高校卒業と同時くらいに息子を産み、そこからの人生のほうが楽しかったとつぶやいた姿は、良き母であり、息子がいかに大事だったかを物語っています。 両親に恵まれなかったゆえに、自分の家庭、特に子供には愛情を注いだことがよくわかります。 こういうのがサラっと随所に出てくるので、いっそう胸が締め付けられるんですね。 主人公も、転生なんてあるわけないと一線引きながらも、憐憫・同情からなのか、しっかり付き合うのはいいヤツそのものです。 (主人公以外の、美央の周囲の人間は相手にもしなかったのに。まぁ、普通はそうなんでしょうけど) できることなら納得のいく形で悲しみを処理できて、次にすすむ力になって欲しいと強く思います。 徐々に、美央の旦那や周囲の人間動きだして、二人の関係になんらかの変化が起きそうです。特に2巻の最後が、気になる終わり方をしているので続きが気になって仕方ないです! 異世界転生ものは冒頭でよく死にますが、本作は「残された側」の話。 転生先でチートで無双したりして、元の世界の冴えない自分の溜飲を下げる形で救いになってましたが、こういう、ある種「人の死を受け入れる」形でも救いになるんだなと表現の幅に感服しました。 こんな異世界ものもいかがでしょうか?

〆切前には百合が捗る

作家と家政婦のパートナーシップは? #1巻応援

〆切前には百合が捗る 鈴木マナツ 平坂読 U35 さきだ咲紀
あうしぃ@カワイイマンガ
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田舎を飛び出した女子高生が、従姉妹の紹介で女性ラノベ作家の住み込み家政婦として働くお話。1巻は二人の会話が楽しいコメディの中に、同性愛の切ない感情が織り込まれて、やり取りに引き込まれました。 厳しい家で育てられた女子高生と、お金持ちな作家の思考のギャップや、純粋な女子高生をからかう作家のやりとりが面白い。 時折、女子高生が作家に寄せる恋心が見えるのですが、それが「同性愛である」事で色々鬱屈してしまっているのが、さらに切ないのです。 田舎で受けた心無い差別。居場所を求めて逃げてきたはずなのに、受け入れられるために同性愛を隠したい気持ち。それでも止められない恋心。彼女が東京で幸せになるのを、願いたくなります。 一方作家はというと、他人にも自分にも期待していない節がある。冷めた心で生きる作家にとって、女子高生がどんな存在になれるのか……二人のパートナーシップに、熱い可能性の予感です。 現実世界を描きながら、登場人物は女性ばかりの物語。男はいらない!という百合好きにも(1巻時点では)おすすめします。

ニチアサ以外はやってます!

特撮JK拘り強すぎ! #1巻応援

ニチアサ以外はやってます! 猫にゃん
あうしぃ@カワイイマンガ
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----- ★特撮好きさんへ ----- 登場人物名をご覧下さい。 ●海城あかね ●本郷苺 ●早田唯 ●芹沢博見(部長) さあ、この作品の特撮愛、伝わりましたよね?読んでみて下さい! ----- ★その他の方 ----- ここからは普通にクチコミ書きますね。 特撮作品研究部の女子高生四人が、特撮作品を作ろうと奮闘する物語。そこには様々な特撮愛があるのですが、面白いのは特撮好き同士が、必ずしも仲良しこよし、ではないところ。 造形の先輩と音響の後輩は解釈違いでいがみ合いながら、愛がある事で繋がれるケンカ百合。顧問の教師は特撮を愛するのに何故か敵対する。そこにあるのは、強すぎる拘り。 しかし初心者が受け入れられるのは良い感じ。身体能力が高い初心者は、カッコいい事をやりたいという強い思いがある。それを掬い上げる仲間達は、互いに熱を伝え合う。 制作に邁進する四人。特撮の制作や特撮愛について、熱いものが読める。絵柄のガチャガチャ感が楽しさとカッコよさを増し、そしてキックが美しい!情動がガバガバになっていく様子も熱さを増す。特撮ファンは絶対楽しいし、百合ファンとしてはちょっと変わった関係性構築が楽しめる作品です。