闇金ウシジマくん外伝 らーめん滑皮さん

ウシジマくん好きならぜひ!

闇金ウシジマくん外伝 らーめん滑皮さん 真鍋昌平 山崎童々
六文銭
六文銭

ウシジマくんのラスボス的存在のヤクザ滑皮を主人公としたスピンオフ作品。 「らーめん滑皮さん」というくらいだからグルメ漫画かな?と思ったのですが、微妙にちがう。 本編読んだことある人ならご存知かと思いますが、滑皮さんは食べ方が汚いので、とても食レポする感じじゃない。 そして、案の定、しない。 相変わらずズバズバと汚く食べて、味に対しても、まずいとか、食える、くらいしか言わない。 その点は、探偵の戌亥(いぬい)も出てきて、こっちがしっかり食レポしている。 これが、微妙にウケました。 らーめん滑皮さんというか、戌亥だなと。 本編には出て来ない、滑皮さんの意外な一面(部下との関係含)が見れたのがよかったのと、本編に出てきた登場人物の、その後が読めたのが個人的に良かったです。 風俗で稼いだ3000万を盗まれた瑞樹 オサレエンペラーことG10 そして、滑皮に保険金目当てで当たり屋をさせられた愛沢。 皆、最後悲惨な感じで幕引きし、しかもしっかり描くことなく余韻だけ残して終わるものが多かったので、その後どうなったのか?というか、死んだのかな?と思っていただけに、この登場は純粋に嬉しかったです。(パラレルワールド的な解釈かもですが・・・。) 特に、愛沢が再起して、ラーメン屋(しかもそこそこ繁盛している)やっているのが意外で、本作のキーパーソン的な立ち位置まで出世しているのも面白い。 なんにせよ、ウシジマくんに出てきたクセの強いキャラたちが、再登場したり意外な一面を見せたりするので、原作ファンの人は読んで損はないと思いました。

野望の群れ

金!暴力!SEX!そして復讐のピカレスク・ロマン!

野望の群れ 司敬
完兀
完兀

昔どこかで「金!暴力!SEX!な漫画を教えてくれ」みたいなスレッドがあったと思う。この漫画は数少ない正答の一つだろう。 漫画紹介はこの口コミのタイトルだけで一応足りてしまうのだが、以下に補足と私見を書き連ねる。 漫画タイトルを見てピンと来た人もいるだろう。明らかに「野望の王国」の影響を受けて描かれた、というかそれが元となって生まれた作品である。特に第一話の導入なんか隠す気がなくてニヤリと来る。 しかし大胆にして最高のアレンジがある。「野望の王国」は主人公・橘と無二の友にして相棒の片岡が協力し、明確な目的が明かされぬまま裏社会でのし上がる物語だが、「野望の群れ」は言うなれば橘と片岡が敵同士になり、復讐するという明確な目的を果たすためにのし上がる物語になっている。作品全体を貫く物語の背骨はこちらの方が骨太だ。 闘争の空間もこちらの方がやや大きい。復讐相手が大企業の御曹司なので、闘争の空間には社会の表裏の両面が使われる。場所も東京を起点に北海道から九州、果ては海外(香港)まで広がる。素寒貧の一匹狼だった主人公が、度胸と頭脳と復讐心で裏社会を駆け上がっていくのは素直にかっこいい。 裏社会を駆け上がっていくのに重要な役割を果たしたのが「金」「暴力」そして「SEX」なのだ。この漫画、ライバルと取り合うメインヒロインの他にも登場人物に女性が複数登場する。そして大体主人公とSEXする。謀略のために利用してやるだけのSEXだ。主人公以外にもSEXシーンがある。その大体が、付け入られる隙として主人公に利用されるSEXだ。無駄なSEXはそう多くはない。 細かいところをつついていけば、闘争の各元ネタなどここに書き連ねたいことはまだある。でもあまり長々と紹介していてもしょうがない。それを読む時間があるなら、作品そのものを実際に読んで欲しいのがファンの心だ。本作はありがたいことに、マンガ図書館Zなどの漫画配信サイトで全編無料公開されている。そう、タイトルでググればすぐ読めてしまうのだ。というわけで皆、今すぐにググって本作を読もう。それか「野望の王国」の方を読もう。

B壱

大久保篤の原石時代

B壱 大久保篤
ピサ朗
ピサ朗

ソウルイーター以降はヒットを出している大久保篤の初連載、スタイリッシュな能力バトルと言語センスに、幻想的で奇怪な背景等、後の作品でも見られる作家性は既に確立している。 連載時は結構楽しんでいたのだが、幻想的で奇怪な背景は見難さを感じる事も有ったり、言語センスが突き抜けすぎてわかりにくかったり、まだまだ新人ということなのだろうけど、後半、「恐怖工場編」からはとんでもない作品になっている。 極悪非道を優しく歌い上げるような詩的センス、激しくもクールでだらしないアクション、それまでの見難さ、分かり難さは一気にむしろ美しさすら感じる独特の境地に至り、明らかに「開花」した。 もっともこの頃には既に打ち切りが決まっていたのか、間もなく打ち切りを食らったのだが、その後ドラマCDを出したりこの作品も一定の人気は得ているようだ。 作者自身は以後ソウルイーター、炎炎ノ消防隊とヒットするが、この作品の頃程のごちゃごちゃ感は鳴りを潜めていて、研磨され輝きを増しているのは間違いないのだが、この作品の帯びている原石故の輝きは無くとも、巨大な岩のような存在感は失われているようで、同じ作者でありながら作風的にはむしろ独特な作品になっている。 間違いなく大久保節は存在しつつも、ソウルイーター以後に比べるとお勧めしにくい部分も有るが、ファンなら読んで欲しい作品。