坂本太郎 名作劇場

令和5年「坂本太郎さんの単行本」が発売! #1巻応援

坂本太郎 名作劇場 坂本博義
兎来栄寿
兎来栄寿

坂本太郎さんのマンガに出会った日のことは今でも鮮明に覚えています。 『ドラゴンクエスト』が大好きで大好きで仕方がなかった小学生時代。毎巻楽しみにしていた『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』の最新11巻を馴染みの書店でウキウキしながら買ってきて早速読み始めると、ひとつ異質な作品が載っていました。 「ピエール」というシンプルなタイトルと共に描かれていたのは、鋭い眼光で黒光りする「グレートスライムZ」。当時はパロディ元のマジンガーZのことも知らなかったにも関わらず30分くらい笑い続け、「抱腹絶倒」という言葉を身を持って体験をしました。従来の作家さんは「ふんどし!」などはありながらも、基本的に『ドラクエ』の世界観を忠実に守った作品を描いていました。しかし、それを清々しい程にガン無視した坂本太郎さんのマンガは、破壊的インパクトを与えてくれました。 その後も『スターオーシャン』や『ヴァルキリープロファイル』、『モンスターファーム』など私も死ぬほどやり込んだゲームの4コマ作品や、『ギャグ王』や『ヤングガンガン』等で連載していたオリジナル作品でもそのハイセンスぶりを遺憾なく発揮し続けた坂本太郎さん。徐々にかわいくなる女の子キャラに対して、濃すぎるおっさんたちの存在感は常に一定。「スポーティな視線」や「スペース朧ノエル」が解る方はソウルメイトです。 しかし、当時から一部でカルト的な人気を博していたにも関わらず、オリジナル作品の単行本化は一切されてきませんでした。一時期はwebで読めたものもありましたが、それでもファンとしては単行本で欲しいもの。やがてwebで読めた作品も閲覧できなくなり 「ああ、坂本太郎さんは今何をしているんだろう……」 と、ことあるごとに思い返しながら時は2015年。1994年から1999年まで発刊されていた雑誌『ギャグ王』がエイプリルフールで1日だけオンラインに復活するという椿事が起こり、そこに何と坂本太郎さんの新作マンガも掲載されたのです! これには狂喜乱舞でした。女の子の絵柄はまた少し可愛くなりながら、汚いおっさん入り乱れる狂気的作風は健在。坂本太郎さんが元気に生きてらっしゃるだけで、嬉しかったです。 そして更に時は流れ、2020年11月。『週刊少年ジャンプ』で同姓同名の「坂本太郎」を主人公とする『SAKAMOTO DAYS』が始まり、記憶を刺激されずにはいられませんでした。 「ああ、坂本太郎さんは今何をしているんだろう……」 と思いを馳せること幾星霜。すると、その1ヶ月後に奇跡が。 https://twitter.com/hiromoka_09/status/1341274354324127745?s=46&t=qkYMagUe7ZxV5G5YoVLrLA !?!?!?!?!? さ、坂本太郎さん御本人が…………!? Twitterを!! それから、日々コンスタントに過去作品やリメイクなどを発表してくださり、飢えに飢えていた坂本太郎さんのマンガからしか得られない栄養素を数十年分補給させてもらっています。 そして、権利関係などの整理が行われた結果、遂に遂に遂に世界が待ち望んだ坂本太郎さんの単行本が今日、令和5年1月27日に発売となりました!(スタンディングオベーション) 今夜は祝杯を傾けながら、細かすぎるドラクエネタから当時の時事ネタまでエロスとカオスの入り混じった世界を堪能しようと思います。今読んでもまだ時代の方が追い付けていない、この世界観が大好きです。 そして、嬉しいことに『坂本太郎 名作劇場 1』というタイトルなので、未収録作品を収めた続刊も心から楽しみに待ちたいと思います。 (なお、現在は坂本太郎改め「坂本博義」または「坂本ヒロヨシ」名義となっています。恐らく坂本太郎名義の方が通りが良いと思い、文中では坂本太郎名義での表記とさせていただきました)

ばらとたんぽぽ

「兜合わせ」がトレンド入りした日に読みたい #1巻応援

ばらとたんぽぽ 遠浅よるべ
兎来栄寿
兎来栄寿

最強寒波などの影響で各地「運転見合わせ」が起こったにより「見合わせ」がTwitterのトレンドワードになると、それを「貝合わせ」に空目した人によって「貝合わせ」までトレンド入りし、その流れで「兜合わせ」までトレンド入りするという日本のTwitterらしすぎる展開が起こった本日。 日本で「兜合わせ」がトレンド入りしている間に、Twitterアカウントの名前がMr.Tweetに固定されてしまっていたイーロン・マスク氏はかつて ″Some people don’t like change, but you need to embrace change if the alternative is disaster.″(変化を好まない人もいるが、その結果不幸になるのであれば変化を受け入れる必要がある) という名言を残しました。 しかし、果たしてそんなMr.Tweetでも着いていけるのでしょうか。クレイジーな日本Twitterのスピードに。 BL大手サイトのちるちるさんも好機とばかりに「兜合わせ」の解説ページの再掲などされていましたが、私も今日のこの機会に最近発売された「兜合わせ」シーンが印象的な名作BLを紹介します。 作者の遠浅よるべさんは2020年に『潮騒のふたり』を出された方。『潮騒のふたり』は個人的に2020年でもトップクラスのBLで、こちらもクチコミを書いているので良かったら参考にしてください。 https://manba.co.jp/topics/26809 『潮騒のふたり』はガッツリシリアスですが、この『ばらとたんぽぽ』はシリアス面もありつつギャグ色も強い、愛すべきエロコメです。連載自体は『潮騒のふたり』より前からwebで行われていて、遂に書籍化され先日上下巻同時発売となりました。 32歳になっても一切家事など自分のことができず感情表現も下手なものの役者としては優れた才能を発揮するトモちゃんと、彼と同棲して身の回りの世話を全部行っている大人気少女漫画家でモデル体型・筋肉質で顔も良く歌も上手く絶対音感があり文才もあり経済力もある超スパダリな時田征士郎。 征士郎は性欲モンスターでセフレも複数いながら、トモちゃんが重度のEDであることなどによりプラトニックな関係を続けており、けれど内心は日頃からトモちゃんを滅茶苦茶に抱きたいと欲望しているという、属性モリモリの二人の関係性が愉快にエロく描かれていきます。 2巻で描かれる、二人のち◯ち◯が擬人化される場面は名シーンとして語り継がれています。そう、兜合わせも擬人化したち◯ち◯同士で行われるのです! 何卒、刮目して見てください。 ただ、そんな突き抜けたバカエロ感の裏には非常に情緒に溢れたシーンもあり。実は上記の兜合わせのシーンにすら莫大なエモさが溢れており、やはり遠浅よるべさんの描かれる男性同士の関係性、想いと重みの宿し方は素晴らしいなぁとしみじみ感じ入ります。ピンクタイガーとチェ・ゲバラと北海道のタトゥーを入れている佐智先輩や、征士郎を「スケベを鋳型に流し込んでできた怪物」と形容するみち子ママなど、脇役たちも個性的で輝いています。 おじさん同士のBLに抵抗がない方には強くお薦めです。

ジョジョの奇妙な冒険 第7部 カラー版

これはジョジョ(もしくはジョーキッド)の『再生の物語』

ジョジョの奇妙な冒険 第7部 カラー版 荒木飛呂彦
酒チャビン
酒チャビン

自分の中ではジョジョは読むのが結構疲れるタイプのマンガですので、友達オススメの6部までを読み切った後、24巻というボリュームに怯んでいた世界でした。 最初、ガチの馬のレースマンガで、おおっ!とすごくハマったのですが、わりに前半の頃にスタンド等を駆使したバトルまんがに変貌していく世界です(ですので、馬のレースのまんがなんじゃないかと思って躊躇っている方はご安心ください、一切違います)。 ジョジョシリーズは読み取りが難しい描写が多いのが疲れる要因なのですが、7部の後半(通しで100巻を超えたあたり)で「無理に全部わかる必要はないんだ!」という境地に達し、そこからかなり楽しめました。 それまでは、エピソードごとに超おもしろい時と、すごく読むのが辛い時の落差が(これまでのシリーズ作品以上に)激しく、当たりはずれある印象でしたが、後半、私が悟ってからは全体的にヴォルティッジも高く楽しく楽しみました。 さいご、超大物 "なつキャラ" のゲスト出演があり、超ビビる世界です。ジョジョファンの方で7部まだ読んでないよって方(もしいたらそれはファンと言えるのか怪しいですが)、もしくは7部途中で諦めた方は、頑張ってみてほしいです。 後半で突如LESSONが再開される「あしたのジョー」オマージュも素敵でした。 心に残ったセリフなど  ーみんなが生ツバゴクリもので欲しがるボーナス  ーハアハア 挨拶ぬきで失礼します…  ー(セリフではないですが)水曜日にアホになるネタ  ー「全て」を敢えて差し出した者が最後には真の「全て」を得る