モンスターアンドゴースト

圧倒的画力と面白い画面構成と物語

モンスターアンドゴースト ヒメミコ
名無し

も〜〜〜大変な作品が登場しましたよ。個人的に今後のBL界を大きく揺さぶる存在になるのではと考えていますこのモンスターアンドゴースト。作者のヒメミコ先生の画力が本当にすごくて!全ページ全コマ隙がなく美しい!何と言ってもメインカプである攻の戸純椿(ことんつばき)君と勇樹兜(ゆうきかぶと)君の顔面がむちゃくちゃ美形!!!!!本当にきれいで格好良い!!!!!それだけでなく、受のカブ君が死んでる状態で始まる異例の事態。幽霊に取り憑かれた不器用なモンスター高校生のお話です。1話では暴れまくってた椿君ですが、陽キャ幽霊のカブ君が側で理解してくれることで少しずつ角がとれて表情も柔らかくなり、周囲に引かれていた距離もちょっとずつ変化が出てきます。2話ではイビツ君という仲間もできて、椿君の暗黒面も飛び出しますがそれでより深く彼のことを知れます。 画面からキラキラが伝わるほど明るく可愛らしいカブ君ですが、死んでるんですよ。2話のラストで思い出さされて。ガーンとなりますが、ヒメミコ先生ご自身がハッピーエンドだと明言して下さっているのでご安心ください。これからもいろんなことが起きると思いますが、最後に笑えることを信じて続きを楽しみに待っています。

ばらとたんぽぽ

「兜合わせ」がトレンド入りした日に読みたい #1巻応援

ばらとたんぽぽ 遠浅よるべ
兎来栄寿
兎来栄寿

最強寒波などの影響で各地「運転見合わせ」が起こったにより「見合わせ」がTwitterのトレンドワードになると、それを「貝合わせ」に空目した人によって「貝合わせ」までトレンド入りし、その流れで「兜合わせ」までトレンド入りするという日本のTwitterらしすぎる展開が起こった本日。 日本で「兜合わせ」がトレンド入りしている間に、Twitterアカウントの名前がMr.Tweetに固定されてしまっていたイーロン・マスク氏はかつて ″Some people don’t like change, but you need to embrace change if the alternative is disaster.″(変化を好まない人もいるが、その結果不幸になるのであれば変化を受け入れる必要がある) という名言を残しました。 しかし、果たしてそんなMr.Tweetでも着いていけるのでしょうか。クレイジーな日本Twitterのスピードに。 BL大手サイトのちるちるさんも好機とばかりに「兜合わせ」の解説ページの再掲などされていましたが、私も今日のこの機会に最近発売された「兜合わせ」シーンが印象的な名作BLを紹介します。 作者の遠浅よるべさんは2020年に『潮騒のふたり』を出された方。『潮騒のふたり』は個人的に2020年でもトップクラスのBLで、こちらもクチコミを書いているので良かったら参考にしてください。 https://manba.co.jp/topics/26809 『潮騒のふたり』はガッツリシリアスですが、この『ばらとたんぽぽ』はシリアス面もありつつギャグ色も強い、愛すべきエロコメです。連載自体は『潮騒のふたり』より前からwebで行われていて、遂に書籍化され先日上下巻同時発売となりました。 32歳になっても一切家事など自分のことができず感情表現も下手なものの役者としては優れた才能を発揮するトモちゃんと、彼と同棲して身の回りの世話を全部行っている大人気少女漫画家でモデル体型・筋肉質で顔も良く歌も上手く絶対音感があり文才もあり経済力もある超スパダリな時田征士郎。 征士郎は性欲モンスターでセフレも複数いながら、トモちゃんが重度のEDであることなどによりプラトニックな関係を続けており、けれど内心は日頃からトモちゃんを滅茶苦茶に抱きたいと欲望しているという、属性モリモリの二人の関係性が愉快にエロく描かれていきます。 2巻で描かれる、二人のち◯ち◯が擬人化される場面は名シーンとして語り継がれています。そう、兜合わせも擬人化したち◯ち◯同士で行われるのです! 何卒、刮目して見てください。 ただ、そんな突き抜けたバカエロ感の裏には非常に情緒に溢れたシーンもあり。実は上記の兜合わせのシーンにすら莫大なエモさが溢れており、やはり遠浅よるべさんの描かれる男性同士の関係性、想いと重みの宿し方は素晴らしいなぁとしみじみ感じ入ります。ピンクタイガーとチェ・ゲバラと北海道のタトゥーを入れている佐智先輩や、征士郎を「スケベを鋳型に流し込んでできた怪物」と形容するみち子ママなど、脇役たちも個性的で輝いています。 おじさん同士のBLに抵抗がない方には強くお薦めです。

変声

ままならない人生で彼らが見つけた息のできる場所

変声 はやしわか
兎来栄寿
兎来栄寿

はやしわかさんは、第80回ちばてつや賞準大賞に選ばれた【コミックDAYS読み切り】しかたなしの極楽を読んで手触りの良いマンガを描く方だなと思いました。 『変声』は、そのはやしわかさんが2022年9月に出した同人誌です。その後、11月には各電子書店でも販売が開始されました。 一応ジャンルとしては公式に創作BLとされていますが、性的な描写もなく普段BLを読まない方であっても読み易い部類でしょう。 変声は、思春期に著しく身体的な変化が起こるのに伴って精神的にも未成熟で不安定な時に起こるひとつの現象です。私自身、ソプラノで歌うのが好きだったので喉の違和感と共に声が変わっていくのは悲しかった覚えがあります。 変わって欲しくないのに変わるもの。 変わって欲しいのに変わらないもの。 矛盾に満ち溢れた世界ですが、それらの矛盾に向き合わなければならない時は誰にも否応なく訪れます。 しかし、矛盾に満ちていてすらも美しくあるのがこの世界。そんな美しさの一端を滲ませる感情が、この作品では印象的に描かれます。 その誰もが名を知りながらも、中身についてはよく解っていない不思議な感情。それを見開きで紐解くシーンがとても好きです。 ″息のできる場所を 見つけたよ″ というモノローグなども、心地よく響いてきます。 はやしわかさんの今後の活動も頗る楽しみです。