俺が好きなど嗤わせる【コミックス版】

銀行で繰り広げられる水面下オフィスラブ

俺が好きなど嗤わせる【コミックス版】 里つばめ
千代
千代

同作者の『俺が好きなら跪け』のスピンオフ、舞台も同じ東都第一銀行本店 前作では主人公達の上司だった梶次長と神谷次長の話 この作品以外にもいえるけど里つばめ先生のお仕事ものはちゃんと業務内容にも触れられていてキャラクター達が仕事していると実感できるのが良い 『俺が好きなら〜』では神谷次長は主人公の上司という立場だったから威厳ある雰囲気だったけど、実は隠れビッチだったとは… なんか誘うのも手慣れてるし、さらに涼しい目元の眼鏡の美形…属性盛り沢山で好き 梶次長も神谷次長の反応見て試行錯誤を重ねて関係を進展させようとしているのが分かるからつい応援してしまう 全体的なストーリーは『俺が好きなら〜』と比べるとこっちは比較的大人っぽい もともと台詞だけじゃなくて間を取ったりすることで言外に人物の心情を描写することの多い作者さんだけど、今作では読者に委ねるような余白の部分がより多いと感じた あと、付き合うまで割と色々あったのにくっついたら2人とも甘々でびっくり…永遠に見ていたい ちなみにその後の2人はCRAFT vol.96に読み切りとして描かれているのでよかったらぜひ https://bookwalker.jp/debc034947-f52f-41f2-9398-09bbf9ad6181/

キミがくれる彩の海。

青い海とかわいい犬に囲まれた再起の物語

キミがくれる彩の海。 波野ココロ
兎来栄寿
兎来栄寿

小さな離島で毎日海を眺めながら絵を描き、愛犬と穏やかに暮らす生活。でもそこにはしっかりスマホもPCもあるという適度な文明化。これ、ひとつの理想形では? 私は引退した後は大量のマンガと共に山奥に隠棲したいと考えていますが、こういう風に描かれると海辺も良いよなあと思わずにはいられませんでした。 そんな羨ましい暮らしをしている青年・大崎穂高ですが、しかしそれは都会の生活で負った心の傷を治療するためのもの。楽園のような島の生活ですが、その裏に暗い影を感じさせます。 そして、穂高が住む島に漂着するのが嵐の日に波に流されてしまった海洋生物研究者志望の七倉海都(ななくらかいと)。そこから、彼らによる斬時の共同生活が始まっていきます。 波野ココロさんの絵が美しく、キャラクターも背景も非常に魅力的です。特筆すべきは、穂高と一緒に暮らす愛犬のビケット。フランス語で「かわいい」の名を冠するビケちゃんが最初から最後までたくさん愛らしく描かれており、筆者の犬愛が伝わってくるようでした。 人間関係や芸術は綺麗事だけでは済まず辛い部分も多いですが、それを乗り越えて再生していくひとりの人間の美しい物語として面白く読ませてもらいました。 BLとしての側面ももちろんあるものの若干薄めなので、そちらを求める方は物足りなさを感じるかもしれない一方で、普段あまりBLを読まない方にもお薦めしやすい作品です。

漁師はエビで、愛を釣りたい

腹が減ってはBLは読めぬ

漁師はエビで、愛を釣りたい ムコQ
兎来栄寿
兎来栄寿

タイトルも良いですが、 「ペンギンとカワウソとコブダイ以外で求愛してきたのは、キミが初めてです」 というフレーズがパンチラインすぎました。 漁師見習い兼動画配信者のユーサクが、自分の料理をそれはもう美味しそうに食べてくれる魚マニアの先生といい感じになる痴話からのほのぼのハッピーなBLです。『作りたい女と食べたい女』のように、食べる方の幸せと作る方の幸せ双方が描かれます。 毎回登場するグルメ部分が本格的で、伊勢海老の腹足の落とし方からアカエイの調理方法までしっかりと解説されます。そして、できあがる料理の数々はとても美味しそうで、素材を入手するハードルは高いもののどれも実際に食べてみたいと思わせてくれるものばかりでした。これは胃袋を掴まれてしまうのもやむなし、と納得させられます。 そして、食欲が満たされたら次に満たすのは、ということで毎回水の中で鍛えられた良い肉体同士が熱く交わります。元気の良い攻めの若者と、少し枯れ気味の受けのおじさんという組み合わせがお好きな方は読んでみてください。 電子限定かきおろし漫画も、幸福感マシマシでご馳走さまでした。 なお、初出は GUSHmaniaEX巨根デカチン 2022年1月 とろ甘セックス 2022年2月 ガチイキ発情期 2022年3月 メスイキ雄乳首 2022年5月 限界ギリギリ奥攻め 2022年6月 となっており、声に出して読みたい初出といった様相を呈しています。