ハチミツとクローバー

10年振りにハチクロを読み返した

ハチミツとクローバー 羽海野チカ
かしこ
かしこ

ハチクロの連載終了時が高校1年生だったので、私も大学生になったらこんな青春をしたいな〜と憧れながら読んでいました。気の合う仲間達と遊覧船に乗ってお弁当を食べたり、クリスマスパーティーをしてツイスターで遊んだり、笑ったり泣いたりしたかったのですが、実際にそんな感じの大学生活を送れるはずもなく…。月日は流れ流れて、あの頃大好きだったハチクロをこのたび10年振りに読み返してみました。 まず衝撃的だったのは、どんだけダサダサな服でも見事に着こなしてしまうおしゃれチャンプの山崎さんが年下になってしまったこと!彼27歳なんですって。若造ですやん。そんな感じで主要キャラの大学生5人も自分より年下になってしまったので、今回改めて読んでみたら大人キャラ達にとても共感するようになりました。例えば、野宮さんの山田さんに対するアプローチを見た山崎さんが「何でお前の恋愛ってさキズつけるのが前提なの?オレは好きなコができたらうんと大事にしよう…ってずっと思ってきたぜ?」と言ったことで、野宮さんがとうの昔に脱ぎ捨てた青春スーツをもう一度着ることになるこのシーン。これを読んで私は…ハッ!青春と呼ばれる時代が遠く過ぎ去ったとしても、あの甘酸っぱい感情とエネルギーは再び装着できるんだ!と目からウロコでした。(山崎GJ!あなたと一緒に大人になったって壊れない友情があるってコトを証明したいです!)ラストでは花本先生も青春スーツを再装着するのがいいですよね〜!むき出しの感情が人生を変える瞬間はキラメキに満ちています。大人になったことでようやく気づけた物語がありました。 ちなみに一番カッコいいと思ったのは美和子さん。私もまぜご飯番長になりたいです!

理不尽のみかた

空気な存在でも「味方」にはなれる

理不尽のみかた 柳原望
名無し

誰もが「理不尽なしうち」は経験する。 仕事でも、私生活でも。 そして漫画やドラマの中では、それらの理不尽を スカッと解決してくれるヒーローが多数登場する。 頼れる家族や仲間、プロフェッショナルな弁護士や医者。 仕事人や魔法使いやドラえもんなど。 だがこの漫画「理不尽のみかた」の主人公・佐倉縁は、 凄腕だとか敏腕だとか豪腕だとかの解決人ではない。 検察審査会事務局員。 ザックリ言えば裁判所の事務員さん。 不起訴になった案件について、その判断が適当だったか 再検討をする場の運営に携わる公務員だ。 佐倉自身が理不尽に白黒をつけるわけではない。 はなからそんな裁量や決定権がない。 むしろ、徹底して第三者でいなければならず、 被疑者側・被害者側、どちらにも利益を提供しては いけない立場の人間だ。 あえて言うなら問題に対して無力だ。 その場の空気でいなければならない存在だ。 普通ならドライな感覚に徹して、 仕事を事務的にこなせばいい。 いっそ、他人の不幸は蜜の味、と楽しむことも可能。 だが佐倉は自身も過去に体験した理不尽を引きずっており、 毎日毎日、目の前で繰り広げられる理不尽群像劇を 見せつけられ、かなり疲れていた。 そんな佐倉のアパートの隣の部屋に、 イケメン外国人留学生が越してきて、 成り行きでボランティア的に観光案内をしたり、 天然ボケに振り回されることに。 より疲れてしまう佐倉だが、偶然の作用もありながら、 迷惑をかけたりかけられたりしたときの 心の持ち方など色々なことを考えるようになる。 そして「なにもしない」とか「できない」とか、 「仕方ない」ということにたいしての、 自分なりの答えを見出していく。 主人公は理不尽に対してオールマイティな解決策や 必殺技を持っているわけではない。 だからといって無気力無関心には逃げない。 空気の立場で出来ることを模索し、 カン違いや結果オーライなだけなこともあるが 理不尽なめにあって心臓がいたい人を 空気な立場で「味方」になって支える。 また、その空気感が適度に(自虐的だったりもするが) 明るくて前向きで良い。 理不尽話を少しだけれど笑い飛ばせる。 ちょっと独特な「理不尽の見方」をする個性的な漫画。

平凡なOLが痴漢にハマりました。(合本版)

なるほど〜…

平凡なOLが痴漢にハマりました。(合本版) キョウ子
名無し

いろんな思うことはあるけど、まず言いたい。 映画館で平気でスマホ使う人間には極刑を望みます。 それはそれとしてこの物語は、痴漢したい人と痴漢されたい人(主人公)の需要がマッチした上で、様々なシチュエーションで痴漢プレイをするというもの。犯罪の痴漢とは違うといえば違うのかもしれませんが…はたから見れば公然わいせつだな、というのが正直な感想です。実際に見たことがないので、そういう人が世間にどれくらいいるのかわからないけど、捕まってほしい。 タイトルに「平凡」とありますが主人公には「オタク」という特徴もあり、個人的にはこれが運命の分かれ道だったのではと思ってしまいました。オタクの想像力って凄いから。 この漫画に関しては絵も生々しくないし短いしで一瞬で読めちゃいます。読ませる力はある。ただプレイ相手の男の顔がどんなだったかを教えてくれないのはズルですね(表紙には描いてあるけど、本編ではのっぺらぼうになってる)。 だって顔を見なければ持ち前の想像力でいくらでも都合のいいようにできるけど、見てからはもう実在の個人として認識しなければならないわけで、そうなると顔ってかなり大事。そこ省いてるのは都合が良すぎる。 最終的にどんなオチになるかはわからないけど、痴漢プレイをきっかけに結婚しちゃいました!とかなったらどうしよう。ズッコケるしかないな…

ニュースの現場から!

イチから「報道」を学ぶお仕事マンガ

ニュースの現場から! 都陽子
名無し

好きを仕事にしたいと決めたものの思うような仕事に就けないと悩んでいたところ、「報道カメラマン」をしている大学時代の先輩の誘いでアシスタントバイトを初めたのをきっかけに「報道」とは何なのかをイチから学んでゆく!というお仕事漫画です。 舞台が地方のテレビ局ということで、人が足りないときはなんでもやるというところが「チャンネルはそのまま!」と一緒だなと思いました。報道カメラマンという名前から事故や事件現場など「派手な仕事」というイメージになりがちですが、この漫画ではまず「天気予報も報道」であるということを教えてくれます。 主人公はズブの素人ですが一度した失敗はちゃんと学ぶし、人に言われたことは素直に聞くので、いってみれば普通の子です。なのでよくある主人公が救いようのないドジでそればかり気になる漫画とは違い、「報道」の役割や意義をちゃんと伝えたいという意志があるように思いました。 かといって全体に流れる空気はそんなにシリアスでもなく、絵も上手いので非常に読みやすいです。 1巻の最後はちょっとショックな感じだったので2巻どうなるか気になります。

神客万来!

異種属ホテルと「見える」女子 #1巻応援

神客万来! ねむようこ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

職を失った海野みちるが妙な縁で出会ったのは、「人ならざる者」が訪れるホテル。異種属が「見える」みちるは客室係となり、抜群の気遣い力でお客の要望に対応していく……優しさに溢れる「異種属ホテル」で、今日は「あの人」が癒される! ◉◉◉◉◉ ホテルに集まるお客は、神話・伝説・民話の登場人物達。普段は「らしさ」を気にして素の自分を隠している彼らは、ホテルとみちるの優しさと機転で自分を解放し、満足して帰っていく。なるほど、確かにそういう事思ってそう!というお話にうなずくし、エピソードの結末は優しい気持ちになる。 ●タピオカ ●ジェンダーフリー ●ビューティケア といった女性漫画的な題材がファンタジーと組み合わされ、ちょっと斬新。白場を活かしたあっさりとした画面と相まって、とてもおしゃれで愛らしい作品だ。カバーも含め、紙の本で持っていたい感じがする。(私は電子書籍ですが楽しめましたよ!) しかしホテルの大女将の「鬼の子」という言葉から、物語は新たな方向へ。何故みちるは人外の存在が見えるのか、という疑問に関わる、ちょっと緊張感のある展開の予感。次巻が待ち遠しい!