九条の大罪

王道ではない一癖あるヒーロー

九条の大罪 真鍋昌平
六文銭
六文銭

『闇金ウシジマくん』が好きだったので、本作も当然期待していたのですが、元々終わってから一気読みするタイプなもんで、ずっーと我慢していたんですけど、もう、たまらず5巻まで一気に読んでしまいました。 もう、最高でした。 1話目を読んだときは、飲酒運転で交通事故を起こした半グレを守ることからはじまるので、そっちの弁護士役なのかな?と思っていたら、先を読むと実は全然違うことに気づく。 元々、依頼人を守ることを使命とし、道徳と法律は分けて考えているだけで、そこに善悪がないというだけ。 ここが格好いい。 自分はど直球な主人公も好きなのですが、こういう一癖ある主人公像も大好きなんですよね。 共通しているのは、信念があること。 ただそれが誰がみても立派なのか、そうじゃないのかの違いだけ。 闇金ウシジマくんもそうでしたが、格好よく強い人間とは、自身の美学にブレないもんですね。 本作の主人公も依頼人が半グレであろうと誰であれ、そして相手が恩師であろうと誰であれ、弁護士としての自身の使命を全うする。 めちゃくちゃカッコいいです。 また、弁護士ですが、小難しい法律的な話は多用せず、わかりやすく読みやすくさせているのも、物語に没入させてくれます。 ちょっと何言っているかわからない、とならないです。 過去に家族の間で色々あったようですが、まだ出てきていないので、この点も今後が楽しみな作品でした! また、内容はクロいのに、白を基調とした絵柄は、独特でありながらクセになりますね。

僕の奥さんはちょっと怖い

これは、いいツンデレだぞ

僕の奥さんはちょっと怖い 栗田あぐり
六文銭
六文銭

私くらいなツンデレリスト(ツンデレに詳しい人。)になりますと、タイトルを読んで 「怖いといいながら、デレるんだろ」 とわかっちゃうんですよね。 表紙からして、もうアレですやん、と。 実際、読んでみて、あーはいはい・・・ベリーグッドです!となりました。 (読まなくても書誌に書いてあるとか言わないで欲しい。) 内容は、職場のデキる上司で有名だった白浜さんと結婚した主人公の話。 バリキャリだったのだが、結婚したらあっさり仕事を辞めて専業主婦になってしまう。 結婚後も仕事同様にパキパキと家事をこなしていると思いきや・・・実は家事ができないことをバレないようにめっちゃ努力していた。 専業主婦になったのも、そのため。 早起きして(毎朝2時起き)朝食準備したり、家事のhowto動画見ながらアイロンがけしたり。 なんという、愛の深さ。めっちゃ可愛い。 こういうバレないように努力する姿、グッときますよね。 お互い思いあっている感じが、優しい世界で癒やされます。 基本、何か波風あっても「ただのフリ」として脳内処理できるので、安心して読めます。 どうか、末永く爆発していて欲しい。 最後1つだけ。奥さんが九州出身で、実家の父との会話が博多弁になるのも、また良いですよ。

ピリピリとビリビリ

カレーとライブハウス事情と… #1巻応援

ピリピリとビリビリ 西倉新久 印度カリー子
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

時はコロナ禍の現在。経営の苦しいライブハウス存続をかけて、女性店長はカレーに詳しい駆け出し女性ミュージシャンにスパイスカレー作りを教わる、という本作。現実的な問題に対してリアルさを失わずに、希望のある解決を見せて楽しい。 舞台は渋谷、ライブハウスとミュージシャンの苦境は報道と同じ。マスク率が高いのも含めてエッセイコミック的な現実感だ。 登場するスパイスカレーのレシピは本格的だが、料理を少しする身としては何となくできそうな気がしてくる。その辺は、スパイス監修として関わっておられる印度カリー子さんの、レシピの考え方が分かりやすいためかもしれない。そして美味しそう……。 コミカルに進む二人のカレー作り。その中で美味しいと言ってもらえる喜び、誰かと共に味わう喜び、相手のためになりたい思いなど、二人の女性の想い合いは強くなる……ので、百合とまでは言わないが、軽いロマンシス物としても時折グッと来る。 音楽も食も、日常を少し彩るスパイス。カレーを通じて食の意味を知るこのマンガも、楽しさと未知への興味と世情の緊張感を織り込んだ複雑なスパイスのような彩りを、脳にもたらしてくれた。