ブッダ

超おもいでの作品

ブッダ 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

高校生の頃(すでに手塚先生は亡くなられていましたが)、火の鳥を読んで、その面白さに圧倒され、続けて読んだのがこのブッダで、それまでに読んでいたマンガとは完全に別格の面白さに、すっかり虜になりました。わたしがヅカラーになる決定打となった作品で、とても思い入れがあります。この度、再読して、その面白さを再確認しました。 もし「ゆうれい小僧がやってきた!」がもう少し面白ければ、ゆでラーになっていたと思うので、人生なにが起こるかわかりません。 本作品は、ブッダの生涯を描いたものですが、物語は生まれる少し前からスタートします。 仏教の教えについては、そこまで詳しくないので、この作品に書かれている数々の教えが、仏教の教えそのものなのか、それとも手塚先生なりのアレンジが加わっているのかは分かりません。本作中のブッダは、決して最初から聖人だったわけではなく、どちらかというと問題児的な部分や弱い部分もありながら、いろいろ経験していく中で迷いながら悟っていくので、自分を諦めない勇気をもらえます(作中の弟子たちも皆そうです)。 ただ、実在のブッダや本作品中のブッダが数多の人の心をお救いになったように、手塚先生は本作品によって、わたしの心をありがたくもお救いになられました。その意味で、手塚先生は、巷間言われているとおりマンガの神様であると同時に、我が心の仏様でもあります。 ちなみに、作中登場するタッタ、ミゲーラ、チャプラ、ブダイ将軍、バンダカ、アッサジあたりは手塚先生のオリキャラだとのことです。まぁ正確な歴史を知りたいわけではないので、別に良いですし、むしろその辺のオリキャラの存在によって、より心根に響く作品になっていると思います。

「神様」のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~

宗教2世に寄り添うための #1巻応援

「神様」のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~ 菊池真理子
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

再び宗教2世の声を集めた書が出る事を祈って、1巻応援とします。 宗教2世という言い方は最近知りましたが、思えば昔から、そういう子は身近な存在でした。クラスメイトの穏やかな男の子は運動会に出なかった。優しいお姉さんが亡くなった家は一家で信仰を始め、その家のお兄さんは家族と色々あったらしい。毎週のように我が家の前を通る、複数の親子集団……。 そういう方の心の内は、子供ながらに聞いてはいけないもの、と思っていたのですが、この本によってその一端が知れます。彼らが持つ、私と変わらないような愛情や嗜好を知ると、宗教2世の方達が抱える葛藤は、私にも切実に伝わって来るのです。 親への愛着、教義への疑問、自由への憧れ、そして何より辛いのが「信仰を捨てたら親の愛を失う」こと。引き裂かれる思いに同調してしまう……。 そしてそこに、幼い頃から教えられた「教義」が、重みを持って様々に絡みます。 複雑に揺れる心の内を伺えたことで、宗教2世の方達が「よくわからない」存在ではなくなり、さらに慮ることが出来るようになります。この話を始めるに当たって、ただ机上の空論を振りかざして感情的になるのではなく、実在する人に「寄り添う」ための、基本の書になるのではないでしょうか。