山田の家を飛び出した詩織は、街をさまよっているところを、イラストレーターの女性・リコに助けられ、家に泊めてもらうことに。リコに触発され、詩織も絵を描こうと高校の美術部を訪れる。そこで出会った同級生のチャラ男・空夫に、半ば強引に入部させられてしまう。今まで将来の夢を考えたこともなかった詩織は、空夫の勧めで美術展に応募することを決意する。一方山田は、違法風俗店のガサ入れ現場で、客の一人に警察幹部がいたことで揉み消しを強要され、仕事への信念が揺らぎはじめる。少しずつ家族になりはじめた二人だったが、ある日、詩織の前に母親が現れて――。
お互いに傷を抱えた少女と中年刑事の共依存。ハラハラの逃避行シーンが好き。 登場するキャラ全員が善悪で割り切れないのは良かった…が、最後にルポライターを出してひとつのルポルタージュ風に仕立て上げ、「事件は善と悪で分けられるものなのだろうか?」と言葉にしてしまった瞬間に小さくまとまってしまった感。 今まで読んだことのなかった作風の真造作品ということで価値がある。